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異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大


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勝ち残れ!5

「俺はあっちかな? 体つきもいいし……そのまま押し切りそう」


「私はこっちの方かな? 構えが綺麗だし基礎がしっかりしてそう」


 クラインとサシャはそれぞれの視点から勝敗を予想する。

 大柄な男性と小柄な男性の戦いで、どちらもオーラユーザーではない。


 正直よほど実力差でもない限りはぱっと見で勝敗予想することは難しい。

 それでも普段からやっておけば人を見抜く目は鍛えられる。


 勝敗を予想するという理由が一つ乗ればより真面目に戦いも観察することだろう。

 イースラもしっかりと戦いを見る。


 マジュエットに教えてもらったそれぞれの戦い方の特徴を思い出しながら、自分が戦う時のことを想定しておく。


「やった! 私が当たり!」


 割と拮抗した戦いはサシャが勝つと予想した小柄な方が勝利した。

 その後も予想をしながら観戦する。


 上級隊員も数で見ればオーラユーザーではない人の方が多い。

 一回戦はオーラユーザー同士が争わず、剣術を競うような戦いがほとんどだ。


 負けかけたオーラユーザーが土壇場でオーラを使ってなんとか勝ったなんて場面もあったが、周りのリアクションとしては微妙だった。

 というか一回戦からオーラユーザーをぶつけられたイースラの戦いの方がちょっとおかしいぐらいだ。


 マジュエットの口ぶりでは、一回戦はオーラユーザーとノンオーラユーザーをぶつけるはずで、オーラユーザー同士で当たる確率の高い二回戦さえ勝ち抜ければという話だった。

 誰か仕組んだのか、あるいはオーラユーザーにも満たないと思われていたのか。


 結果的に一回戦で当たる相手ということで、コトゥーが油断してくれたのでイースラにとっても良かった側面はある。

 ただちょっとだけモヤっとするなと思った。

 

 これでライバルは残り四人になったわけだけど、誰かに嫌われてるんだろうなとは感じる。


「お疲れ様です」


「ああ、お疲れ」


 マジュエットもノンオーラユーザー同士で戦い、勝利していた。

 オーラを使わない戦いの上では、マジュエットの剣の腕前はかなりのものである。


「……どうやらちょっとばかり君への風当たりは強いようだね」


「そうですね……まあ、一つ乗り越えたのでもう一つですよ」


 マジュエットが口にしたのはイースラが感じた違和感についてだった。

 本来なら一回戦はオーラユーザー同士の戦いを避けるように対戦を組むはず。


 なのに今回イースラがオーラユーザーと戦わされたことに、意図的なものをマジュエットも感じていたのだ。

 終わったことを考えても仕方ない。


 イースラは肩をすくめて、軽く笑ってみせる。


「次の相手はフリゲーラか。勝てない相手じゃなさそうだ」


 一回戦目の組み合わせは意図的なもので事前予想はできないが、二回戦目以降はトーナメント方式なので相手が分かる。

 二回戦目の対戦相手もオーラユーザーで、フリゲーラという女性であった。


 こうしてオーラユーザー同士で戦わされるということは、正直言ってしまえばイースラもコトゥーもフリゲーラもオーラユーザーとしてはあまり期待されていないのだ。

 もっと言ってしまえばきっとフリゲーラとコトゥーの実力は近く、ややフリゲーラの方が期待されているのだろう


 イースラは多分期待されていない。

 他の人と戦わせて実力を見るという側面もあるのだ。


 ただ期待されていないからと弱いというわけではない。

 上級隊員として認められるだけの実力はある。


「まあ、お前なら勝てるだろう。頑張れよ」


「マジュエットさんも奇跡起こしてくださいよ?」


「そう上手くはいかないさ。だがやるだけやってみるよ」


 多くの上級隊員がオーラユーザーに負ける当て馬的な存在となってしまう。

 しかしだからといって腐ることもない。


 オーラが使えればそれだけ有利ではあるものの、オーラユーザーだからで勝てるほど甘い世界でもない。

 マジュエットも油断があれば倒すつもりだった。


 実際諦めていたところはあるも、そんな気にさせてくれたのは子供ながらにやる気を見せるイースラの存在もあるかもしれない。

 偉そうにあれこれ教えた人間が諦めてあっさり負ける姿など見せられない。


「さて、頑張ってこいよ」


 イースラが呼ばれて、マジュエットは優しくイースラの背中を押した。

 

「勝ってきます」


 言葉だけ聞くと非常に傲慢だ。

 しかし笑いながらそう言ったイースラを偉そうとかおごっているとか、そんな風には思えなかった


 本当に勝つつもりで、その自信がある。

 自信が過ぎれば傲慢になるのだろうが、なぜだか傲慢には見えない。


「……勝てると思っているのか」


 イースラの背中を見てマジュエットはつぶやいた。

 勝てると思っているからイースラを傲慢に思わないのだ。


 勝てるだろうと口で言いながら頭のどこかで厳しいと考え、そして心のどこかではイースラが勝つことに期待している。


「フリゲーラ……イースラは油断ならないぞ」


 マジュエットはフリゲーラにも剣を教えたことがある。

 いわば教え子対決みたいなものだ。


 その勝敗はマジュエットでも予想できないものだった。


「噂は聞いているわ。オーラを扱える天才少年が現れたってね」


 暗めの金髪にそばかすのフリゲーラはステージに上がるイースラのことを目を細めて見ている。

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