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【第二章完結】異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大
第三章

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オオカミを捕まえろ4

「町から本当に近いんだな」


 ビルドリン村は町からかなりほど近いところにある。

 簡単な用事なら町から日帰りでも行けるぐらいの距離である。


 村の規模としては中ぐらいで、割と人もいるのが見えてきた。


「ライアンウルフ?」


「いや、そんな名前の奴いないな」


 くわを担いだ村のおじさん二人に声をかけてみた。

 ライアンウルフという人を知らないかと聞いてみたけれど、おじさんたちは顔を見合わせて肩をすくめる。


 所詮は村である。

 大体の人は顔や名前を知っている。


「じゃあ……薬屋か、薬師はいますか?」


「薬? そんなものが欲しいなら町に行った方がいい」


 おじさんは呆れたように答える。

 多くの物は大きな町の方が揃っているものであるのは当然の話だ。


「薬なんて……せいぜい風邪のときに怪しい草汁作るぐらいだな」


「それも不味いだけで効果なんか分りゃしないだろ」


「あれが嫌で風邪じゃないと嘘つくんだよな」


 どうやらおじさんたちは、薬を作っているライアンウルフという存在に心当たりはなさそうである。


「魔女がいた時なら……そこに行ってみろと言うんだがな」


「魔女?」


 ちょっと引っかかる言葉が出てきた。


「ああ、昔いたんだよ。良い薬を安く売ってくれる魔女がな」


「そういえば、そんなのいたな」


「村長と関係がこじれて……いつか倒れたと聞いたな。それからどうなったのかは知らないが、姿は見てないから……きっとここらを離れたか、もういないんだろうな」


「そういえば魔女のところに一人、ガキがいなかったか?」


「そんなのもいたような気がするな」


 これ以上は情報を得られなさそう。

 イースラはおじさんたちに礼を言って、情報収集を続ける。


 ちなみに配信はしていない。

 本当はライアンウルフのことを隠しておきたいからなのだけど、表向きには村の人が嫌がるかもしれないからと言って配信を切っている。


 実際配信がまだ根付いていない田舎の方に行くと、カメラアイのことを極端に嫌がる人もいる。

 配信を見るのは良いけど、自分が映るのは嫌なんて人だって少なくない。


 外で突発的に映ってしまうならともかく、配信があまり広まっていないところで撮影を行うのは避けた方が無難だ。


「ライアンウルフも薬屋も村にはいないね」


「でも昔は魔女が……」


 とりあえず目についた村人たちに声をかけてみる。

 こういう時に子供というのは警戒されにくいので助かるとイースラは思った。


 どの人もライアンウルフ、そして薬を作っているような人は知らないと言う。

 ただ薬の話題を出すとかなりの確率で魔女の話がまだ出てくる。


 名残惜しそうだったり、悲しげに語る人もいて、魔女と呼ばれている割には好かれていた人だった印象をイースラは感じた。


「魔女って人は怪しそうだけど、もう何年も見てないんじゃ違うのかな……?」


 薬を作れる人を探していて、良い薬を作る魔女がいる。

 それだけ聞くと魔女がライアンウルフなのではないかと思ってしまう。


 ただ魔女はもう長いこと姿を見せていない。

 死んだのだと言う人もいれば、村の近くを離れていってしまったと言う人もいる。


 どの道正体がわからないという点では変わらない。


「魔女の家、訪ねてみますか」


 サルドゥーラは軽くため息をつく。

 これだけ魔女の話しか出てこないのだから魔女とやらを一度尋ねてみるしかない。


 いなかったらまた別を探せばいいし、いたならライアンウルフの可能性もある。


「そうしてみますか」


 話を聞く中で魔女の住んでいた場所も分かっている。

 イースラたちは魔女の家があるという、町外れの森に向かう。


「思ってたよりもデカいな」


 森の中には屋敷と呼べるような大きな家があった。


「手入れはされてるな」


 イースラは家の様子を確認する。

 家はかなり綺麗にされている。


 周りの草は刈り取られているし、窓は曇りなく中が見える。

 長い間放置された雰囲気ではなく、今現在も誰かが住んでいるようだった。


「すいません! 誰かいますか?」


 イースラは家のドアを強めにノックする。

 家は広い。


 控えめにノックして聞こえなかったなんてことは防ぎたい。


「……いないのかな? すいませーん!」


 ノックして少し待ってみるも反応はない。

 イースラはもう一度ノックをしてみる。


 人がいないというのにも色々とある。

 今たまたま家にいないのか、それとも家が綺麗に見えているだけで実は住んでいないのか、他にも無視されていることだってありうる。


「ダメですよ、師匠」


 ウライノスがそっと剣に手をかけた。

 勝手に入るという考えがイースラの頭の中にないわけではないが、流石に短気が過ぎる。


「一回出直して、それでもいないようなら……おっ?」


 たまたまいない可能性も大いにありうる。

 少し時間を置いたり、日を改めたりして訪ねてみてもいないようなら強行的な手段も考える。


 そんなことをイースラは思っていたのだけど、家の玄関がふいに開いた。


「……誰もいない?」


 サシャが家の中を覗き込む。

 ドアは誰も触れていなかった。


 なのに開いた。

 ならば内側にドアを開けた人がいるはずだ。


 だが誰もいないのである。

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