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異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大


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新人研修4

「正直成績とか一番になるとかそんなこと興味ないけどさ。でも目指すなら一番だろ?」


 最下位さえ避けられれば別になんでもいいのだが、周りは明らかにイースラたちのことをよく思っておらず、舐めてもいる。

 やるならやってやる。


 どうせ目指すなら一番である。

 平原で他の奴らと一緒に魔物を追いかけ回しても一番になる自信はイースラにはあった。


 けれども圧倒的に一番になってやろうかなとニヤリと笑う。


「だから行くぞ、シノシの森」


 ーーーーー


 どうせなら一番に、という考えにコルティーの方が賛成してくれた。

 ムジオは少し渋ったけれど、コルティーが賛成したので最終的にはムジオも強く反対しなかった。


 魔物を追いかけている他の人たちを尻目にイースラたちはシノシの森までやってきた。

 静かな雰囲気のある森だが、木々の間隔は広めで比較的明るい。


 これなら敵を見つけやすくていいなとイースラは思った。


「まあ適当に歩いて魔物を見つけよう。好戦的な魔物なら向こうから来てくれるはずだ」


 平原の魔物は弱い魔物で目を皿のようにして探して見つけた後追いかけて倒さねばならない。

 しかし森に出てくる魔物は平原の魔物よりも強い。


 イースラたちがすごい強いならともかく、まだまだ子供で魔物から見ても強くは見えない。

 魔物がイースラたちを見つければ攻撃してくることだろう。


 パタパタと翼を動かしてついてくるカメラアイに見守られる中でイースラたちは森の中を進む。


「ほら、来るぞ!」


「えっ?」


「ど、どっからだ?」


「あっ、あっちです!」


 立ち止まったイースラが急に剣を抜いた。

 みんなは訳が分からず周りをキョロキョロして、ムジオがようやく走ってくる魔物の存在に気がついた。


 走ってきているのはウルフドッグと呼ばれるウルフに似ているがウルフよりも小型で弱い魔物である。

 平原に出るような魔物にとっては立派な脅威であり、捕食者の立場の魔物だ。


 イースラたちも狙いやすい相手に見えたのだろう、三匹のウルフドッグが一直線に走ってきている。


「武器を抜け! 戦いに備えろ!」


 イースラの言葉でみんなもハッとしたように武器を構える。

 サシャとクラインはベーシックな剣であるが、ムジオは細身の長剣でコルティーは槍が武器である。


 モタモタと武器を構えている間にウルフドッグはだいぶ迫ってきている。


「難しい相手じゃない。相手をよく見て動くんだ!」


 以前イースラが倒したハイウルフと比べると二段階ほど下の相手である。

 イースラからして見れば全く脅威にならない。


 ただ緊張しているみんなからすれば迫り来るウルフドッグは恐ろしいものに感じられていた。

 このまま戦わせると危ないかもしれないとイースラは思った。


 サシャとクラインはダンジョンに入った経験もあるのだしもっと落ち着いていてもいいと思うのだけど、やはり最初から自分が戦う実戦となると勝手が違うらしい。


「イ、イースラ!」


 イースラは一人で前に出た。

 本来なら単独行動は褒められたものじゃないが今は必要なだった。


 前に出てきたイースラに向かってウルフドッグの一匹が飛びつく。

 冷静にウルフドッグの動きを見ていたイースラはウルフドッグの牙をかわしながら首を切りつける。


 切り落としてしまうと面倒なので喉を切る程度に留めたが、ウルフドッグは息ができなくなって飛びかかった勢いそのままに地面に激突して転がる。


「難しいことはない。普段の訓練を思い出せば勝てる相手だ」


 イースラでも勝てる相手だということを見せつけつつ、数も一つ減らした。

 残り二匹のウルフドッグの攻撃をかわしながら四人の後ろまで下がる。


「ムジオとコルティー、サシャとクラインでそれぞれ戦うんだ」


 全部イースラが片付けてしまうとカメラアイ越しに見ている監督官にバレてしまう。

 ここはしっかりとみんなの見せ場も作っておく。


「あん時に比べれば!」


 クラインもハイウルフのことを思い出していた。

 大きくて険しい顔をしたハイウルフはイースラに首を落とされた後でも恐怖心を感じるほどだった。


 とにかく怖かったことは覚えている。

 その時に比べれば今はオーラも使えるようになったしクライン自身も強くなった。


 ウルフドッグはハイウルフよりもはるかに小さいし怖くない。


「あいつにもできたんだ! 俺にだって!」


 イースラが強いことは認めざるを得ない。

 不思議な夢を見て未来のことをある程度知っているというのもイースラの強さを見ていれば納得できる。


 でも負けたくないという思いもクラインの中にはあった。

 イースラが強くなれるのなら自分も強くなれるはず、イースラが一撃でウルフドッグを倒したなら自分だって倒せるはずだと心を決める。


 魔物と戦う恐怖心を打ち払い、クラインは飛びかかってくるウルフドッグに向かって大きく一歩を踏み出した。


「あっ、ズルい!」


 クラインの一撃はウルフドッグを縦に真っ二つに切り裂いた。

 振り向いたクラインはイースラに向かってどうだと言わんばかりの顔をしているが、その一方で何もできなかったサシャは少しすねたような顔をしていた。

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