4話 最初で最後の青だった。
最初で最後の幻夢だった。
これは、3年以上前のこと。
「いょおっしゃーーー」
この俺天田雪斗は幸せに浸っていた。
なぜなら俺は昨日彼女、花里七菜に告白をした後付き合うことになったのだ。
「まさかここまで上手くいくとは。」
俺は新クラスになった途端、七菜に一目惚れした。
でも俺には告白する度胸も成功する確証なかった。
1度は自分でも無理だと思ったが、6月の修学旅行で同じ班になり、話していく毎にもっとすきになっていった。
そして俺も七菜も純文学や小説が好きだったこともあり、昼休み 10分休憩、放課後も図書室で一緒にいるようになった。
そして、さらに俺の気持ちは肥大していった。
そして10月、俺は告白しようと決めた。
10月某日。
「七菜。
好きです。付き合ってください。」
必死だった。
もう気持ちが溢れるくらい大きくなっていた俺は
格好がつかないほどに震えながら告白をしていた。
雪斗にとって告白という経験は初めてだった。
今まではその度胸も自信もなかった。
「ふふ。はい、よろこんで。」
だから俺、天田雪斗はこの瞬間、喜びと同時に初めて自分に自信を初めてもてた。
「ふふ。これから私たち恋人だね。」
「う、うん。」
*
「つ、つぎはどこ行く?」
付き合ってから初めてのデートを取り付けた俺は
覚束無い様子で遊園地を回っていると七菜は、
「遊園地と言えば観覧車だよ!ゆきくん。」
「じゃ、じゃあそこに行こうか。」
待ち時間は5分と経たずに入れた。
「綺麗だね七菜。」
「そうだね。......」
なぜかそこし怒った様子でこちらを見てくる。
「ん?どうしたの?」
もう夕方に差し掛かって、俺もデートになれ......てはないが、覚束無い態度も直ってきた。
「こういう時っておとこの人から誘うもんなんじゃないの?」
あ、キスか。
本当にあるんだな。
俺は、当然未経験だ。
「わ、わかった。」
「う、うん」
俺は、何も分からないまま唇をお得意のドラマばりのたらこ唇にして、七菜に近づく。
その瞬間、
互いに唇をつけた状態で大きな音を立てて、
観覧車が横になぎ倒れ始める。
「バキッ ボキッドカッドカッ」
そんな音に目もくれず唇だけは触れていた。
初めて大事なものが壊れるような欠除するような。
ジェットコースターに乗っているような浮遊感。
観覧車の破片が飛び散る様子。
それでもきれいな夕焼け。
ああ、七菜は今何を考えているのだろう。
まだ互いに唇は触れていた。
ああ、綺麗な景色だ
ああ、綺麗な景色だ。
もうそんな時期か。
ああ、美しい景色だ。
その刹那。
観覧車が地に堕ちる。
「ガラガラガッシャーンッ」
大きな音が鳴り響く。
まだ唇だけは触れていた。
僕らの恋も闇に堕ちた。
*
そのあと直ぐに病院に運ばれた。
七菜は即死だったそうだ。
俺もあと5分遅かったら分からなかったそうだ。
ああ、最初で最後のキスだった。
なぜ俺だけが助かるのか。
そうなんども自責した。
*
そうして3年。
俺はあの時から何も進んでいない。
いや、違う。
七菜がいて、一時的に動いてただけなのだ。
そう電車の端で考えていた時のこと。
「オラーーぶっ殺してやる。」
そう端で喚いているやつがいた。
俺は何も怖くなかった。
でも。
俺以外の人が殺されるのだけは許せなかった。
俺は七菜に救われた。
だから、俺も誰かを救えたら幸いだと思った。
俺はナイフを突き落とされそうになっている人の前にバッグを投げつける。
「無駄なことはやめろ。」
そうだ。
「アァ?なんだてめぇ。」
俺にとってキスのない人生は意味が無いんだ。
「だから、俺が相手をしてやるってこと。」
そうだ。
「アァ?いいぜやってやるよガキが。」
俺にとって七菜のいない人生は闇なんだ。
俺は覚悟を決めて走り出すでも相手の方が何枚も上手だった。
俺は無様に刺される。
「だっせ。」
最後まで人生は再起動しなかった。
ああ。
最初で最後の恋だった。
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