1話 Re again.
一瞬俺は自分がどうなっているのか混乱した。
しかし、それをいやでも思い出させるように
全身に生暖かさと電撃が走るような痛みがズキリと疼く。
はぁ、何してんだ俺は。
「何をやってんだ俺は。」
俺、天田雪斗は自嘲気味に言う。
その瞬間。
「ピカーン」
視界中が白く染まり眩しいような音がする。
そして音がなり止むと......
全身の痛みが消え、気づいたら俺はベットの上にいた。
そして目を凝らすと....
「????」
おそらく5m以上ある天井。
かなり高いであろう羽毛布団。
まるで城の中の一室のような部屋。
窓から見える異国のような風景。
隣には綺麗に青く染った髪の美少女。
「起きましたか?」
美少女はそう問いかけてくる。
「ぇ、」
当然名前も知らない。
ベットでそんな子が寝ていたらきっと誰であろうと驚いてしかるべきだろう。
「やっと会えましたね雪斗様。」
今なんて言った!?
てか誰?
「ぇ、あなたは誰ですか?」
「名を申しそびれていましたね。飛んだご無礼をお許し下さい。私の名は
ルダ・ソランケ・ソフィ
前世での名前は花里七菜です。」
俺には昔恋人がいた。
それも屋敷に仕える召使い。
俺の初恋であり恋人であった者の名は花里七菜だった。
それにこの言葉使い本当に七菜....なのか?
「な....な?」
ぞくぞく背筋が震える。
「ふふ、思い出してくれたようですね。はい恐らくその七菜です。」
ぇ、本当になな..なのか?
耐えきれなくなったおれは嘔吐くように抱きつく。
「ななっ え゛っお゛ お゛ゔっ
七菜、七菜 七菜!」
それを微笑みながら抱き寄せる七菜。
「おかえり、ゆきくん。」
俺は幸せな気持ちで泣き疲れて七菜の膝の上で寝つく。
前にもこんなことがあったな。
しばらくすると......
*
「雪斗様、そろそろ起きてください。」
俺はそう言われて目覚めると。
「むにゃむにゃ......へ?」
「一緒にお昼ご飯行くので着替えてください。」
俺はそこで再度実感する。
俺はもう七菜の婚約者なんだと。
「うんっ」
なぜか、ななと会ってしまったこともあり、我ながら何も考えられなくなってきた。
「着替えるから一旦出てくれないか。」
「あ、そうですね。」
何故だろう?
七菜は顔を赤らめて脱兎のごとく逃げていった。
「にしてもあの七菜と。......夢じゃないよな?」
頬をつねっても痛みはある。
「俺は幸せ者だな。」
そう、幸せに浸る雪斗だった。
着替え終わると。
「もう良いよ、七菜。」
「じゃあ行こう!七菜」
「はいっ」
しかし本当に自分が転生するとは......
俺は気になったことを聞いてみる。
「ところでここはどこなんだ?」
「スタリア帝国という国でここが宮殿です。そして貴方様、つまり、ゆきくんが王子です。」
??????
「今なんて言った?」
「ですからゆきくんがここ、スタリア帝国の王子でその婚約者が私で、ここがその宮殿です。」
「はぁッ?」
俺が王子で婚約者が七菜?
「そうですよ。ずっと暇だったんですよ。」
七菜がほおを膨らませてそう言う。
「じゃあ俺は転生したってこと?」
うすうすそんな気はしたけどまさかとは......
「前世の言葉ではそう言いますね。こちらでは
転身と言い、顔や能力は変わらず転生する事がそう言われています。」
「あ、でも私達は顔も能力も変わっているため転生ですよ!」
なるほど......ぇ、?
急いで近くの鏡で確認する。
「めっちゃっイケメンじゃん。」
「ふふ」
七菜は微笑んでいる。
「じゃ、じゃあ俺はどうして転生先が王子でこの年齢? 普通転生って0歳で始まるんじゃないの?」
「ゆきくんはこの世界ではルカ・リーシュル・フランメと呼ばれています。
私はルダ・ソランケ・ソフィなので面前ではミドルネームのソランケとお呼びください。
なぜこの年齢なのかは私にも分かりません。王子は今まで昏睡状態でした。そして、私が転生する際、謎の黒フードの人間が......
【転生先の王子はあなたにとって最も大切な人に成り代わるでしょう】と言っていたので試しましたが本当でしたね。」
はぁ。
「わかった、その名前で呼ぶ。だけどそのフードの人には感謝だな。」
「はいっおかげでとても幸せです」
そうして昼食を食べに行くと。
「はぁ、そっかこの世界では王子なのか。」
今のこの状況に思わず感嘆をつく。
テーブルの上には沢山の料理が並んでいる。
「はい沢山食べたあとはまず剣術の訓練ですよ!」
「剣術?」
まじかよ。じゃあ魔術とかあんの?
「はい。どうかしましたか?」
そう首を傾げて言ってくる。
「いや、魔術とかあんのかなって。」
「はいありますよ。」
......ん?今なんて言った?
「まじで?」
「大マジです。」
俺はその情報で驚きすぎて気絶しそうになる。
だってさっきまで買ってやろうとしたゲームみたいに魔術が使える?
そんなのやるしかないじゃん!
「そろそろ食べ始めますよゆきくん!」
テーブルに座り食事を見ると。
俺は沢山の料理を見るとまたもや気絶しそうになるのだった。
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