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魔王様だよ、黒騎士さん

魔王城。

まぁ、魔王を倒せっていうぐらいだからあって当然と言いますか。

何の不思議もなかったと言いますか。

あったんだから仕方ない。

魔族の中でも知恵あるもの、話せるもの、理解が及ぶものを通して右往左往。

紹介状だの、名前を言えばわかるだのと伝えられて。

あれよあれよという間についたのが魔王城だった。


エントランスから堂々と入る。

案内をしてくれる魔族はなにやらドラキュラっぽい。

翼が背中についてて顔が青い。

やっぱりにんにくはダメなんだろうか。

ダメらしい。

まさか持ってないよな?と聞かれた、持ってはいない。

銀の銃弾もダメなんだろうか。

と思っていたら懐から出したにんにくをバリバリ食べる。

魔族ジョークだったらしい。

ハッハッと笑ってバリバリ食べている。

私の常識は世の常識ではないというのがよくわかった。


鏡の中だの、ベランダっぽい通路だの、扉の裏だの、吹き抜けを伝うだの。

あちこちうろうろして、大広間に出た。

いかにも魔族、という者たちが左右に並んでいる。

召喚された時のプレッシャーに近いものはあった。

一番奥に玉座がある。

ひときわ角がでかい魔族が座っている。

ただし幼女。

幼女?

ようこそお客人、楽にしてくれと言った。

あとから聞いたら武器も持ってないし、警戒してなかったらしい。

魔族、というイメージの常識がいろいろ違う。

デカい角の幼女が喋る喋る。

私も喋る喋る。

周りにいた魔族にも聞かれながら情報をすり合わせた。

齟齬は山ほどあったが、魔族と人間間の戦争についてのみだと以下の通り。

・二百年ほど前に国境を設けて締結している

・締結した条約で五十年ほど前までは平和だった

・魔族からは越境していない、仕掛けた覚えもない

・取られた地域だけ取り返している

・現状で十分暮らしていける

一通り話し終わって、ふむと幼女が顎を撫でる。

びっくりするほど似合わない。

貴重な情報感謝する、もっと話を聞かせてほしいと言われた。

私としても、魔族側の情報が聞けるのはありがたいので承諾した。


一通り話し終えた後、では褒美をやろうと言って幼女が立ち上がる。

立ち上がる時に若干ふらついたのは多分、角のせいだと思いたい。

玉座の裏で何かあったっけ、とつぶやいたのも聞いていない。

さっきのドラキュラらしき魔族に角なんていかがでしょうとか言われてるのも聞いてない。

生え変わった時のやつがあるとかも聞こえない。

玉座から何か箱がはみ出しているのも見ていない。

おもちゃ箱と書いてあるのも私は見ていない。


三十分くらいの後、魔王様の角、というのが私の手に収まっていた。

五十年位前に生え変わった時のだとか。

いや、こんなものを渡されても困るのだけれど。

魔王様はご機嫌だった。

魔族一同ほっこりしている。


どうしてこうなった。

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