デジタルデトックスしたい俺の異世界転生
寝る前とかなんかダラダラ見ちゃうんだよな〜と思ってかきました。するっと眠りたい〜
歩きスマホしてたら車に撥ねられた。
そしてよくわからん空間で、よくわからん神様的ななんかに異世界に転生させると言われた。
いやそんなことより生き返らせてほしい。
それが無理なら俺を撥ねた運転手さんのケアをして欲しい。
俺はまーーーーあネット中毒だった。
どうでもいいようなニュースやコメント欄、無料のネット小説を延々見続けていた。
元々活字中毒のタイプだったが、そこそこ興味ある文字を追えればいいので、有益な情報よりもどうでもいい文字列を追うだけだった。
絶対だめ!というところでは見ずにはいられる。
映画館ではスマホだめなので映画を観れるが、家ではスマホに手が伸びてしまいだめだった。
マジで無駄な時間なのでどうにかしたいが、できなかった。医者とか行くべきだったかも知れない。
運転手さんにはほんと申し訳ないことをしたと思う。信号無視だったから。
わりと歩きスマホが常態で、周囲はチラ見しつつで慣れてると思ってたけど、知らないうちに一線を超えてたね。いやもう「とうに」だったのか。
しかし神様ぽいなんかは、俺を異世界転生させると言う。
なんでだ。
「あなたは死ぬはずではなかったのです。こちらの手違いなので転生してもらいます」
ベタなやつだった。つーかそんなら運転手さんに償ってあげて欲しい。
しかしふと……。
「あの、異世界っていうと、あるあるのファンタジー的な中世近世ぽい世界なんでしょうか?」
「話が早くて助かります。そうです。あなたにはチートも差し上げます。」
やっぱりか!
俺はスマホを愛しスマホを愛し続ける空前絶後ではないよくいるスマホ中毒者でスマホはもはや俺の臓器だったがスマホと決別もしたかった。
スマホを得る前、パソコン時代には今ほどネットばっか見ておらず、まあなんかのまとめとか延々観続けたりはしていたが歩きスマホとかはなかった。
そしてその前は、うんと子供の頃には紙の本を読みながら歩いたりはしていたがまだしも有益なものだった。
ずっと思っていたのだ。
スマホがなければ!!と!!!
ついつい見てしまうスマホ。
しかしスマホが無ければ、ネットが無ければ、もっと体を動かし、有益な本を読むことができたのではないか?
いやスマホがあればこそ、道にも迷わずふいに疑問に思ったこともその場で検索でき、後で辞書ひこ〜とか思ってそのままとかないのもそれはそれであるのだが。
俺は文字を読むのが好きだ。
手軽で脳に楽だからろくでもないコメント欄や無料のネット小説を読むが、スマホがなければもっと有益な書物を読むしかないのではないか?
あるいは体を動かすしかないのではないか?
ありがち転生ファンタジーでは書物は貴重品だ。スマホなどない。
俺は、スマホと決別して、実のある人生を送れるのでは———……?
「転生チートとしてこの世界と繋がるスマホを与えます」
「なんでだよ!!!!!!」
無理ーー!!!いやもう歩きスマホしててしょうもないネットニュースだら見してるうちに魔物に食い殺されるんじゃない!?
例えば森とか歩くじゃん。わーとか思うけど長距離歩くなら暇じゃん。見るよね〜。スマホ見るよね俺は〜。撥ねられてんだから実証済みだよね〜。
そんでやめないよね…。
「すごく便利ですよ。あちらの世界も発展させられますし」
「いやいやいやいやいや無理ですよ。つーか無理ですよ。スマホで調べたって、例えば車輪のない世界でそれ作れるかったら無理ですよ。工作の才能ないし人に伝える能もないしなんならブクマしてるネット小説の続き読み続けて死にますよ」
俺は抗議した。だって無理だし。
「そこは頑張ろうとはならないのですか?」
「スマホあったら無理です。人に接したり嫌な事するよりダラダラスマホ見ちゃいます」
それは現世で証明されているのだ。
「うーん……では、時間制限を設けるのは?一日三時間ですとか……」
「一日三時間…」
時間制限。
それなら、いけるかもしれない…。
なんかデジタルデトックスで、時間がこないと開かない箱にスマホ入れるとかいうのがあったが、それはパソコンがあって結局だめだった。
しかしこれなら……。一日のうち、使える時間が限られるなら……。
無駄なダラ見もせず、必要な情報だけ必死で探るだろう。
「その話、お受けします!」
俺は転生を受け入れた———……
そして俺は、一日三時間「だけ」スマホが「使えない」という制限チートでファンタジー世界のどっかの森に転移した。
クソが!!と思いそれでもサバイバルとか検索してるうちわからん魔物に喰われていた。超痛かった。
そして神様ぽいなんかになんかごめんと言われ、輪廻の輪に放り込まれ、俺の意識は消えたのだった——……。
ちなみに運転手さんは俺が神様パワーでまるっと消えたので、お咎めなしだったそうです。
よかった。