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【第二章完結】異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大
第二章

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広がる影響2

「イースラ、キミの話は聞いている。今回、ゲートダンジョンを攻略できたのはキミの働きによるところが大きい」


 今回もお義父さんなんて呼ぶことはないだろうと思っている。

 だがやはり回帰前のイースラもまたイースラであり、今のイースラの中にいる。


 周りからすれば王様を前にした緊張だと思われているが、実際はそうした理由ではなかった。


「それが例の魔剣だな。よく見せてほしい」


 騎士の一人が前に出て、イースラの前に細長い箱を差し出す。

 中には赤いクッションが敷き詰めてある。


 イースラがそっと剣を箱の中に置く。

 騎士は軽く頭を下げてイースラから離れると、アルゼストの前で膝をついて箱を捧げる。


「一つ……剣にお手を触れないよう気をつけてください。うちのイースラは平気ですが、他の人が持つとどうなるか分かりません」


 ゲウィルが先に警告を口にした。

 アルドッグには無闇に人を支配するなと言いつけてあるが、精神力の弱い人はアルドッグが何かをするまでもなく欲求を刺激されて暴れ出す可能性があるらしい。


 少なくともイースラは触って無事なので、他の人は触れないようにするというのが賢明だった。


「そうか」


 アルゼストは伸ばしかけていた手を引っ込める。


「危険な魔剣だということを考えずに見れば美しい剣であるな」


 黒い刃は傷一つなく、宝石のよう。

 全ての光を吸収してしまう剣を眺めていると、思わず手を伸ばしてしまいたくなる衝動にも駆られる。


 剣から離れているのでイースラにはアルドッグの声が聞こえていないが、ドヤ顔でもしていそうだと思った。

 アルドッグの自尊心は高い。


「この剣……イースラ君にそのまま与えることとしよう」


「なっ、父上!」


 第二王子が驚きをあらわに立ち上がる。


「このようなものに魔剣をお与えになるというのですか!」


 ゲート攻略の功績があるかもしれないが、イースラはゲウィル傭兵団の末端構成員にすぎない。

 言ってしまえば何処の馬の骨とも分からない子供なのである。


 魔剣は一つのカードになる。

 与える相手を選べば、魔剣という品で優秀な相手を手元に引き込めるかもしれないのだ。


 イースラに渡すにしても、イースラの功績をゲウィル傭兵団の功績としてゲウィルに渡してからという形を取ればゲウィル傭兵団との結びつきも強められるだろう。

 今この場でイースラにひょいと渡してしまうべきではないと第二王子は考えた。


「ならばどうする?」


「それは……」


 加えて第二王子には惜しいという思いがあった。

 ゲートの攻略を先に行ったのは第二王子であり、成功していたらアルドッグは第二王子の手に渡っていた。


 あくまでも成功したらの話であるが、本来は自分のものだったのに、とどこかで考えている。


「ゲートの攻略そのものには失敗いたしましたが……攻略の様子を見た時に、道中は私たちが攻略したことによって事が上手く運びました」


 この期に及んで功績を主張するのか、とイースラは驚く。

 確かにゲートダンジョンの途中は戦いもなかった。


 それは第二王子が攻略したおかげであり、イースラたちはアルドッグだけを攻略すればよかったのである。

 第二王子のおかげで楽をできたと言われれば反論もできないが、ゲートダンジョンの攻略とはそんなものだ。


 前の攻略者の屍を超えて攻略していくことなどままあることで、仮に自分が入った後の人が攻略成功したからと自分の功績があると主張することはあり得ない。

 ましてイースラたちは第二王子の失敗を挽回までしてあげた立場である。


 ただこうなってしまった以上は第二王子も引けない。

 このまま大人しくしていると、ただ失敗したというものしか残らない。


 何かを引っ張り出そうと第二王子も必死になっている。

 ただアルゼストの目は冷たい。


 ここで焦って挽回することなどできないのに、時機を見極められていない。


「あの子は剣を持っても無事だった。相応しい資格を備えている。ならばお前があの剣を手にしてみるか?」


「なっ……」


「今この場にはお前が暴れようとも止めてくれる方々がいる」


 ゲウィルを始めとして、エティケントにビブローもいればアルゼストを守る騎士もいる。

 第二王子はオーラユーザーでもないし、仮に暴れても周りに被害を出すことなく止められるだろう。


 ただし命の保証がないことは第二王子も分かっている。


「………………やめておきます」


 ここで挑戦するなら男気も感じられるのだが、第二王子は引いてしまった。

 アルドッグを手にして暴れれば、命の危険もある上に仮に無事に済んだとしても失敗の上塗りになる。


 リスクがあまりに大きい。

 流石にそこまで計算できないほど馬鹿ではなかったが、さらに小さい失敗を重ねたことに変わりはなかった。


「では魔剣はゲウィル傭兵団がイースラに」


「……ありがたくいただきます」


 ゲウィルに肘で突かれて、イースラは頭を下げる。

 こうなる予想していた。


 扱えるかどうかリスクの高い魔剣は宝物庫に入れておくだけでも危険だろう。

 それなら扱えると分かっているイースラに渡す可能性が高いのは必然である。

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