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11S.蓮沼武史郎

ホタルが産んだ、蜃気郎との子供の名前は「蓮沼武史郎はすぬま・たけしろう」と、名付けられました。彼女は「女の子として誕生?」したので、思春期を迎えると男性態に、変わる予定でした。しかし彼女は、この世界では性転換をしない存在でした。父親で有る蜃気郎は、彼女のことを「無性魔人ジェンダレス」と、呼びました。


この世界では、生まれた子供が娘の場合は、思春期を迎えると「男性態」に、変わるので、初めから男子の名前を付ける習慣が、有りました。皆、初めは女子で有っても、最後には息子に成るので、それを見込んで名付けるのです。またその逆で「女性態」に変わった元男子が、そのまま男性態時の名前を、女子に成っても、引き継ぐ場合も、有りました。皆、最初の性は、印象深いものでした。


そのことを思うと、蜃気郎の子供も随分、偽装し易い世界に、生まれました。蜃気郎達2人は、武史郎のことを「武ちゃん」とか「シロちゃん」と、呼びました。特に、この「シロ」と言う名称が、彼女の「セカンドネーム」に、成りました。「蓮沼シロ」です。


シロは、無性魔人でしたので「男型おがたのもの」が、有りませんでした。そして「女型めがたのもの」も、有りませんでした。ただ問題無く、この世界で生きる為には、どちらかの性に「擬態」しなければ、成りませんでした。すると必然的に、男のそれが無いので「女性態」に、擬態するのが楽でした。その為、彼女の陰部には、裂け目が、現れました。


彼女の場合は、放尿する場合、女性のようにしゃがむか、または立ってもすることが、出来ました。立ってする場合は、彼女の陰部の裂け目から、貝類のような柔らかい触角が、2本出て来て、そこからしました。そうすれば立っても出来ました。彼女の放尿時の選択は、それを臨機応変に対応させて、済ませました。


シロの子供時代は、娘依りの容姿に、成りました。それは成人しても、その姿でした。やはり彼女には「男型のもの」が、無かったので、必然的に男性の姿では、無いものに、成りました。


シロの容姿は、ホタルと同じで、肌色が白くて、髪が長めの、青味が掛かった銀髪でした。顔の彫が深くて、美人顔でした。黒い瞳で目が大きくて、鼻筋は高くて、唇が薄いピンク色でした。また乳房は、膨らんで居ました。そして大きめの乳首が、付きました。彼女は中肉中背の身体付きで、男性の分類で言えば、小柄な存在でした。


成人した彼女の観察眼は、非常に優れて、明確な即時判断が、出来ました。彼女の両親で有る2人をシロは、いつも管理しようとしました。また蜃気郎達2人の能力を、使いこなすことが、出来ました。シロは、いつも母親で有るホタルを、良く見ました。そして何でもホタルが、持つものが、欲しく成りました。


そしてホタルの持ち物を、何でも上手に、使い熟しました。蜃気郎に対しては、子供のときから、良く父親の膝の上に座り、甘えて居ました。そしていつもホタルを、見て居ました。シロは、ホタルを良く見たい為に、いつも蜃気郎側に、付きました。


こうして3人を見て居ると、何処か「三位一体神」のように、見えました。蜃気郎が左側神で、ホタルが右側神でした。シロは、中央神のような存在でした。実は、この3人は、この世界では「三位一体神の化身」でした。


神界で発生した不都合で有る「神界のアンバランス」を、彼等が中心と成り、解消する役割を、新たな3神より、与えられました。まず蜃気郎とホタルは、生まれたばかりのシロを、手塩に掛けて、育てることから、始まりました。2人から生まれたシロを、愛情を掛けて育てることが、この世界の「アンバランスの解消」の第一歩に、成りました。


ホタルは、自分が産んだシロが、少し苦手でした。ホタルに取っては、シロが掛け替えの無い、存在でしたが、彼女はシロが、苦手でした。シロも、そのホタルの感情を、敏感に感じました。シロはホタルに対して、何かの対抗意識が、有りました。


シロがホタルの、何に対抗意識を持つのか、この時点では良く、分かりませんでした。しかし同じような別の存在で有る、蜃気郎に付いては、全く以って何も、対抗意識を、持ちませんでした。父親で有る蜃気郎は、シロに取ってはホタルよりも、感心の無い存在でした。


それは「三位一体神の誕生」による、性質が色濃く、この母子に、反映されました。初め1つしか無かったものが「左側神」と成り、そこから1つ分離して「右側神」が、出来ました。やがて、この2つのものから均等に、分離したものが「中央神」と、成りました。そして3つに分かれたのです。


分離したものが「右側神と中央神」でした。その辺が、ホタルとシロの対抗意識が、生まれる起因と、成りました。中央神は、右側神よりも遅れて分離した為に、その遅れて誕生した分を、本質的に「早く取り戻したい」と思う、習性を持ちました。


また蜃気郎とホタルが、彼のピアノ教室で、久し振りに再会したときに、彼が彼女に言った「再会は、50年振りだね。」と、言ったのは、左側神から右側神が、分離するまでの時間の落差が、個体と成り現れた、彼の記憶の混沌として、出た言葉でした。


それから、この「3つのもの」は、仲違いをしたり、分離独立して何処かに、行ったりすることは、有りませんでした。3神とは、元々1つのものが、効率を上げる為に、3つに分離したもので有り、役割が終われば「本来の姿に戻る」ものなのです。


この「物語の始まり」は、何も無い空間に突如1つのものが現れて、それが必要に応じて、3つに分離しました。その分離したものは、飛び散ることも無く、終われば、1つのものに戻る習性を、誕生時から持ちました。初めから、1つしか無かったのです。1つしか無いので、分離して増えたように見えても、目的が達成されれば、また1つに戻るのです。これがこの「物語の基軸」に、成りました。


蜃気郎とホタルは、武史郎が生まれると、ホタルの実家で有る「ホリエナ城」に籠り、育児に専念しました。蜃気郎とホタルに取っては、とても充実した幸せなときを、過ごせました。そして、それから10年近く経ちました。長い年月が掛かりましたが、2人の子供は、この武史郎だけしか、生まれませんでした。


蜃気郎もホタルも、外見上の変化が、有りませんでした。しかし武史郎だけは、既に成人した姿に、変わりました。武史郎は、どこから見ても「女性態」にしか、見えませんでした。彼女は「無性魔人」でしたので、ただ「女性態」を、維持して居るだけでした。「蓮沼武史郎」は、外界に出ると、成人女性の姿に、変わりました。そして城内では、年齢通りの10歳位の娘に、成りました。


「無性魔人」とは、本来どのような姿だったのでしょうか。「バフォメトンの魔女」のように、両性具有者で有れば、両性を持つ存在に見えました。しかし武史郎は、その逆で有り「両性の無い存在」でした。敢えて言えば、両性を感じない「彫像のような」綺麗な姿をした、誰も見たことが無い姿に、変わったのかも知れませんでした。


武史郎は、母親の実家で有る「ホリエナ城」で誕生して、成人の姿と成り10年近くを、ここで暮らしました。彼女は両親の元では「シロ」と呼ばれ、外部では本名で有る「武史郎」と、呼ばれました。この城は、とても大きくて広い、立派な建物でした。しかし住人は、彼女達3人だけでした。


蜃気郎とシロは、動物好きの処が有り「犬や猫や鳥を飼ってみたい」と、昔から思いました。また城内が、途轍もなく広いので「可愛いメイドが、数人居ると良いなぁ」とも、思いました。また彼等3人には「右側神サタナスの離脱」により、起きてしまった「神界のアンバランスの解消」を、すると言う、本来の目的が、有りました。


既に「武史郎を大事に育てる」と言う、それを解消する為の最初の1つは、成就されました。これからが本格的な「起動修正の道のり」が、始まったばかりでした。それを成就させるには「3神の力」が、必要でした。


「鳴神蜃気郎」が、2人に言いました。「これから〝時の魔人″が来るので、彼女達を出向かえに、城の外で待ちましょう。」

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