学園というところに視察入学します 3
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学園に聖女科(仮)を実験的に作るという話は、その後とんとん拍子に進んだらしい。
まだ仮設段階だからと反対意見を出していた大臣たちを説得したって言うけど、短い間に話を詰めてしまえるリヒャルト様はすごいよね。
ちなみに、貴族学園は代々王族が理事を務めているらしくて、なんと、今の理事長はリヒャルト様の二番目のお兄様であるベルンハルト様だったよ。
ベルンハルト様はドレヴァンツ公爵様でもあるんだけど、ドレヴァンツ公爵領は王都から近いところにあるからか、あまり領地に帰らないんだって。
だから学園のお仕事を任されているみたい。
ベルンハルト様の妻のシャルティーナ様が聖女だから、今回の聖女科の新設(仮設?)にも協力してくれるらしい。
そうそう、神殿の場合、聖女は洗礼を受けた直後くらい……だいたい六歳くらいから神殿に引き取られてお勉強をはじめるんだけど、いくら何でも早すぎるから年齢についても考えようってリヒャルト様が言っていた。
学園の聖女科に通うのは、十二歳以上に限定するんだって。
神殿にも、洗礼式を終えてすぐの小さな子供を親元から引き離すのはやめるように伝えるって言っていた。まあ、言ったところで、神殿がそれを飲むかどうかは別だろうけどね。
……だって、早くお勉強を終えたら、早く聖女デビューできるからね。お金儲けがしたい神殿が飲むとは思えないよね。
わたしも、六歳で孤児院から神殿に連れていかれて、十二歳で聖女デビューしたし。これも、気長に言い続けて変化させていくしかないんだろうね。
年齢的なこともあって、実験的に運用する聖女科にはそれほど人数は集まらないだろうと言っていたけど、シャルティーナ様の働きかけで、五人は入学が決まっているみたい。
そのうち二人が貴族令嬢で、三人が平民出身の子なんだって。神殿に言って、十二、三歳くらいでまだ聖女デビューしていない子を出せって圧力をかけたって言ってた。シャルティーナ様、すごい!
わたしがかつてお世話になった中央神殿の前神殿長様――カンナベル枢機卿も協力してくれたらしい。
聖女でお金儲けをしたい教皇様は渋い顔をしたみたいだけど、そこはカンナベル枢機卿の言うところの老獪さとか言うやつで説得したって言ってたよ。
そんなこんなで春から実験的に開始する聖女科だけど、なんと、わたしにもお声がかかった。
わたしは聖女デビューしているから学ぶ必要ないからどうしてだろうって思ったら(まあ、力のコントロールは相変わらず苦手だけど)、わたしの場合は「視察入学」らしい。
学園は、通常であれば三年ほど在籍することになるんだそうだけど、わたしの場合は半年か一年くらいの短期入学で、あくまで「視察」という名目。雰囲気を見るために協力してほしいってリヒャルト様が言っていた。
ついでに、常識知らずで貴族のことがわかっていないから、他の学科の授業を「聴講」とかしてお勉強すればいいって言ってたけど、聴講が何かはいまいちわからない。
まあ、要するにお勉強して来いってことでいいのかな。
聖女科の授業のほとんどはわたしに不要なので、そちらには顔を出したり出さなかったりしながら、他の授業を聞いておいでって言われた。
ただ、わたしを一人にすると心配だから、わたしが「聴講」とか言うのをするのは、エレン様が一緒にいてくれるときだけなんだって。
エレン様が学園でのわたしの保護者を買って出てくれたって言っていた。エレン様優しい!
だからわたしは「なんちゃって入学」なんだけど、制服って言うのもあるらしいし、ちょっと楽しみ。
明日、リヒャルト様が手続きとかなんとかで一緒に行ってくれるんだって!
わたしがいるときはベルンハルト様もシャルティーナ様も学園にいてくれるって言うし、学校って、なんか面白そうだよね!









