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【書籍化】燃費が悪い聖女ですが、公爵様に拾われて幸せです!(ごはん的に♪)  作者: 狭山ひびき
学園生活を謳歌します!

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学園というところに視察入学します 1

お気に入り登録、評価などありがとうございます!

書籍①巻のWeb版からの大きな追加要素を後書きに記載しておりますのでご参考までに(#^^#)

「スカーレット、すまない。しばらく領地に戻れそうになくなった」


 リヒャルト様がものすっごく申し訳なさそうな顔でそんなことを言ったのは、冬もそろそろ終わるだろうかという頃のことだった。

 リヒャルト様とわたし、そしてわたしの侍女兼頼れる参謀であるベティーナさんは王都に来ている。

 リヒャルト様はヴァイアーライヒ公爵様で、ここアルムガルド国の南に広大な領地を持っているのだけど、一か月半前に王都にやって来た。

 わたしがリヒャルト様の養女になって、イザーク王太子殿下の婚約者になるかもしれないという、事実無根の噂が広まったためだ。


 ……わたしはリヒャルト様の養女にしてもらおうと企んでいたけど、「おーたいしでんか」の婚約者になんてなるつもりはこれっぽっちもなかったし、そもそもわたしにそんな大役は無理に決まっているのにね。


 そして、リヒャルト様の養女にしてもらおうと思っていた計画は、リヒャルト様にばれて頓挫してしまったのだから、周りが何を言おうと無理なものは無理なのだ。

 だって、わたしは養女にしてもらうかわりに妻になるんだもんね! リヒャルト様の妻になるから、王太子殿下の妻にはなれません!


 リヒャルト様が結婚しようねって約束してくれたのは二週間ほど前のこと。

 それから婚約の手続きが行われて、わたしは晴れてリヒャルト様の婚約者になった。

 つまり、ずーっとリヒャルト様と一緒にいられるってことだ。幸せ‼


 リヒャルト様との結婚式は、一年くらい婚約期間を置いた後で行うって具体的な日時はまだ決まっていない。

 なんでも、エレン様とイザーク殿下の結婚式が、順当にいけば来年の春ごろに予定されるだろうから、その時期とかぶらないように調整する必要があるんだって!


 年が明けて、わたしも今年で十七歳になるし、リヒャルト様としては式の予定を調整しても長くは待たせないと言っていた。

 貴族には適齢期とか言うものがあるらしくて、あまり遅くなると、あーでもないこーでもないと余計なことを言い出す面倒くさいおじさんやおばさんたちが出てくるらしい。貴族、大変!


 わたしは貴族じゃないけど、リヒャルト様に嫁ぐから貴族のルールで見られるらしい。

 貴族でないどころか孤児院育ちで六歳で神殿に引き取られたわたしは貴族のルールなんてチンプンカンプンで、ベティーナさんは困った顔で笑って、最低限の淑女教育は必要でしょうねと言っていた。


 ……またお勉強ですか。淑女教育ってなんか怖いですけど。


 もし、淑女たるものたくさん食べてはいけません、なんて言われたらわたしはどうしたらいいだろう。

 人の何倍も食べる燃費の悪いわたしは、他の貴族令嬢と同じ食事の量だと生きていけないんだけど。

 ごくたまにならともかく、毎日コルセットを締めて生活しろとか言われても困るし。


 でも、ご飯に関わること以外なら、できるだけ頑張ろうとは思っている。だって、リヒャルト様の妻になりたいもんね!

 ヴァイアーライヒ公爵領でお世話になっているサリー夫人とのお勉強は楽しいけど、淑女教育って誰がするのかな。サリー夫人はお孫さんの世話があるから王都に来られないもんね。


 ……怖い先生が来たら嫌だな。


 考えると憂鬱になって来たから、その時になるまで忘れておこう。


「もぐもぐもぐ……お仕事ですか?」


 ティータイムのお菓子をもりもり食べながら、わたしはリヒャルト様に訊ねる。

 領地に帰れなくなったということは、リヒャルト様のお仕事が終わらないに違いない。


 リヒャルト様は王都の東の端っこにある旧王宮に、聖女の仕事場と生活拠点を作ろうとしている。

 貴族とか既婚者とかの一部の例外を除き、これまで聖女は神殿で暮らし、「無償奉仕」の精神のもとにお仕事をしていた。


 具体的には、癒しの力を使ったり、お薬を作ったりである。

 だけど、その無償奉仕の精神が厄介で、聖女は確かに報酬を受け取らずに仕事をしていたけど、神殿が多額の寄付金を要求したり、薬を高値で売っていたりして、蓋を開ければ全然「無償」じゃなかったのである。


 ……神殿が聖女の力を独占してやりたい放題していたってことだね、うん。


 で、リヒャルト様はそれをよしとせず、聖女のあり方を根本から変えようと動き出すことにしたのだ。

 その一つが、聖女の仕事場である。

 神殿で暮らすか、国が用意した聖女の仕事場で暮らすか、聖女自身に選ばせる。

 そして、国が用意した聖女の仕事場では、無償奉仕ではなく、労働に対する対価が与えられるという形に変えるんだって。


 聖女へのお給料は国が払って、そこで作られた聖女のお薬についても国が管理して販売する。

 そうすることで、聖女の癒しの力や薬についても、いずれ「てきせーかかく」とかいうやつが生まれて、神殿が価格を釣り上げて好き勝手出来なくなるだろうと言っていた。だって、神殿で販売しているより安い価格でお薬が売られていたら、みんなそっちを買うもんね!


 難しいからわたしはあんまり理解できなかったけど、そっちのほうが聖女仲間も幸せな気がする。さすがリヒャルト様、すごい!

 だけど発案者のリヒャルト様は、その件に関する責任者にされちゃったから、とっても忙しい。

 春になる前に領地に戻る予定だったけど、責任者になっちゃったから戻る暇がなくなってしまったのだろう。


「そうなんだ。聖女の働く場所のほかに、会議で新しい案が出たからな。そちらも検討しなくてはいけなくなった」

「新しい案?」


 つまり、また難しい問題ですね。わかります! そしてわたしが聞いたところでわからないのも、わかります!


 だけどリヒャルト様は、わたしが理解していなくても、理解するまで説明しようとするから……うん、ここはわからんくてもわかったふりで聞いておこう。小難しいお話より、わたしは目の前のお菓子が食べたい。


 今日のお菓子は、王都の邸の家令であるゲルルフさんが買ってきてくれたドライフルーツたっぷりのクグロフである。

 ダイニングテーブルの上には、大きなクグロフがドンドンドン! と三つも置かれていて、それぞれ味が違うんだって。


 切り分けてもらったものをせっせと口に運びながら、わたしはリヒャルト様を見た。

 わかったふりをするためには、きちんと聞いているという姿勢を作ることも大事だ。リヒャルト様は鋭いので、お菓子ばっかり食べていたら「聞いていない」と判断される。


 ……あ、これはオレンジの味。美味しい~。


 口いっぱいにクグロフを詰め込んでもごもごしていると、すでにわたしの意識の大半がお菓子に向いていることに気づいたリヒャルト様が微苦笑を浮かべて話を続けた。




ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ


3/7発売予定の書籍①巻の追加要素のご紹介です!

(たくさん加筆しておりますので、大きな追加要素のみ記載します)


・プロローグ変更

・閑話1 子犬聖女(SIDEベティーナ)

・聖女の薬

・閑話 聖女スカーレット(SIDEステファン)

・スカーレットの穴だらけ養女計画

・閑話 嵐の前触れ(SIDEシャルティーナ)

・それぞれの思惑

・暴走


などなど、WEB版よりももっともっとスカーレットが活躍(暴走ともいう)します!

お楽しみに(#^^#)


また、新しく作ったプロローグですがSQEXノベルさんのサイトで試し読みできますのでよかったら!


どうぞよろしくお願いいたします。




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