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ご飯の神様は公爵様でした 4

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 ベティーナさんによると、リヒャルト様はわたしに仕事を求めていないそうだ。


 ……でも、そうはいきません!


 聖女は無償奉仕が基本だけど、それは国や神殿が生活の面倒を見てくれていたからだ。

 そして今は、リヒャルト様がわたしの生活の面倒を見てくれている。

 神殿で暮らしていたときの何倍も美味しいものをたくさん食べさせてくれて、これまた美味しいおやつまでつけくれているのだ。もっと言えば、高そうなドレスも買ってもらった。ここまでしてもらって、何の仕事もしないのはおかしい。


「わたしは聖女なので、癒しの力があります。あと、お薬も作れますよ」


 だから仕事をプリーズ。

 燃費は悪いけど、それを除けばそこそこお仕事ができる聖女だったんですよ、わたし。


 わたしが「さあ、仕事を!」と両手を前に出すと、ベティーナさんはものすごく困った顔をした。

 そして長く長く考え込んだ後で、諦めたように「それでは、時間が空いたときにお薬を作ってもらえますか?」とものすごく言いにくそうな声で言う。


「ですが、スカーレット様にはもう少しすると教師の方がつけられると思います。おそらく、リヒャルト様の教師のお一人だったサリー夫人がなさるでしょう。その、スカーレット様には一般常識が不足していらっしゃいますので、そのあたりを重点的に学んでいただくことになります」

「はい!」


 それはリヒャルト様から聞いていたので、わたしは元気良く返事をする。


「なので、お勉強で忙しくなるため、お薬は無理をして作っていただかなくても大丈夫です。……何かお仕事がないと落ち着かないようですので、一応お願いしておきますが、お薬は必要に駆られておりませんので、本当に暇さえあればでいいのです」

「わかりました!」

「決して無理はなさいませんよう。無理をしてスカーレット様が倒れられたら、わたくしが旦那様に叱られてしまいます」

「大丈夫です!」


 わたしはお腹がすいてさえいなければ倒れたりはしない。

 神殿で薬を作っていたときも、パンをもぐもぐしながら作っていた。だから何か食べていたら大丈夫なのだ。

 先輩の聖女たちは、「そんなものを食べてお薬にパンくずが入ったらどうするの?」とあきれていたが、食べずに薬を作るとわたしが倒れるとわかってからは怒られなくなった。必要なことだと認識されたらしい。


「空腹になったときにいつでも食べられるよう、部屋には常にお菓子を置いておくようにしますね。ですが、寝る前はちゃんと歯磨きをしてください。わかりましたね?」

「はい!」


 幼い子供に言い聞かせるようにベティーナさんがいう。


 ……ベッドの中でもぐもぐお菓子を食べていたのを発見されてから、ベティーナさんは「食べたら歯磨き!」とお小言を言うようになったのだ。虫歯くらい聖女の力で治せるのだが、そう言う問題ではないという。


 言うことを聞かなくてお菓子を取り上げられたらいやなので、わたしは基本的にベティーナさんの言うことにも従う。


 こうして、ひょんなことから、捨てられ聖女だったわたしは公爵家の客人として迎え入れられることになった。






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