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死の獣  作者: 明日香狂香
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東方進行

 中国では、兵馬俑抗に異変が起こっていた。ただの土くれの人形だと思われていた兵馬俑たちが地上に大挙して出現したからだ。それらは、四獣とともに東へと移動を始めた。


 彼らが何をしようとしているのかは。それは、皇帝を迎えに行く行列だった。始皇帝はすでにいない。では、いったい誰を迎えようというのか。


「獣たちのルートが判明しました。」

 アメリカのホワイトハウスでは、衛星からの情報をもとに彼らの侵攻方向を予測していた。

「シベリアルートはカムチャッカ半島に方向を変えました。インドルートは台湾。北欧ルートはベーリング海に達しています。チャイナルートはコリア半島に到達。以上のことから、ジャパンに向かっていると予測されます。」

 大統領は日本総理に電話した。それは、できればすべてを捕らえよというものであった。


 しかし、すべては人知を超えたものたち。総理の安請け合いのおかげで、現場ではどうやって捕まえるか頭を抱えて悩む日々だった。

「アメリカからじゃんじゃん武器をかえばいいじゃん。ちょうどいから憲法九条も変えれば。」

 思いつきを口にするだけの総理は気楽だ。思い付きとも指示ともつかないたわごとを、忖度して実行するのは、役人になのだ。霞が関では、役人たちが右往左往している。


「武器ったって、何を買うよ。」

「なんだっていいよ。どうせ役に立たないものばっかりなんだからさ。」

「今なら中古の核をアベソン経由で格安で放出するって。」

「どこ経由だって?にしてもダメっしょ。外国に打ち込むわけにもいかないし、国内でも使えないよ。」

 防衛省では予算の工面で忙しく、様子見するのが精いっぱいだった。


「侵略相手ってのは国じゃないよな。人でもないよな。侵略生物って、どう定義するだよ。自然生物だったら鳥獣保護法に違反しちまうぞ。」

「埴輪ってロボットでいいのか?いま検討してるのは知性のある人工物で、あれにAIが搭載されているってのは無理があるぜ。」

 総務省では憲法解釈に苦慮していた。


「アメリカは、生物の移動は侵略じゃないから手を貸さないって言ってるらしい。」

「日本人のために米兵を出したくないだけさ。」

「それどころか、大企業に安全なアメリカ国内に工場を移すなら優遇するとか言ってるらしい。」

 外部省もアメリカの無茶ぶりに放浪されるだけだった。

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