別離
やがて、真っ白な雪の絨毯に赤いしみが広がりだした。血の臭いがする。どちらかが怪我をしたのだろうか?その後、日暮れまで待ったが、2体の獣は雪の中からでてくることはなかった。次の日も、さらに次の日も。赤いしみは広がりを止めた。赤く染まった雪はそのの赤い氷となり、広大な氷河となった。
「あきらめよう。双方相打ちだったのだろう。もし、運があるのならいつか生き返るかもしれない。しかし、それは我々の生きている間ではないかもしれない。」
ヨワネたちに促され、アキもついにあきらめた。そして、獣の好きだったあの歌をうたった。
我等の国は消ゆれども、我等の誇りは失わず。
己のために生きるより、友のために生きて行こう。
愛する者がいるのなら、
愛してくれる者がいるのなら、
君には生きていく価値がある。
両目の光は失えど、希望の光は失わず。
意地を張って生きるより、家族のために生きて行こう。
したう者がいるのなら、
したってくれる者がいるのなら、
君には生きていく意味がある。
体の自由はきかずとも、心の自由は失わず。
命の炎がつきるまで、心のままに生きて行こう。
信じる者がいるのなら、
信じてくれる者がいるのなら、
君には生きていく理由がある。
その後、彼は一人で東へと向かった。その後の消息はだれも知る者はいなかった。
次から第二章が始まります。




