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04 戦闘準備

 客が少ないことをいいことに、食べ終えてからもしばらく他愛もない雑談をしていた。今までチャットでやりとりはしていたものの、直接会うのは一年振りなので話題は尽きない。

 僕の話でティナが笑って、ティナが高等部のことを色々教えてくれて……。


 気付けば、時刻はもう午後六時になろうとしていた。ここに来てから二時間以上喋っていたことになる。


「……あ、もうこんな時間なんですね。気付かなかった」


 僕はスマホを見ながら言う。


「そうね、そろそろ行きましょうか」


 店を出てそのまま帰路につくと思いきや、ティナは店前の歩道を西へと歩き出した。


「あれ、どっちに行くんですか?」


 僕は聞く。このハンバーガーショップは街のほとんど外縁にあって、ここより西側は人の住まない旧市街地だった。ティナの家がそっちにあるとは思えない。


「いいからいいから、日都也も一緒に来て」

「……あやしい」

「そんなことないわ。サプライズを用意しているだけよ」

「……それ、仕掛けられる人に言ったら駄目なやつ」

「いいからい来なさい」


 そう言って、ティナが制服の袖を引っ張ってくる。


「はいはい、分かりましたから引っ張らないでくださいよ」


 旧市街地に入り、さらに三十分ほど歩く。

 旧市街地はダンジョンと街の間にある地域で、元々は条彩市の一部で人が住んでいた。だが、頻繁に魔物の襲撃があるせいでどんどん人が離れてゆき、ついに無人になってしまったのだ。


 今後魔物の襲撃が増え続ければ、さらに条彩市から人が離れて旧市街地が広がってゆくだろう。それを防ぐためにも、僕たち条彩学園の生徒が魔物を食い止めなければならないのだ。


 前方から物音が聞こえてきた。

 そちらに目を向けると、打ち捨てられた駅前のロータリーに、三十人くらいの人が集まっているのが見えた。全員条彩学園の黒い制服を着て、腕に風紀委員を示す青い腕章をして、手にアサルトライフルを持っていた。

 その中の一人、黒髪をヴェリーショートにした長身の美人がティナに気付き手を振った。


「ティナ、こっち」

「ごめんなさい。もしかして遅れた?」

「いや、時間通り。……んで、こっちが例の?」

「そう、私の一押しの新入生」


 ティナがブレザーのポケットから風紀委員の腕章を取り出して左腕に付けた。


「……ふうん、そうなんだ。何か普通っぽく見えるけど」

「いや、普通っぽいというか普通ですよ、僕」

「ウチは二年の蔦嶌(つたしま)鶺鴒(せきれい)な。よろしく普通君」

「一年の皆上日都也です。……これ、何の集まりですか?」

「は? こいつから聞いてないの?」

「サプライズがあるって聞きましたけど」

「昨日、市内でゴーレムとゴブリンの大群の襲撃があって、ウチら風紀委員会が対応したけど大半を取り逃がしたって話、知ってるよな?」

「はい、聞きましたけど……」

「それだけ聞けば、あとは言わなくても分かるよな」

「……まさか、そいつらがこの先にいて、これから討伐をするとか言わないでしょうね?」

「分かってんじゃん」

「……ティナさん?」

「ふふ、サプラ~イズ」


 ティナがアーモンド形の目を細めて悪戯っ子のように微笑む。


「思ってたサプライズと全然違うんですけど」

「サプライズにも色々な形があるのよ」

「なんかそれっぽいこと言って誤魔化すのやめてもらえます?」


 僕はそう言ってティナを睨んだが、ティナはにこにこ微笑んで強引に誤魔化そうとする。


「全く……、こんな回りくどいことしなくても、『討伐するから一緒に来い』って言ってくれれば断りませんよ」

「それじゃあ面白くないでしょう? だからサプライズにしてみたの」

「もっと別のサプライズが良かったです……」


 僕は肩に掛けたハードケースを降ろして蓋を開けた。

 中から、ヘッドセット型の骨伝導式多目的通信機と弾倉やら手榴弾を入れた防刃ベストを取り出して身に着け、最後に銃剣付きのアサルトライフルを手に取る。


 中等部の頃から実銃を使っての訓練は行っていたし、年に何度かは、実戦訓練の授業で魔物相手に戦っていた。だから、アサルトライフルはもうすっかり手に馴染んでいた。


 ティナもハードケースから僕と同じ装備を取り出して身に着けたが、それに加え、刃の代わりに細長い機械が付いた剣のようなものを腰に提げ、頭に天使の輪みたいなものを装着した。


 天使の輪は支えもないのにティナの頭上にぷかぷかと浮いている。その輪とティナの美貌が相まってまるで天使みたいだった。


「何ですか、その天使の輪みたいなの」

「うん、私の秘密兵器よ。さて、それじゃあ始めましょうか」


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