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【書籍化】燃費が悪い聖女ですが、公爵様に拾われて幸せです!(ごはん的に♪)  作者: 狭山ひびき
学園生活を謳歌します!

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学園というところに視察入学します 5

お気に入り登録、評価などありがとうございます!

 リヒャルト様を待ちながらもぐもぐとお菓子を食べていたら、たくさんあったお菓子が全部なくなってしまった。


「……もうない」


 まだお腹いっぱいじゃないのに、お菓子がなくなっちゃったとしょんぼりしていると、どこかから「君……」と男の人の声がした。


 顔を上げると、リヒャルト様と同じようなぴかぴかの金色の髪をした男の人が立っている。

 髪は同じような色だけど、瞳はリヒャルト様と違ってエメラルド色だ。リヒャルト様は、綺麗なラベンダー色。


 ……んー? でも、どこかで見たことがあるような、ないような?


 誰かに似ている気がするのだけど、すぐに思い出せなかった。

 背は高いけど、どちらかといえば線が細く、ふわりと柔らかい雰囲気の男の人だった。


 わたしより一つか二つ年上かなあ?

 学園の制服を着ているので、ここに通っている生徒だと思う。ということは貴族だね。


「あー……、突然ごめん。その、お腹がすいているの? この時間なら昼も近いし、カフェテリアに行けば何か食べるものがあると思うけど……」


 わたしに何か用かなあと思っていたら、男の人がわたしの手元を見ながらそう言った。


 ……すごい! どうしてわたしがお腹すいてるってわかったの⁉


 そして、かふぇてりあ、というところに行けばご飯がもらえるらしい。何それ行きたい!


 ……あ、でも、リヒャルト様にここで待っているように言われてたんだった。


 かふぇてりあ、には行きたいけどリヒャルト様の言葉の方が優先である。何と言ってもリヒャルト様はわたしのご飯の神様で、わたしと結婚してくれる人だからだ。言うことが聞けなくて「やっぱり妻にはいらない」って言われたらいやだもんね。


 でも、何か食べたいな~。

 たくさん食べたけど、まだお腹がすいているし、かふぇてりあ、行きたい……。


 早くリヒャルト様戻ってこないかなあと思っていると、男の人がポケットをがさごそして「あった」と笑う。


「……君、飴ならあるけど、食べる?」

「飴ちゃん!」


 くれるの?


「(もちろん)食べます‼」


 この人が誰かは知らないけど、とってもいい人‼


 飴をもらって口の中でころころと転がしながら、わたしは改めて親切な男の人を見上げた。

 やっぱり……。


「……誰かに似てる?」


 そしてこの飴、レモンと蜂蜜の味がしてとっても美味しい。


 ……誰に似てるんだろう? 飴美味しい~。


「似ているのではなくて、もしかしたら、どこかで会ったことがあるのかもしれないね」


 男の人はそんなことを言うけど、う~ん。会ったことはないと思うよ。でも似ている誰かを知っている気がするんだよね~。

 リヒャルト様にもちょっと似ている気もするけど、リヒャルト様じゃなくてもっと別の似た誰かを知っているはずなんだよね。誰だったっけ~?


 ……って、この人、喉を傷めてるのかなあ?


 ちょっと喉を気にしてるよね? 心なしか声もかすれているし。


「風邪ですか?」

「どうして?」

「喉、痛そうだから」


 否定しないから、やっぱり喉が痛いんだろうな。


「飴ちゃんくれたから、お礼します」

「うん?」


 親切にはお礼をしなければなるまい。

 わたしは男の人の首に向かって手をかざすと、癒しの力を使う。

 男の人が驚いたように目を見張った。


「聖女……」

「はい、聖女です!」


 あ、自己紹介がまだだったね。いけないいけない。ちゃんと名乗らなくちゃ。

 だけど、わたしが自己紹介をしようとしたとき、リヒャルト様が戻って来た。


「すまないスカーレット、待たせ……イザーク?」


 イザーク?

 うーん、その名前、どこかで聞いたような?


 それも最近聞いた気がするぞとわたしが記憶を探っている間に、リヒャルト様と「いざーく」さんが何かを話していた。


 ……うーん、どこだったかな~?


 前神殿長様のカンナベル枢機卿には、「スカーレットは興味のないことはすぐに忘れる特技があるねえ」なんて笑われたことがあるけど、もしかしなくてもその特技が炸裂しちゃいましたか? 全然思い出せない。

 うーんうーんと唸っている間に、二人のお話は終わったらしかった。


 ……あ、そんなことより、かふぇてりあ!


「リヒャルト様、お菓子なくなりました。かふぇてりあってところに行ったらごはんが食べられるらしいですよ!」


 どこかにぽーんと放置されているのかわからない記憶を探るより先に、わたしはご飯が食べたいです。


「スカーレット、今日はもう帰るから、食事はカフェテリアじゃなくてレストランだ。予約しておいたよ」

「レストラン!」

「さあ、行こう」

「はい!」


 かふぇてりあにも行って見たかったけど、レストランに連れて行ってくれるならもちろん行きます。かふぇてりあはまた今度!

 テーブルの上を片付けて、リヒャルト様と手を繋ぐ。

 あ、そうそう、ちゃんとお礼も言わなくちゃ。


「ええっと……飴ちゃん、ありがとうございました!」

「じゃあな、イザーク」


 ばいばいと、手を振って、リヒャルト様と歩き出す。


 ……って、あっ! 思い出した! 「いざーく」様って王太子殿下の名前だ‼ そしてまたまた思い出した! 誰かに似てると思ったけど、国王陛下に似てるんだ!


 記憶がつながってすっきりしたときには、わたしは学園の正門を出た後だったけど、今度会ったときには改めてお礼を言っておこう。


 ……それにしても、初対面で飴ちゃんくれるなんて、やっぱり王族はみんないい人!






ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ

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― 新着の感想 ―
スカーレットと他者の食事量の感想の違いが、ものすごく面白いです。
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