神聖スリンピア王国
神聖スリンピア王国。この王国はこの世界において特に重要な国家であることは、言うまでもないことであろう。
かつて、世界が混乱に陥ったとき、彼の王国はその力を持って多くの国家を平定し、現代の安定ともたらした。それは多くの国で語り継がれるように、その功罪を別とすれば、偉大な所行であることは間違いない。
その建国は神話の時代にまで遡り、少なくとも現在確認されている最古の歴史書である『武勇伝、黄昏の魔法剣士』においてかの王国の名は既に記載されている。
一説には、かの英雄クリス・ロジャースが冥竜王を討ち滅ぼした後、彼を王として建国された国こそ現在の神聖スリンピア王国の根源とするものも存在する。
しかし、その後の歴史においてかの英雄が建国したとされる国名は姿を消すこととなる。戦によって滅びたのか、それともただ歴史の表舞台に登場しないだけでその国は確かに存在したのか。それとも、そのような国は最初から存在しなかったのか。現存する歴史書はその答えを与えることはない。
最近になって相次いで発見されたスリンピア王国の周辺の遺跡の多くは、考古学者の調べによるとクリス・ロジャースに由来するものが少なくないという。これは果たして、神聖スリンピア王国がクリス・ロジャースに由来する王国であるのかどうかを示す発見となるのか。今後、更なる調査が必要となるだろう。
(魔法ギルド出版『現代論』、コラムの一部抜粋、著者ベルディナ・アーク・ブルーネス大導師)