金色のベルとデート 4
お気に入り登録、評価などありがとうございます!
ぱ~、ぱ~ってしばらく音が続いたあとで、ステージに白いひげのおじさんが現れた。
リヒャルト様が「指揮者」だって教えてくれる。
楽器を持ったたくさんの人をまとめる役割の人なんだって。
見る限り楽器にもたくさん種類があるみたいなんだけど、今日は何も考えずただ音楽を楽しめばいいってリヒャルト様が言う。
……何も考えないのは得意ですよ!
リヒャルト様は細かい説明が大好きだから、また説明がはじまるのかと思ったんだけど、今日はそうじゃないようだった。
シフォンケーキを食べ終えて、新しいケーキを取り出しながら演奏のはじまりを待つ。
今日は五曲演奏するんだって。一時間半の公演だそうだ。
……あ、この曲知ってる!
一曲目は、この前学園の音楽室で聞いた曲だった。
ふわわ~んってお花畑みたいな曲。
ふんふん、と鼻歌で覚えているところを歌っていると、リヒャルト様が笑う。
「リズム感は微妙なのに音感はあるのか。スカーレットは面白いな」
「歌は好きです。一曲だけなら知ってますよ。短いですけど」
「どんな曲?」
「猫のしっぽをふんじゃってにゃーにゃー怒られる歌です。聖女仲間が教えてくれました」
「そ、そうか……。今度歌ってくれ」
「はい!」
中央神殿で暮らしていたときは、お仕事と、聖女仲間とのおしゃべりで一日が終わっていた。
神殿だからおもちゃとかはないし、読むものと言えば神様の物語ばっかりで読み飽きちゃって、一時期、暇なのもあって猫の歌が流行ったことがある。
なんか癖になる歌で、聖女仲間みんなが歌っていた。
神殿の庭に野良猫が住み着いていたから、親近感があったんだと思う。
猫の歌を歌いながら「もしうっかり尻尾を踏んでも怒らないでね」なんて話しかけた。たぶん、わかってなかったと思うけど。
……懐かしい。にゃんちゃん元気かなあ~?
そして、みんなも元気だろうか。
わたしはリヒャルト様の側にいたいから、神殿に戻ろうとは思わないけど、聖女仲間にはちょっと会いたい。みんな優しかったし、仲良しだった。
わたしがリヒャルト様と結婚するって報告したら、きっとびっくりするだろうな。
リヒャルト様はとっても優しいご飯の神様で、いつも美味しいものをたくさんくれて、すっごくすっごく素敵な人なんだよってお話したいな。
わたしにもね、家族ができるんだよって、ちょっとだけ、自慢したい。
お花畑の曲を聴きながら思う。
リヒャルト様に拾ってもらってから、わたし、この曲みたいにとっても楽しい!
ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ
猫の曲は、大勢の方がご存じのあの曲をメロディを参考にしています(笑)。