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02S.鳴神蜃気郎 後編

この店で働く彼女達は、この「楽器販売の仕事」が、好きでした。皆、楽しそうに、働きました。この販売店の店長が、最近変わりました。変わった店長は、有能な若い女性でした。また店長と言うことも有り「抜け目が無く、少し心の奥に、闇を秘めて居ました。」彼女は、アルバイト店員に対しては、とても厳しく接する為、彼女が赴任すると、アルバイト達が多数、辞めました。その為、誰も居なく成りました。


この世界は「善なるオーラ」に、包まれた「善人と善なる空間」に、支配された世界でした。しかし人々の心の奥底部分には、闇が潜んで居ました。しかしその闇は、中々表には、出ませんでした。仮に本能の赴くまま「闇に支配」されて、この世界に災いを齎すと、立ち処に空間に、処分されました。


処分とは「大変な撃痛」を伴う「自身の消滅」でした。人々は本能的に、その恐ろしさを知って居るので、闇に支配されることは、稀でした。この世界に生きる魔人類達は、そのようにして「心の闇」を、伴いながら、この善なる空間「左側神の世界」で、暮らしました。


「鳴神蜃気郎」は、この世界が「旧右側神サタナス」が「三位一体神の定位置」を、離脱した為に生まれた、アンバランスを解消する為に「出現した世界」で有ることも、知って居ました。彼は「自分には、余り時間が無いことを、自覚して居るので、そのことよりも今は、自分のことを優先しようと、思いました。」彼の「ピアノレッスン」開始時間は、決められた曜日の20:00からのスタートでした。


そんな或る日、彼は「レッスン時間が来る」のを、店内の椅子に座り、待ちました。すると、お客の女性の1人に、声を掛けられました。「貴方は、由美ちゃんでしょう。懐かしいわね。僕だよ。貴方の幼馴染みで有り、少女の頃の貴方を、ずっと守って居たナイトの〝城ヶ崎椿郎じょうがさき・つばきろう″だよ。懐かしいわね。貴方が、あの由美ちゃんで有れば、再会は実に十何年振りだね。」と、彼女が言いました。


彼女が言って居る「由美ちゃん」とは「鳴神蜃気郎」のことで有り、この世界の魔人類達は、思春期に成ると、生まれた時とは違う性に、変わりました。そして最後は、その変わった性で、人生の終わりまでを、生きました。即ち彼を、例に取ると彼は、生まれたときは、娘でした。そしてそのときに、親に付けられた名前が「鳴神由美子なるかみ・ゆみこ」でした。


そして思春期を迎える頃に、性転換が起こりました。そして彼は、そのときに男子に変わりました。そして自分の名前を、新たに「蜃気郎しんきろう」と、名付けました。この名前の由来は、当時彼が好きで有る小説の主人公に「真珠郎しんじゅろう」と言う名前の者が居ました。その主人公にあやかり、自分の名前を、それ風に決めました。


この話し掛けて来た女性の名前は「城ヶ崎ホタル」と、名乗りました。彼女は蜃気郎とは逆パターンで有り、生まれた当時は、男子でしたので「椿郎つばきろう」を、名乗りました。そして彼女は、思春期を迎えると性転換を迎えて、男性から女性態に、変わったのです。


元椿郎で有る「ホタル」が、言いました。「再会は、十何年振りね。」と、彼女が言うと、蜃気郎は「五十何年振りの間違いだろう。」と、彼女に答えました。しかし彼女は「自分達の年齢は同じ25歳なので、そんな長い年数の筈が無いわ。」と、言いました。蜃気郎は、少し変だと思いました。同い年で有ったホタルと自分には、いつの間にか50年位のギャップが、生まれました。


原因は、彼には良く分かりませんでした。しかし彼女は確かに、彼の幼馴染みでした。彼の見た目も、その位の年齢の若い青年にしか見えなかったので「彼女の指摘の方が正しい」のかも知れませんでした。彼は取り敢えず、それで良いことにしました。


「城ヶ崎ホタル」は、鳴神蜃気郎の手を握ると、彼の目を見て言いました。「ねぇ由美ちゃん。僕は昔、貴方が女の子のときは、良く庇って上げたよね。貴方は当時、綺麗な娘だったから、良く〝ガラの悪い男子″に絡まれて、いつも厄介事に、巻き込まれて居た。その度に僕が、貴方を助けてあげて居た。」


「だからその代わりに今度は、僕のことを助けて欲しいのよ。こんなお願いは、貴方にしか出来ないわ。急なことだけど。」と、彼女は言いました。昔の彼女は、ガタイが立派で「喧嘩が強い」頼れる存在でした。しかし彼は今では「女性態」だったので、昔のように強くは、有りませんでした。


そこで蜃気郎は、合意して「彼女を守る」ことにしました。ホタルの容姿は、身長が160㎝位の中肉中背のスタイルの良い美女でした。当時とは真逆の白い素肌でした。瞳の色が水色で、髪の色が金髪でした。唇が厚めで色の良いピンク色でした。彼女は人間で言えば、白色人種のように見えました。しかし顔立ちは「アジアン」でした。そして彼を頼り切って居るように、彼に依存した目を、向けました。彼女の心の奥底には、深い闇が有りました。その綺麗な顔立ちには、昔の面影が良く残って居ました。


蜃気郎は彼女を、このまま1人にして居ると「様々な不幸に遭遇して、彼女は長生き出来ないだろう」と、思いました。「彼女を助けて上げられるのは、自分しか居ない」と、そのとき彼は思いました。或る意味2人の関係は「相互補完」の関係でした。彼には「サイキック(霊能者)」の素養が有るので、良く分かりました。終わりのときが近づいたので、彼女が現れたのです。


その日「ピアノのレッスン」が、終わるまで、ホタルは帰らずに、待ってくれました。そしてレッスン終了後に、2人は一緒に帰りました。ホタルは「蜃気郎の家」まで、付いて来ました。今晩は、もう遅い時間でした。そして彼女が「貴方の部屋を、見てみたい。」と、言いました。彼は、彼女に会うのは、久し振りでした。また彼女は、幼馴染みでも有るので、彼女を自分の部屋に、案内することにしました。


彼女は、部屋の中に入り、落ち着くと、突然「ここで僕も、住んでも良いかなぁ。」と、言いました。子供の頃の2人は、良く相手の家に、泊まり合って居ました。当時の椿郎は、とてもオマセな子供で有り「良く由美子のことを、襲おう」と、狙いました。まだ当時は2人共、子供でしたので、そんな大それたことには、成りませんが彼は、いつもそうゆう目で、由美子のことを、見て居ました。


しかし今は、立場が逆なので、何も心配する事は、有りませんでした。ホタルは、蜃気郎に対する「自分の危機意識」を、全く持って居ませんでした。

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