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異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大


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魔に抗い、屈服させる1

 イースラは比較的後ろの方からゲートに入った。

 ゲートをくぐり抜ける時の独特のまとわりつくような雰囲気は、何回経験しても慣れないものである。


 草原のど真ん中にあったゲートを抜けると、そこは不思議な遺跡の前だった。

 一瞬で違う場所に来てしまうのだから、これもまた不思議だ。


「中は比較的明るいと聞いているが、何が起こるか分からない。自分たちの火を絶やさぬように!」


 今回ダンジョンとなるのは目の前の遺跡だ。

 前回攻略した第二王子たちの情報はゲウィルも手に入れてある。


 しかし何かのきっかけに知らない出来事が巻き起こってもおかしくないのが、ゲートダンジョンである。

 ダンジョンの中に進んでいく。


 かなり広めの通路には一定間隔で煌々と燃える松明が並んでいて、移動に困らないぐらいの明るさがある。

 明かりがあるからと油断はしない。


 ダンジョンが用意した急に明かりが消えてしまう可能性も排除しきれないので、明るくても自分たちで明かりを用意しておく。

 あまり戦闘要員として見られていないイースラも松明を持たされていた。


 静かな遺跡の中に足音だけが響く。

 第二王子による攻略で、魔物は多くが討伐された。


 そのために魔物が出てくる可能性は低いとは見られているが、出てこないと断言することはできない。

 ゲートダンジョンまで来る途中にあったゆるい雰囲気は息を潜め、魔物を警戒するピリついた雰囲気が場を支配していた。


「……魔物が出たぞ!」


 先頭は盾を持った人と強い人が務めている。

 緊迫した声が聞こえてきて、イースラを含めたみんなが一斉に戦闘態勢を取る。


 やや後方で、みんなに囲まれた安全地帯に置かれたイースラも剣を抜いて前方に目を凝らす。


「来るぞ!」


「……結構気味悪い魔物だな」


 遺跡の奥から二体の魔物が迫ってきていた。

 腕が一対、足が一対とパーツだけで言えば人とも近いが、腕も足もかなり細長い。


 皮膚は黒ずんでいて、目があるところは皮膚で覆われ、口は裂けたように大きい。

 全体的に人よりもふた回りほど大きくて、熱が高い時に見る悪夢のような造形をしている。


 長い手足を使ってクモのように地面を這って移動していて、それもまた気持ち悪い。


「矢を放て!」


 早めに察知したために戦う準備はできている。

 弓矢を武器として持っている人が魔物に狙いを定めて矢を放つ。


「盾、前へ!」


 魔物は腕を振るって飛んでくる矢を払うが、防ぎきれずに何本かが体に刺さる。

 一瞬だけ怯んだ様子を見せたが、それでも魔物は構わず襲いくる。


 盾を持った人が一歩前に出る。

 魔物はそのまま目の前にいる相手に向かって、両手を叩きつけるように振り下ろす。


 騎士の一人が魔物の攻撃を受け、攻撃の隙を狙ってゲウィルとムベアゾが飛び出していく。

 それぞれが魔物の腕を一振りで切り裂いて、次は本体を狙う。


「油断するなよ」


「していないさ。助けてもらえると分かっていた」


 魔物は一体だけではない。

 体の方を狙うゲウィルにもう一体の魔物が手を伸ばしていた。


 だが、そうはさせないとビブローが魔物の腕を輪切りにしてしまう。

 ビブローの助けにゲウィルは軽く笑みを見せると、そのまま魔物と距離を詰めて縦に真っ二つに切り裂いた。


「はぁ〜流石だな」


 大型ギルドを率いるだけの実力はあると感心してしまう。

 ただの人望ではなく、実力としてもゲウィルは確かな力を持っていた。


 元々傭兵なのだ。

 実力主義が色濃い世界で生き抜いてきた実力は本物である。


 腕を輪切りにされたもう一体の魔物の方も、あっという間にゲウィル傭兵団に倒されていた。


「怪我人はいないな?」


 一見するとただ余裕の戦いに見えるが、ひとえにそれはゲウィル傭兵団の動きが良かったというところも大きい。

 兵士や騎士は人を相手にすることも多い。


 一方で冒険者ギルドであるゲウィル傭兵団は、魔物の相手が専門である。

 魔物の相手も慣れている。

 

 魔物を相手にしても乱れることのない、統率の取れた冷静な動きが余裕を生んでいるのだ。


「魔物がある程度復活しているようだ。今後の警戒をより強めるぞ」


 ゲートの中の魔物は時間が経つと復活してしまうこともある。

 いないことも期待していたが、流石にそこまで楽はさせてもらえないようだ。


 進んでいくと大きな部屋に出た。

 そこには手足の長い魔物が数体いて、ここでもイースラは戦うことなく戦闘は終わった。


「魔物はいるが……第二王子の遠征の時より少ないな」


 いくつか分岐もあったが、第二王子の時の攻略と道そのものは変わっていなかった。

 どう進めばいいのかも分かっているので迷うことなく進んでいけた。


 いくつか部屋を通って戦闘になったものの、第二王子の時より出てくる魔物は少なかった。

 魔物は復活しているが、全て復活しているわけではないようだ。


 まとまった人数もいるので、少数ずつ襲いかかってくるぐらいならリスクは小さい。


「予定ではもう少しですね」


 時間も分からないダンジョンの中ではあるが、なんとなく経過した時間を考えてちゃんと休憩も取る。

 前回の攻略の様子から魔剣のある場所も目の前に迫っていたことも分かっている。

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