君が考えたんだよ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
多分、疲れていたんですよ。
いや、平常だったのかも知れない。
何せ何時もおかしいから。
何度目か分からない導入文。彼奴は長い白髪を後ろは踝まで、前は目元が隠れるくらい伸ばし、時代錯誤な書生服を纏っていた。外は良い日和なのに番傘を壁に預け、ぱらぱらと文庫本を捲っている。
「君が考えたんだよ? 僕のナリは」
それは私が一番良く理解している。真夜中の高揚した気分のままに思い付いたのが此奴だったのだ。如何せんその時の連想がいけなかった。
――登場人物は影絵にしても分かるくらい、特徴を持たせなくては売れないんですよ。
まさかギャグ漫画の一節を此処で思い出すなんて。そうして属性を盛りに盛ったのが前の此奴という訳だ。
でもさぁ、影絵にしたら分からないンだよね。袴姿で長髪のキャラなんて五万といるし。それは私の反省点として。
「しょうがないじゃないか。たまたまその時、昔読んだ少女漫画を思い出してしまったんだから。こういう設定だから、幾ら髪を伸ばそうが、グラサン掛けようが、番傘持とうが、大丈夫でしょー。って考えてしまったんだから……」
余りにも現実離れした外見。こんな奴が歩いていたら、間違いなく二度見してしまう様な目立った風貌。それでもまぁ、愛着はあるもんで。
「でもグラサンは失敗だったかな。流石に盛りすぎ」
「これは大事な僕のファクターだよ。お嬢さん。だってこれがないと、僕の目が何処にあるか、誰も分からないンだから」
そう言って前髪を掻き上げて、瞳を晒す。額にグラサンを乗せて、髪を固定すると、にやりと笑った。前にある二つの赤い瞳が爛々と好機に輝いている。
「はいはい」
「でも嫌いではないのだろう?」
「まぁ自分が産んだキャラだからね」
深夜の疲れ果てた精神のままにキャラを生みだすと、自分の美学に反した、性癖に忠実な生き物が出来る。そうして翌朝、自分に問いかけるのだ。『お前は誰だ。私は何をした?』と。
「ねぇ、今日も奢ってくれる? 対価は払うから」
「お安い御用さ。お嬢さん」
読み返してみたらグラサン持ってるんですよ。
んでもって使用方法が前髪留め。
今問いかけたら
『僕の目が何処に着いてるか、隠れ目だと分からないでしょう?』
とか適当な理由を付けそうです。
あーでも、ロキと同じ世界と住人から来てるなら、是が非でも見せたくはないなーと。
それこそ二重ロック掛けてでも。
一般人は一般的な格好をさせる。
勿論、本人の趣味嗜好を考慮して、地雷系とかロリータとかは場合によって着せますが。
でも明確な理由がないと、なんか据わりが悪い。
そんな拘りがあります。
一応それに則ってはいるんですけど、流石に盛りすぎ( '-' )
後ろ髪伸ばす必要も、グラサン持たせる必要も、無かったんじゃないかと思って真顔になってます。
深夜テンション怖い。
今着てる書生服は彼にとっては『少し前の時代のモノ』という認識。だから此処はセーフ。