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【第二章完結】異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大
第三章

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すぺしゃるげすと2

「包丁で、こちらを切ればいいんですね」


 分かりやすく手順も書いた小さめの紙を、配信画面の隅に映るように立てておく。

 手順を間違えないように料理する側にも置いてある。


「ええと……どうしたら」


「ちょ……怖い持ち方するね」


 しっかりと包丁の柄を握りしめて、立てて持つ。

 今時ナイフだってもうちょっと柔らかく持つことだろう。


 誰がどう見ても素人の持ち方だった。


「まあ、生粋の箱入り娘だから仕方ないよな」


 イースラは思わず笑ってしまう。

 お姫様が台所に立つなんてまずしない。


 回帰前にイースラとユリアナが出会った時だって、ユリアナは料理が全くできなかった。

 恋人になって、イースラに食べさせたいと努力してやっとできるようになっていたぐらいだったことを思い出す。


「包丁はこう! もうちょっと優しく持って……」


 一丁前にサシャがユリアナに包丁の持ち方から教えてあげている。

 女の子が増えると華やかでいい。


 最初はおぼつかなかったサシャが人に教えているというところにも一定の評価もある。

 ただサシャの時と違って大変なこともあった。


「あひゃあ!?」


「ふんげっ!」


 ユリアナにお皿をとってもらうと足を滑らせる。

 ビュンも飛んできた皿がクラインの首にクリーンヒットしてしまった。


「ひょわあああっ!?」


「ちょっ! 火力強すぎ!」


 ユリアナに火をちょっと強くしてくれと言ったら加減が分からずに盛大に燃え上がらせてしまった。

 危うく火事になるところだった。


「ごめんなさい……」


 塩の蓋が外れてバッと振りかけてしまったり、硬い野菜を勢いよくきってカケラがイースラに襲いかかったりと何だかハプニング満載。

 数々のミスでユリアナはすっかりしょぼんと落ち込んでしまった。


「不器用だな」


「ううっ……!」


 ここまでとはイースラも思っていなかった。

 ユリアナがどんな努力をして人並みに料理できるようになったのか知らなかったが、思っていたよりもはるかに頑張ったのかもしれないと今更気づいた。


「でもまあ、死人は出てないから大丈夫だよ」


「俺首痛いんですけど?」


「生きてるだろ?」


「基準低くね?」


 クラインは首を押さえている。

 お皿も勢いがつけば凶器になるのだなとみんな学んだ。


「今は下手でも……ちょっとずつ上手くなってけばいいさ」


「ちょっとずつ……また、一緒に料理していただけるんですか?」


 これだけ失敗したのだから、もう次はないだろうとユリアナは思っていた。

 しかしイースラは別に怒ってもいないし、今回限りとも考えていない。


 むしろいい感じだったとすら思っている。


「最初から上手くできすぎても面白くないだろ? そっちがまだやる気なら、また参加してくれよ」


「イースラさぁん……!」


 ユリアナは目をうるうるとさせている。

 サシャはやや冷ややかな目をしているが、邪魔だから嫌と思うような子でもない。


 ユリアナがまた来たいというのなら、それもいいかもとは思うのだ。


「料理は結果的に上手くできたしな」


 過程に色々なハプニングはあったものの、ちゃんと料理は完成した。

 終わりよければ全てよし。


 クラインの首を襲った後、落ちて割れてしまった皿など新しく買えばいいのだ。


「さてと……皆さんに一つお願いがあります」


 配信はまだ終わっていない。

 イースラはカメラアイに視線を向ける。


「よいしょ……こんな感じの瓶や、こんな感じのマークの薬屋さん知っている人が教えて欲しいんです」


 イースラが取り出したのはライアンウルフの薬瓶。

 四角錐の珍しい形をした瓶には獅子のようなマークが刻まれている。


 ライアンウルフのことは今エティケントが探してくれているのだけど、今のところ見つかってはいない。

 魔剣アルドッグについても片付いたし、そろそろ次なる動きに出たいなと思っていた。


 エティケントが見つけられないなら、他の人の力を借りればいい。

 幸いイースラの配信は視聴者も多い。


 もしかしたらライアンウルフのことを知っている人もいるかもしれない。

 だから配信で情報提供を呼びかけてみた。


 上手くいけば情報が得られるだろう。


「では今日の配信はここまで! ユーちゃんは次にいつ出るか分からないので、注目してみていただければと思います! それでは!」


 イースラは配信を終了させる。


「トラブルあったけど、見てた方も盛り上がってたし結果オーライだ」


 配信画面を見ている限り、ユリアナを応援している声も多かった。

 ほんわか料理配信なので、見ている人もほんわかしていて優しい。


 サシャが教えている様子をウイと言っているコメントも多かった。


「最後はちゃんと作った料理を食べて終わりだ」


 配信があるので一口二口食べるが、食べてる様子を全部配信するのはちょっと恥ずかしい。

 なので配信が終わった後にしっかり食べることにしている。


「自分で作ったやつだから食べろよ?」


「はいっ!」


 ユリアナは仮面を外して嬉しそうに笑顔を浮かべている。

 後に確認してみると、配信にライアンウルフについての情報提供もあって、スペシャルゲストありの配信は大成功に終わったのだった。

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