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後始末だよ、黒騎士さん

あてがわれた自室に戻ると、ちょうどダークエルフさんが報告に来た、

やっぱり目の毒。

目線を落とすついでに、一つ味見にと渡された保存食を食べる。

堅い。

干し肉らしいが、堅い。

なんじゃこりゃと思いながらダークエルフさんの報告を聞いた。

あれから攻略拠点も街も放棄されたようで、誰も戻ってくる気配はないらしい。

ダークエルフさんたちも街の奇襲に参加していたので、

自分たちの痕跡になりそうなものはその間に回収したらしい。

鮮やかな手並み。

今は早急に拠点放棄を決定した冒険者ギルドの職員から事情聴取がされているところだとか。

街が丸ごとひとつ放棄されたのだし、妥当だったかどうかは調べなければならないだろう。

目撃した冒険者は軒並み酔っぱらっていたので、

ギルド職員からしか正確な情報は聞き取りできないだろうけど。

放棄までが早かったし、誰がこんなことをしたかまでは追跡できなさそうとのこと。

鉱山を拠点にしている魔族に攻略拠点の残りも適当に畳んでもらった。

勇者一行の情報を猫に追跡してもらっているので、

その報告次第だがとりあえず時間は作れたと見ていいだろう。

ダークエルフさんはやっぱり面白いやつだと思ったらしくて評価が上がるばかり。

それを堅くて食べづらい干し肉を苦い顔で食べながら聞く構図。

どうしてこうなった。


さて、猫の報告が来るまでに解決しておきたいことが一つ。

保存食だ。

動物の干し肉らしいのだが、堅い。

びっくりするほど堅い。

嚙み切るだけでしんどくなるほど堅いのだ。

持ってきてもらった保存食はまだまだ山のようにある。

鉱山を歩き回って体力を回復しつつ、満腹感を得るために堅めに作られた保存食だ。

活かさない手はないが、それにしても堅い。

どうしたものか。

コウモリメイドさんが紅茶を用意してくれた。

掃除以外に仕事がないから自主的に用意してくれたらしい。

残りは飲んでいいよと言ったら、反対側に座って優雅に紅茶を飲み始めた。

気楽で助かる。

ふと思ったが、紅茶は人間たちから奪取した食料。

彼ら彼女らには不要じゃないかと思ったら、嗜好品の一つであるらしい。

作り方を聞いてみたら手軽に使える魔法で水を温めてお湯を作って、

あとは普通の紅茶と変わらないそう。

それを見ていて思い出したのが、インスタントカップ麺だった。

元の世界にいたころには散々お世話になったものだ。

寒い日とか、スープまで飲んで体を温めたもの。

と、そこまで考えて。

コウモリメイドさんに、お湯を作るのってそんな簡単なのかと聞いてみた。

簡単らしい、魔力があればの話だが。

保存食についても聞いてみて、もしかするとなんとかできるかもしれないと思った。

おいしい食事とは、すなわち活力。

せっかく山盛りの保存食が手に入ったのだから、これを試作品に使う。

堅い保存食を前に、もう少し美味しく食べられないかをもう一度考え始めた。

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