表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死の獣  作者: 明日香狂香
29/65

迎撃

「戦が始まった。ワシは軍の指揮を見る顧問とになった。お主とはしばらくお別れだ。」

 老人の言葉に、アキは

「まだ、剣の真髄は見えておりません。できれば、修行を続けたい。」

 そういって、城の中に残った。戦となれば城への出入りは自由にはできない。獣の世話はシバクたちに頼んだ。


「ミック顧問。敵は、鉄の箱で武装しております。歩みはのろいですが、矢も剣も歯が立ちません。」

 隊長が老人に報告をした。

「ご苦労。敵が拡散し、少しすけさえすればよいのだがのう。」

 手渡されたスケッチを見て、顧問となった老人は考え込んだ。

「ロウムの軍は、奴隷が多い。彼らは、太鼓の音にあわせて行動します。」

 アキは昔のことを思い出していた。


 すぐに城へつづく街道にいくつもの太鼓を配備した。

「ドン、ドン、ドン。」

 ロウム軍が近づくに連れ、一定のリズムで太鼓が響いてくる。

「ドン、ドドド、ドッドドド、ドン、ドドド、ドッドドド。」

 キリシエ軍が、別のリズムをたたき始めた。

 街道をふさぐように、前後に横一列で進んでいたロウム軍が停まった。鉄の箱の中では、どちらの太鼓の音か区別がつかなかった。


 ロウム軍の隊列が乱れる。キリシエ軍は、その隙間を塗って内部の密集地帯へと突入した。突然のことに、ロウムの兵たちは剣を抜くことさえ満足にできなかった。

「右ウィングはそのまま敵の後方へ回り込め。左ウィングは横から敵をくずせ。」

 前線部隊の隊長が指示をだす。『疾風』と呼ばれた、俊足部隊である。きっちりと並んだロウム軍は戦うスペースがない。戦車隊を残し、あっという間に退却していった。

「引け!」

 疾風の隊長が叫ぶ。そして、戦車隊だけが、その場にぽつんと取り残された。


「次!瑶林隊ようりんたい、前へ。」

 大量の丸太が戦車隊の回りに並べられる。足止めのつもりだろうか?辺りはまるで、木場のような光景に変わった。かれらは、重いものを運ぶためのコロの扱いに長けていた。そのたた、常に多くの丸太を携行している。

 戦車は木のはさまれ、身動きができない。


「火を放て!」

 隊長の掛け声で、丸太に火がつけられた。乾燥した丸太は、次第に勢いよく燃え始めた。炎に包まれた鉄の箱は、温度があがり、中はまるで焼き釜のようになった。

「アチ、アチ!」

 戦車の中から声が聞こえる。しかし、戦車はゴトゴト音を立てて揺れるだけで動かない。それもそのはずで、いつのまにか、うずくまって停まっていた戦車の上にはいくつもの投石用の重たい石がのせられていたのだ。


「降参すれば、捕虜として助けてやる。抵抗するなら、このまま蒸し焼きにする。」

 隊長の言葉を兵士が伝える。残されたのは、もともと奴隷として集められた連中だ。ロウムに義理立てして、死を選ぶ理由も無い。ほとんどの兵士が捕虜として生きる道を選んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ