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復讐のバトンタッチ  作者: エデンの園の魔界蛇


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木山宏美への復讐7



「ここが名刺に書いてあるH探偵事務所か」



 宏美は探偵事務所の前でもう一度手元にある名刺を確認する。

 義彦を探すためとはいえ探偵事務所に何かを依頼するのは宏美は初めてなので少し緊張した。


 それでも慰謝料の一千万を義彦からぶんどるためにはまず義彦の居場所を探さなければならない。

 宏美は思い切って探偵事務所の扉を開けた。



「いらっしゃいませ」



 探偵に扮した俺は宏美に笑顔で挨拶をする。



「あの…人探しを依頼したいのですが……」


「ご依頼ですね。どうぞこちらの席にお座りください」


「はい」



 俺が勧めるままに宏美は椅子に座る。



「お客様のお名前とお探しの方の分かっている情報を教えてくださいますか?」


「私は木内宏美と申します。探しているのは離婚したばかりの元旦那の木内義彦です。もしかしたら苗字は旧姓の田中に戻ってるかもしれないですけど」


「なるほど」



 俺は宏美の話をメモするようにして依頼内容を聞いていく。

 宏美は義彦の写真なども見せ「なるべく早く探して欲しい」と言ってきた。


 ノアから事前に聞いた情報では義彦の苗字は離婚しても木内のままらしい。

 そして今は真夜のいるキャバクラ通いをしているが真夜と付き合っているわけではない。


 真夜には義彦に気があるフリをしながらキャバクラ通いをさせろと命令しておいた。

 俺の計画では義彦が持っている一千万を少しでも散財させる必要があるからだ。



「依頼内容は分かりましたが依頼にかかる経費のお支払いはどうされますか?」


「どうというのは?」


「我が社では見積もりの半額を前金としていただいています」


「私の場合の前金というのはいくらになるんですか?」


「20万ですね」


「に、20万!? そんなお金ないわよ!」



 宏美は金額に驚いて声を上げる。



 まあ、そうだろうな。

 お前はまだ義彦から40万の金さえもらってないんだからな。



「それならば前金分の20万を我が社が木内様に貸すということもできますが」


「え? そんなことできるの?」



 バ~カ、普通の探偵事務所はそんなことしねえよ。

 だがお前は他の探偵事務所のことは知らねえだろうしな。



「はい。お話を伺っていると義彦様を探しているのは離婚の慰謝料を請求するためということなので木内様がその慰謝料を手に入れて返していただければ問題ないかと」


「そ、そうよね……一千万を手に入れたら20万ぐらいすぐに返せるわ」


「ならばこちらの契約書と20万の借用書にサインと印鑑をお願いします」



 俺が用意した契約書と借用書に宏美はサインと印鑑を押す。



 ククク、これでまずは20万の借金持ちになったなあ、宏美。

 ちゃんと借りた金は返せよ。たとえ法外な利子が発生してもな!



「それでは義彦様が見つかりしだい宏美様にご連絡しますね」


「分かったわ」



 宏美は探偵事務所を出て行く。



「ノア」


「はい、何でしょうか? 魔王様」



 ノアの名前を呼ぶとすぐにノアが姿を現す。



「義彦の方はどうなっている?」



 ノアは自分の手帳を確認する。



「義彦は真夜に誘導されて真夜のキャバクラでかなりお金を使っていますね。もう手持ちのお金は一千万から500万まで減っています」


「予定通りだな。義彦って奴も宏美と同じく馬鹿で助かるぜ。馬鹿だから宏美と結婚してたのかもしれねえが。アハハ!」



 真夜には一千万の借金があると伝えているのにその借金を返済する前に金を使ってしまったら真夜と結婚する段階になっても手持ちの金では借金が返済できない。

 それでも真夜にせがまれるままキャバクラで金を使う義彦は馬鹿だ。

 もちろんそれだけ真夜に夢中とも言えるが。



「真夜に義彦の手持ちの金が無くなるまで金を使わせろと伝えておけ。そして金が底をついた時点で義彦に真夜から結婚を申し込むようにしろ」


「承知しました、魔王様」



 さてさて宏美よ。お前が必死になってもらおうとしている義彦の金はどんどん無くなるぜ。

 義彦から慰謝料を取れないと知ったらお前はどんな顔をするだろうなあ。


 それにお前には借金もできたしな。

 たかが20万の借金だと思ってるだろうが借金には利子が付くってことを忘れんじゃねえぞ!


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