一人旅だよ、黒騎士さん
黒騎士になるまでが長いって?
まぁまぁ、そうおっしゃらず。
もう少しで済みますので。
城下町を出てからは、あっという間だったと思う。
せっせと毎日薬草をとって。
せっせと魔物を倒して。
いろんな町と村を見て。
山に登って。
海に入って。
とにかく情報を仕入れる旅だったと思う。
最初の城下町を出た時点で監視は緩んだ。
装備も何度か入れ替えて、旅の装備がすり減って。
装備の取り換え一回目になるころには、監視の目はなくなった。
そして取り換え三回目に入ったころ、いったん足を止めてみた。
そこそこ大きな町に入った時のこと。
確かその時は、泊まった宿で朝食を食べて、新聞を見て。
勇者パーティの快進撃を知らせるコラムを見て。
宿で誰にも見られていないことを軽く確認してから、情報の整理を始めた。
世界情勢をまとめて、気になったことがある。
魔王軍と人間軍の衝突、というより小競り合い。
これはいつもの通り。
勇者パーティーがいくつか穴をあけているが、その端から空いた穴を埋めて対応されている。
注目したいのは、魔王軍の襲撃が一定の土地のみであること。
それ以上の進軍はしていないこと。
人間軍としては、理由は不明。
情報を仕入れたくても、魔王軍なのだから当たり前としか返されない。
どうしてそんなことになっているのか。
大きな街や城に行って、学府や研究施設などを訪れていろいろ聞いてみても、
同じ答えが返ってくる。
行動原理の解明がされていない。
群として統率が取れているなら、誰かが指揮しているということだ。
じゃあ、それは誰が行っているのか?
どうやって伝達して、何の目的で?
大陸内の重要な施設をあちこちしらみつぶしに回ってみても、疑問すら持たれていない。
王宮での問題が解決していない。
そもそも伝聞情報が信用ならない。
分かるところに聞きに行くしかない、と思った。
で、たどり着いたのが魔王城。
魔族の住む村などを探して、住人にいろいろ聞いてみた。
最初は人間が相手なのだから警戒されたものだ。
だが、疑問点と知識を総動員して、こんこんと説明した。
これでもかと説明した。
人間側にある情報は一通り調べてみたが、魔族側にしかない情報もあるのではないか?
そういう疑問も説明した。
心当たりがあるんだろう。
言われてみればと考えこまれたので、粘り強く説明した。
結局、魔族側でもわからないと答える人が大半だった。
襲撃する理由も、される理由も、魔族側も同様に人間が相手だからという認識だった。
そしたら、魔族側から案内を受けて。
紹介状を持たされて。
ここに行けと言われて、あれよあれよという間に魔王城の前に立っている。
この時点でもうどうしてこうなったと頭をかかえていた。
謁見の間に案内される頃には、なかばヤケクソだった事はここだけの話。




