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死の獣  作者: 明日香狂香
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国土交通省の忖度

「土石流と火砕流を確認。南硫黄島の火山が噴火したとの結論い達しました。本日、島全体を警戒レベル5に指定しました。」

 気象庁の忖度発表に、一番ほっとしたのは日本政府だろう。これで、立入禁止にして、外国船を強制排除できる。海外も噴火地域に船を出して沈没させるようなことはできまい。


「南硫黄島の噴火発表については、政府が直接指示できませんので、私が忖度いたしましました。」

 管轄する国土交通省の副大臣の発言に国内では辞任を要求する声が高まった。

「この時期に、忖度なんて言葉を発すること自体が信じられん。」

 周囲にも同情の声はない。


 神の怒りを沈める方法といえば昔から生け贄と相場が決まっているが、いまのご時世そんなことはできない。とりあえず、神主に祝詞をあげてもらう。そして、唄と踊りが奉納された。

 そして、最後に死海の古文書から見つかった、かつて獣を鎮めた歌が捧げられた。


 我等の国は消ゆれども、我等の誇りは失わず。

 己のために生きるより、友のために生きて行こう。

 愛する者がいるのなら、

 愛してくれる者がいるのなら、

 君には生きていく価値がある。


 両目の光は失えど、希望の光は失わず。

 意地を張って生きるより、家族のために生きて行こう。

 したう者がいるのなら、

 したってくれる者がいるのなら、

 君には生きていく意味がある。


 体の自由はきかずとも、心の自由は失わず。

 命の炎がつきるまで、心のままに生きて行こう。

 信じる者がいるのなら、

 信じてくれる者がいるのなら、

 君には生きていく理由わけがある。

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