クラルティ家のお茶会 3
お気に入り登録、評価などありがとうございます!
おやつをもりもり食べた後で、ボルヒェルト先生がまたわたしにお礼を言って、音楽の授業が再開された。
ボルヒェルト先生がお金を払うと言い出したのをゲルルフさんとベティーナさんが止めて、それでも止まらないからリヒャルト様まで呼ばれて、あーだーこーだとわたしがお菓子を食べている横で騒いでいたけど、最終的に今度わたしにお菓子の差し入れをするということで落ち着いたらしい。
……よくわからないけど、お菓子がもらえるのはいいことだよね!
ボルヒェルト先生がヴァイオリンがどんな楽器なのかを教えてくれて、基本的な構え方とか、弓の弾き方とかを教えてくれる。
ボルヒェルト先生が弾くととても綺麗な音が出るのに、わたしが弾くととっても変な音が出るのは何故だろう。
コツを掴めば綺麗な音が出るようになるから、こればかりは練習あるのみだって先生が言っていた。
そのあとは、猫の歌をボルヒェルト先生が音階に変換したものを歌った。楽譜の読み方とかも今度教えてくれるそうだけど、最初は耳になじんでいる曲をした方が楽しいでしょうって。うん、楽しい!
戻って来たリヒャルト様は、音階の猫の曲を聞きながら「これならまあ」と言っていた。
何が「これならまあ」なのだろう。わたしの隣に座って、ボルヒェルト先生が書いた楽譜と音階をしげしげと見つめている。ボルヒェルト先生はわたしの聖女仲間の一人と同じで、絶対音感というものを持っているそうだ。
ゲルルフさん曰く、ボルヒェルト先生は若かりし頃、宮廷音楽家としてブイブイ言わせていたんだって! ブイブイってなんだろう。
ちなみに、ボルヒェルト先生は男爵様でもあるらしい。もともと伯爵家の四男で爵位は持っていなかったけど、宮廷音楽家として長く勤め、さらには陛下とベルンハルト様、リヒャルト様の幼少期の音楽教育に貢献したとかで爵位が与えられたんだそうだ。
領地は持っていないけど、男爵の位をもらったときに、貴族街に小さなお邸ももらったと言っていた。ちなみにボルヒェルトという姓も、男爵位をもらったときに名乗りはじめたそうである。
わたしが音階での猫の歌をだいたい覚えたあたりで、ボルヒェルト先生がソファから立ち上がってピアノの前に座った。
「せっかくなので歌ってみましょうか」
「先生、私の腹筋をこれ以上崩壊させるのはやめてほしいのですが……」
「音階ならいいのでしょう?」
「ベルもなしにしましょう」
リヒャルト様が神妙な顔でそう言って、わたしが使っていたベルをゲルルフさんに回収させてしまった。
あのベルはリヒャルト様がリズムを覚えるために渡してくれたのに、ベルを鳴らしながら歌うのはだめらしい。
まあ、今回はボルヒェルト先生がピアノを弾いてくれるそうだから、ベルはいらないけどね。
ボルヒェルト先生に手招きされたので、わたしはピアノの前に移動する。
さっき聞いたばかりの曲なのに、ボルヒェルト先生がとっても綺麗に伴奏してくれた。
「ではいきましょう。さん、はい!」
「猫、にゃんにゃんにゃー、猫にゃんにゃんにゃーっ」
「音階だスカーレット! せめて音階にしてくれっ!」
リヒャルト様が、お腹を押さえてうずくまった。
今日のリヒャルト様は、なんかちょっと変である。
ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ
リヒャルト、腹筋崩壊~









