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プロローグ
太陽がさんさんとあたる広い野原に
白い花が暮らしていました。
太陽の陽を浴びて白い花はとても幸せでした。
ある日、黒い雲が辺りに満ちてきて
太陽を隠してしまいました。
白い花は雨に打たれ、うなだれ、
それでもそこを動くことはできませんでした。
不憫に思った彼女は白い花を家に持ち帰り
暖かい部屋で、水をやり、肥料を与えましたが
白い花は元気になりません。
ますます弱っていく白い花に、
窓辺から月の光が差しました。
その光に心が癒されていくのを白い花は感じます。
白い花は彼女にもとの野原に返して欲しいと頼みます。
それを聞き入れない彼女は、白い花のためになると、
ついには彼女の好きなチョコレートを植木鉢に埋め始めました。
それを見ていた風が、彼女が少しだけ目を離した隙に
白い花を連れ去り、元の野原に放してあげました。
白い花は月の光に照らされて、それからを静かに幸せに暮らしました。
白い花の居なくなった植木鉢を見つめる彼女は、
自分の何が悪かったのかがどうしてもわかりませんでした。