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【書籍化】燃費が悪い聖女ですが、公爵様に拾われて幸せです!(ごはん的に♪)  作者: 狭山ひびき
学園生活を謳歌します!

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美味しい学園生活 2

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「スカーレットはここに座って頂戴ね」


 旧校舎の教室に到着したら、シャルティーナ様から席を指定された。

 なんと、教壇の隣に椅子と机が置かれていて、そこがわたしの席らしい。特等席だってシャルティーナ様は言うけど、この向きだと、黒板に背を向ける形になるけどいいのかな?


 教室の中には五人の聖女の卵がいて、みんな十二歳なんだって。

 神殿でも基本的なことを学んでいたから、聖女についてお勉強するのははじめてではないそうだ。

 というか、みんな、あともう少しで聖女のお勉強が終わる頃らしい。


 ……まあ、それはそうか。わたしも十二歳でデビューしたもんね?


 聖女科が本稼働すれば、聖女のお勉強を開始する年齢の引き上げについても神殿と協議すると言っていたけど、今すぐにそれはできないもんね。


「神殿内部の構造と、基本的な聖女の力の使い方はみんなマスターしているのよ。強弱のつけ方はまだ苦手みたいだけど、こればっかりは経験がものを言うから、経験を積んでいくしかないのよね」


 聖女の力を使う時、半分以上は勘だもんね。細かい数値で測れるものじゃないから、こればっかりは経験で覚えていくしかない。

 そしてわたしはどれだけ経験を積んでも、これがちょっと苦手。特に小さい力を使う時、いつも使い過ぎって言われちゃうんだよね。どばっとたくさん力を使うのは得意なんだけど。


 わたしと向かい合う形でたくさんの机が並んでいて、前の方に五人の聖女の卵たちがいる。

 みんな制服に身を包んでいるけど、なんとなく、可愛い髪飾りとかをつけている二人が貴族令嬢な気がした。だって、つけている髪飾りがなんか高そうだもん。


 残りの三人は神殿で暮らしていた聖女の卵らしいけど、わたしは知らない顔だった。

 まあデビュー前の聖女の卵と関わることは少ないからね(わたしは教えるのが苦手だから教える側をしなさいというお声はかからない)。もしくは、中央神殿じゃないほかの神殿にいたのかもしれないし。


「紹介するわね。聖女スカーレットよ。とっても優秀な聖女で、ヴァイアーライヒ公爵閣下との婚約も決まっているの。みんな、スカーレットのようになれるよう、頑張りましょうね」


 ……ちょ、ちょっとシャルティーナ様! その紹介はまずい気がしますよ!


 わたしは優秀じゃありませんからね。むしろ落ちこぼれなんですよ! わたしのようになったら、みんなが困ります!

 シャルティーナ様がわたしを持ち上げちゃったから、みんなが尊敬のまなざしを向けてきた。こ、これはどうしたらいいのかな……?

 おろおろしていると、貴族令嬢らしき一人が「リヒャルト様の婚約者……」と、うっとりした声を出した。


 ……あれ? 尊敬されているのは、そっち?


 それならまあ、わたしの力は関係ないから大丈夫なのだろうか。

 リヒャルト様はとっても綺麗だし優しいし偉いしすごい人だから、きっとみんな尊敬してるんだろうね。

 そんなリヒャルト様の婚約者だから、きっとわたしのこともすごいって思ってくれるのかな。

 わたしはすごくないんだけど、この勘違いは正すべきか、そのままにしておくべきか……。


 悩んでいると、シャルティーナ様がこそっと「目標があった方が頑張れるから、よろしくね」って耳打ちしてきた。

 目標……。

 その役割はわたしでいいのだろうか。

 わたしの実力がばれて「すごくないじゃない!」って怒られたりしない?


「ということで、今日は薬についてお勉強しましょう。まだ薬作りについては合格点が出ていないんでしょう?」


 お薬の場合、怪我とか病気……つまり人を相手にするのではなくて、薬草を入れた水に対して聖女の力を付与するから、慣れるまで難しいんだよね。治す対象がないとイメージが膨らまないというか……。

 シャルティーナ様が学園のお手伝いさんを呼んで薬草と水とガラスでできたコップみたいなものを持って来させた。

 ビーカーって言うんだって。神殿ではコップを使っていたけど、学園ではビーカーを使うんだそうだ。


 ……リヒャルト様のお家に来てからは面倒くさくて盥とかで作っちゃうんだけど、本当はコップとかを使って作るんだよね~。


 聖女一人が一日に作れる薬の本数は四、五本。

 コップ一杯分でだいたいそのくらいになるから、コップで作るのである。盥とか大きなものを使うと、うまく作れないって先輩聖女が言っていた。

 わたしは逆に盥とかの方が作るのが楽なんだけど、聖女仲間はみんな口をそろえて「それはスカーレットだけ」って言ってたから、わたしが例外なんだと思う。


 ……これは黙ってよ~っと。下手なことを言って、力の制御がうまくできない落ちこぼれってことがばれたら大変だもんね。


 そして別にいいんだよ。お薬なんて、作れればそれでいいんだから!

 シャルティーナ様が薬の作り方の説明をはじめる。

 水に対しての薬草の割合とかを聞きながら、そう言えばそんなものもあったなと思い出した。

わたし、いつも適当だから……。だから聖女仲間に「あんたは感覚派の極めつけ!」なんて言われるんだと思う。

 シャルティーナ様の説明が終わったら、実際に薬を作る練習である。


「スカーレットも気づいたことがあったらアドバイスしてあげてね」

「わかりました!」


 お薬作りは得意ですからね! そのくらいならできます!





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★書下ろしノベル発売のお知らせ★

4/16に下記の作品が発売されます(電子書籍のみの販売です)。

完全書下ろし作品となります。読んでいただけると嬉しいです(*^^*)

挿絵(By みてみん)

タイトル:竜神様の生贄姫~虐げられていましたが、神に溺愛されて戸惑っています~

ASIN : B0F42NS55J

レーベル:ルージール文庫

あらすじ:

生贄として湖に沈められた少女・撫子は、湖底で竜神・蒼蘭に出会う。

感情を持たない蒼蘭は、じつは生贄から感情を学ぶ必要があったが、

蒼蘭は痩せた撫子を見て、「しばらくここで生活しろ。太ったら、食ってやる」とだけ告げる。

いずれ殺されるものと思い、日々を過ごす撫子だったが、

蒼蘭との暮らしは、想像していたよりもずっと甘いものだった。


生贄となるべく家族から虐げられてきた撫子は、湖底での蒼蘭との生活で次第に生きる喜びを覚えていく。

さらに、蒼蘭に感情を教えるうちに芽生えていったのは、禁断の恋心だった……。


不遇な少女と不器用な竜神が紡ぐ、切なくも美しい異類婚姻譚。



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― 新着の感想 ―
スカーレットには、指導するのも受けるのもムリじゃないかと… しかもその席、モグモグも目立ちません?混ぜるな危険!と言う言葉が、頭をよぎります。
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