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異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大


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交流大会予選1

「ディラインハルトギルドか……」


 ギルド内での選抜が終わり、交流大会が始まった。

 目指すは優勝であるが、今の実力でそこを目指すことは難しいというのは理解している。


 優勝は一番高い目標として一応心に秘めておく。

 けれどもイースラには別の目的がある。


 それは王族の目に留まってお呼ばれすることだ。

 上位入賞、あるいは王族の目に留まることで交流大会後に開かれる祝賀会に呼ばれることがある。


 上位入賞も正直厳しい。

 となるとやはり目的達成のためには王族の目に留まる必要がある。


 ただそれだって簡単なことではない。

 交流大会はそれぞれの強さを競って戦うイベントであるが、広く人を募集するためにどうしても参加者は多くなる。


 全員がそれぞれ戦っていたら時間がかかり過ぎてしまう。

 そんなに多くの人を順番にみてはいられない。


 そのために交流大会も本戦と予選に分けられる。

 せっかくギルド内で選抜されたのに、交流大会でも勝ち抜いて本戦に残る必要があるのだ。


 本戦はお城で行われるので王族に注目される可能性も高いが、予選はいくつかの会場に分けられて行われる。

 会場となっているのは大きなギルドだった。


 ゲウィル傭兵団も会場の一つであるのだけど、交流大会に出場することになったイースラに割り当てられた会場は別のギルドだった。


「ディラインハルトギルドって大きいの?」


「ああ、おっきなところだよ」


「うちが国内で三、四番手を争っているギルドで、ディラインハルトギルドは一、二を争うギルドになりますね。今は一番手といってもいいでしょう。今回の交流大会でも好成績を収めてアピールする意気込みは大きいでしょうね」


 会場となっているのはディラインハルトギルドという大きなところだった。

 向かっているのもイースラ一人ではない。


 ギルドが会場となる以上、いつものように訓練するわけにもいかないので交流大会に出ない人もお休みとなっている。

 サシャとクラインもイースラの戦いを見学するためについてきている。


 そしてマジュエットがイースラの保護者代わりについてきていた。

 別にいいのだけど、信頼がないなとイースラはちょっと笑ってしまった。


 まだまだ子供扱いなことはしょうがない。


「ここがディラインハルトか」


「デカいな」


「ね、すごーい」


 ディラインハルトギルドの敷地、建物は大きい。

 元々都市郊外にあったのだが、ギルドを中心として周りが発展して今では都市部に立派な敷地を持つギルドになった。


 すでに多くの人がディラインハルトギルドに集まっている。

 予選参加者だけではない。


 予選の見物客なんかもいる。

 他にも見物客相手に出店も出ていて、出店目的に遊びにきている人もいるのだ。


 交流大会は出ない人にとって一種のお祭りのようなものであるのだ。


「カメラアイも飛んでるね」


 ふと見上げると、そこら中で独立して活動できる翼の生えたカメラアイが飛んでいた。


「交流大会は配信されるからな」


 生で観にこなければいけないわけではなく、配信でも交流大会の様子は見られる。

 人混みが嫌な人は家で酒でも飲みながら配信を見ていたりするのだ。


「あとは防犯にもなるからな」


 人が集まれば問題が起こる。

 犯罪なんかも起こらないはずがない。


 カメラアイの向こうでは単純な配信視聴者の他に、問題が起こらないかを監視している人もいる。

 それでも問題が起こる時は起こるものだが、監視しているというだけでいくらか抑止力になるのだ。


「もう始まるまであんまり時間ないな」


 少し早めに出たつもりだったが、思いの外時間がかかってしまった。

 交流大会の開始時間も目前に迫っている。


「受付してくるからお前らは先に観客席に行ってろよ」


「うん。じゃあ頑張ってね」


「頑張れよ!」


「ああ、やるだけやってくるさ」


「それじゃあ行きましょうか、二人とも」


 サシャとクラインはマジュエットに任せておけば大丈夫だろうと思う。

 イースラは交流大会の受付に向かう。


「ええと、坊や、迷子かな?」


 受付の女性はイースラが参加者だなんて思っていないようで、道でも聞きにきた迷子の子だと笑顔を浮かべる。


「ゲウィル傭兵団のイースラです」


 参加申請はギルドの方から済ませてある。

 イースラは懐からギルドの証を取り出して受付の女性に見せる。


「えっ!? あっ、さ、参加者の方……何ですね」


 イースラが参加者だと聞いて受付の女性は動揺を隠せない。

 手元の名簿でイースラの名前を確認する。


「た、確かにゲウィル傭兵団のイースラ様……ご登録がありますね……」


 小さいギルドや個人での参加ならともかく、ゲウィル傭兵団という大きなギルドなのもまた驚きなのだろう。


「ええと、案内に従って控え室に向かってください」


「分かりました。ありがとうございます」


「……よほど人がいないのかしら? まあ……私には関係ないから」


 ニコリと笑って建物の中に入っていくイースラを見ながら受付の女性は首を傾げてしまう。

 あんな子供を送り込むなんてと眉をひそめる。


 ため息をついてイースラの名前の横にチェックマークをつける。

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