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【書籍化】燃費が悪い聖女ですが、公爵様に拾われて幸せです!(ごはん的に♪)  作者: 狭山ひびき
学園生活を謳歌します!

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ドレスのデザインと秘密 3

お気に入り登録、評価などありがとうございます!

「病気でも怪我でもないです。でも、栄養が足りていないのと、過労? というやつだと思います。以前同じような症状の人を癒したことがありますから」


 玄関で気を失って倒れたアリセさんを客室に寝かせて、わたしは癒しの力を使った後でそう判断した。


「栄養が足りないのは癒しの力でどうすることもできません。目が覚めたら栄養を取った方がいいです。あと、過労も、ちゃんと休まないと回復しません。癒しの力で底上げはしていますけど、癒しの力だけだと根本的な解決にはなりませんよ」


 聖女の癒しの力だって限界がある。

 癒しの力は自己免疫機能や回復機能の底上げだから、免疫機能や回復機能でどうすることもできない問題には対処しようがない。

 アリセさんの場合は癒しの力では解決できない問題なので、ご飯をきちんと食べて休まないと回復は見込めないだろう。

 それから、この場合はお医者さんに診てもらった方がいいとも思う。栄養失調や過労になってくると、聖女よりお医者さんの出番だ。


 わたしがそう言ったので、ゲルルフさんが公爵家とお付き合いのあるお医者さんを呼んでくれた。

 アリセさんはまだ目を覚まさないけど、お医者さんが下の瞼の色を確認したり、脈を測ったりして、わたしと同じ答えを出す。


「過労と栄養失調、あと貧血も見られますね。栄養と、それから休息を取っていただいてください。きちんと回復しなければまた倒れますよ」


 わたしがうんうんと頷いていると、お医者さんがくすっと笑う。


「薬というわけではありませんが、ゴジベリーが効果的かもしれませんね。聖女様がお薬を作られるのであれば、ゴジベリーを加えられるといいのではありませんか?」

「そうなんですか?」

「私も詳しくはありませんが、古い友人の奥様が聖女様でしてね。友人が疲労で倒れた時に、あれこれ試してたどり着いたと言っていました」

「知りませんでした!」


 いいことを聞いた!


 神殿では病気を治す薬と傷薬しか作っていなかったけど、ゴジベリーを使えばプラスの効果が得られるのか。試してみよう! もしかしたら、新しいお薬が作れるかもしれない。


「とはいえ、薬師も疲労回復薬でゴジベリーを使いますからね。聖女様のお薬とどれだけの差があるのかは私にはわかりませんが、聖女様がおそばにいらっしゃるのであればわざわざ薬師の薬を処方する必要もないでしょうし」

「いえ、スカーレット様は……」


 ゲルルフさんが何やら慌てて口を挟もうとしたけど、わたしが「そうですね!」と返事をしたので困った顔で黙ってしまった。


 ……わたし、何か困らせることをしたかな?


 お医者さんがにこりと微笑んで、「また何かあれば呼んでください」と言って帰ると、ゲルルフさんがこめかみを押さえながらわたしを見る。


 ……ゲルルフさんも、リヒャルト様と同じ癖!


 領地のお邸の家令のアルムさんもそうだったし、主従は似て来るんだね!

 新しい発見に楽しくなっていると、ゲルルフさんが、「お薬を作られるんですか?」と遠慮がちに聞いてきたので、もちろんと答える。


「ゴジベリー手に入りますか? あ、ゴジベリーって高いですか?」


 わたしはお金を使わないので物の値段があまりわかっていない。ゴジベリーは神殿で暮らしていたときに食べたことがあるけれど、入手困難だったり、すっごく高級な食材だったらどうしよう。


「安価なものなのでそのあたりはご心配いただかなくても構いませんよ。それからわざわざ仕入れなくとも、料理に使うため乾燥のものがキッチンにありますが……はあ」


 なんでため息?

 不思議に思ってベティーナさんを見れば、こちらも困った顔をしている。


「ただでさえ規格外であるスカーレット様ですからね……どんな問題が起きるのか、正直、不安で仕方がありません」

「ただお薬作るだけですよ」

「スカーレット様のお薬は特別だと聞いていますよ。……さらに言わせていただければ、聖女様のお薬は本来、その扱いや販売が管理されているものです。身内にこっそり使う程度ならば問題ないでしょうが、他人のために作るのは問題かと。スカーレット様ならば助けてくれる、などという前例は作りたくありません」


 そういうもの?

 でも、もう作るってお医者さんに言っちゃったし、アリセさん体調悪そうだからわたしができることがあるならしてあげたいし、それから……。


「アリセさんはでも他人じゃないですよ。わたしの結婚式のドレスをデザインしてくれるんです!」


 他人じゃないならいいんだよね?

 そう言うと、ゲルルフさんとベティーナさんが揃って頭の痛そうな顔になる。


「……ベティーナ、スカーレット様はいつもこんな感じか?」

「知り合ったものを全員身内枠に入れていたのは、今日はじめて知りました……」


 わたしはいったいどうして二人を困らせてしまったのだろうか。

 ゲルルフさんが肩を落としながらメイドさんを呼んでゴジベリーを用意するように伝えている。

 アリセさんはまだ目覚めそうにないし、今のうちにお薬を作ってしまおう!


 ……うまくいくといいな!




ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ


8/5から二つのコミカライズ作品の配信がはじまりました!

よかったらチェックしていただけると嬉しいです(*^^*)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

※「幽閉令嬢~」の方はベリーズファンタジー様でノベル版が出ております!


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