冒険だよ、勇者さん(幕間)
異世界に召喚されてから、あれよあれよという間に時間が過ぎたと思う。
ふた月くらいかな?
最初は不安だったけど、友達と一緒に呼ばれたから何とか無事にやってこれたと思う。
最初は本当に突然だった。
友達の一人がラノベの定番みたいな話をいくつか教えてくれたけど、
今回のそれはどれにも当てはまらないらしい。
びっくりした。
いきなり呼ばれて困ったものだけど、国が困っている。
何の罪もない人たちが魔族の侵攻にあっている、と聞いた。
であれば人助けするべきだろうと思う。
一緒に呼ばれたスーツを着た男の人がいたけれど、その人には適性がなかったらしい。
一人で出て行ってしまった。
頼れそうな大人が一人減ってしまったのは残念だけれど、仕方ない。
王様の話を聞いて、まずは装備を整えて修行を始めた。
それからはあっという間だった。
魔法を覚えて県の腕を磨いて。
いかにもファンタジーな状況を何とか乗り切るべく、王城の騎士団に稽古をつけてもらって。
異世界から呼ばれただけあって、素養があったらしい。
王宮の近衛騎士でも敵なしと認めてもらった。
それから、王様からの任務という事であちこちを駆けずり回る毎日。
東へ行って、南に行って、西に行って。
魔族を倒したと思ったら次が配置されていて。
一進一退が続く。
勇者チームとしては勝利が多いし、手に入る素材で装備や戦況を整えるのは簡単だった。
けれど、倒したと思ったら穴埋めがされるので遅々として攻略が進まない。
そんな折、北へ出向いて魔王城が近いらしいと噂の鉱山まで来た。
街中には酔っ払いがちらほらみられて、治安がいいとはとても言えない状態だった。
冒険者ギルドに張り出されている依頼も、難しいものがたくさんある。
強い魔物から、鉱山では数の取れない薬草の採取依頼。
貴重なドロップ品、ここでは採りにくい鉱物。
どうやって取ればよかったか確認してからでなければ、無駄足を踏みそうだった。
強い魔物が多いのであれば、当然街中も防備を固めるもの。
と、思ったら鉱山の攻略用に作られた拠点があるとのこと。
街中の確認もほどほどに、鉱山の中へ入る。
鉱山はとても広いし、魔族も種類が多くて対処に困った。
攻略難度が高くて調査が進まないという話を聞いて来たけれど、さもありなんという感想だった。
パーティのみんなと連携を密にしながら鉱山内の洞窟を進む。
通路がたくさんあるし、網の目のように広がっていて迷子になりやすい。
魔族が作ったらしきトラップは、致命的なものこそないものの数が多くて辟易する。
かといって外に出て補給すると、トラップは全部元通り。
覚えておいたりメモして地図を作らないと攻略が進まないのに、配置されている魔物も定期的に変わるようだった。
それもローテーションであることがなんとなく見えてきたので、冒険者ギルドに足しげく通って相談しつつ、解析を進めて攻略していく。
これで鉱山を攻略しきれる。
魔王城も見えてくるだろう。
そのはずだった。