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34 【帰らずの森】1

 輸送機は順調に飛び北西へ向かう。ダンジョンから立ち昇る魔力のせいで空気は粘り気を帯びていて、高出力のヘリが今にも落ちてしまいそうでちょっと怖かった。


 ジェットエンジンがこの空気を取り込むと動作不良を起こすため、現行の旅客機や戦闘機はダンジョン上空を飛ぶことができない。もしダンジョン上空で空中戦をするなら、往年のプロペラ機が活躍するだろう。


 一時間ほど飛ぶと視界の先に【帰らずの森】が現れた。陽の光を遮る黒い巨木が茂る森で、上空から見ると、そこにぽっかりと大穴が開いているように見える。


 今は【帰らずの森】に隣接する砂漠ダンジョンの上空だ。


 本来、【帰らずの森】の隣に砂漠はない。だが、相転移魔法により無秩序に入れ替えられた地形は、本来の地域や気候を無視してこちらの世界に出現した。だから、ありとあらゆる地形がつぎはぎのようにくっついている。


「総員、降下準備」


 レトゥグスが告げる。ダンジョンには危険が多いためヘリを着陸させるリスクは取らない。

 本当なら【帰らずの森】の真上から降下するのが手っ取り早いのだが、それだと、着地した時に全員がばらばらになるリスクがあった。そのため、その隣の拓けた砂漠に降下して集合してから森へ突入する手筈になっている。


「降下」


 輸送ヘリの後部が展開し、僕は真っ先に飛び降りた。今回の遠征の発案者は僕だし、森のことも魔物のことも知り尽くしているので、今回だけはでしゃらばらせてもらう。

 ごう、と凄まじい風圧か体に掛かり耳元で風が唸る。浮遊感と落下感に、内臓が口から飛び出しそうだった。


 パラシュートを展開。途端に降下速度が緩やかになる。

 僕はパラシュートをコントロールしながら砂漠と森の境目辺りを目指す。頭上を見ると、他の隊員たちのパラシュートが青空に歪な花みたいに咲き誇っていた。


 眼下に目を戻すと、深い森の端から無数の黒い影が飛び立ち、こちらに向かってくるのが見えた。

 女性の顔と上半身に鳥の翼と下半身を持つ魔物ハーピーが、ぎゃあぎゃあと喚きながら迫ってくる。


「ハーピー接近、数はおよそ五十!」


 ヘッドセット越しにみんなに呼びかけながら、アサルトライフルを構える。


『攻撃開始』


 レトゥグスの声と同時に、僕は引き金を引き弾丸をばら撒いた。周りの生徒も射撃を始める。

 無数の弾丸が青空を削りハーピーに降り注ぐ。


 これで相手がただの鳥だったら今の斉射で全滅だろうが、相手は《銃撃耐性》持ちのハーピーだ。弾丸が直撃して多少は怯むものの、この程度じゃ落ちてくれない。


 ハーピーの群れは弾幕の中を猛然と昇ってくる。風に流されながら撃っているのでこちらの命中率も悪い。

 弾切れを起こしたので、弾倉交換をしてまた撃ちまくる。先頭を飛ぶハーピーがすぐ足元まで迫った。


「しつこいんだよっ!」


 そいつの鼻っ面に蹴りを入れて弾丸を撃ち込む。蓄積したダメージがようやく限界を超えたのか、そいつは女性の悲鳴のような断末魔を上げて墜ちていった。聖騎士団時代、この悲鳴が気持ち悪くてハーピーを嫌っていた団員は結構多かった。


 周りの生徒も次々とハーピーを射ち落としていくが、一人がハーピーに組み付かれた。撃つと味方に当たるため掩護はできない。その生徒は鎧型擬魔機の膂力を使い、力任せにハーピーの首をへし折った。


 生徒たちが砂漠に着地して素早くパラシュートを下ろす。最後に砂漠に降り立ったレトゥグスが被害状況を確認する。全員無傷。翼を翻し追ってくるハーピーを撃って牽制しながら、ダンジョン【帰らずの森】に突入した。


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