顔合
「そういや俺ら顔見たことなくね?」
多分知り合って半年くらいかな。
ずっとお互い顔も知らないまま連絡を取り合っていた。
気にはなっていたが俺の中ではさやは絶世の美女くらいのイメージが勝手に膨れ上がっていたがあまり外見はどうでも良かったのだが。
「そういやそうだね」
「写メ交換しない?」
「えー。さやあんまりしたくない」
「なして?」
「ブスだったらどうすんの?」
「え?どうもしないw耐えれなかったら縁を切るかもだけどw」
「うっわー。しょーちゃんなら本当にやりそうだし。先にしょーちゃんから送ってくれる?」
「いいけど不細工だったらどうする?」
「耐えれなかったら縁を切るw」
「死ねwキメ顔とるから待っててw」
軽口を叩いていたが本当に連絡来なくなったらどうしようと思って、マジで顔作ってたw
買ったはいいが壊滅的に似合わないハット被ってみたり、角度変えてみたり。
最終的にめんどくさくなって、ど正面の真顔で送ったけどw
「は?顔怖いんだけど。しょーちゃんて面じゃねーし。ほんと年下?」
この返信だけは一言一句間違ってないのは覚えてるw
どんな内容にしても返信が来たことが嬉しかった。
「うっせーしwいいから、さやのも送れやw」
「はいはい。」
少し待ってさやから送られてきたのは多分部活の集合写真の拡大。
めちゃくちゃ笑顔で、目がクリクリで、八重歯がかわいい菅野美穂みたいな女の子の写真だった。
「は?かわいくね?こんなかわいいんだったらもっと本気で顔作って送ったんだけどw」
「何故に?w」
「もしかしたら顔見せて連絡こなくなる可能性あんじゃん」
「ばっかじゃねーのwさんざん仲良くしておいて顔キモいとかで連絡しなくなることないよ」
「あ、キモいとは思ったのね」
「キモイとは思ってない。ただ怖いw30代じゃないの?」
「ちがうわwてか、なんで写真の写メ?」
「自撮りってはずかしい」
これが俺らの初顔見せだった。
さやはイメージどおりってか普通にかわいかった。
ほんと距離が離れてなければノータイムで好きになっていたと思う。
実際はこの時には既に好きだったのかも知れないが。
さやからの話だとほんとうに顔が怖かったらしい。
いつも失礼なこと言ってたけど大丈夫かなってマジで思ったって。ただうれしいことに強面がタイプだったみたいで、わりかし好みの部類だったらしい