1.出会い、そして終わりの始まり。
あなたはその目で
彼の終末、彼女の最後を
見る覚悟はあるんですね?
その子は孤児だった。
その子は人ではなかった。
その子は………すでに結末を背負っていた。
梅雨、じめっとした雨が降る中にその子はいた。
雨のせいなのかその子の顔には雫が滴っていた。
私はその子を「イヴ」と名付けた。
その子を見捨てることができなかった私は イヴ を私の子として迎え入れた。
その子はとっても喜んでくれた。
女の人が近づいてくる。
女の人は悲しそうな目で近づいてきた。
その人はイヴという名前をくれた。
嬉しいけど僕が名前なんてもらっていいのかな。
だって僕は…××だから。
私はイヴを連れて自宅のアパートに帰ってきた。
幸いにも1部屋空いていたので”イヴの部屋”にすることにした。
家族が増えたという感じはまだなかった。
でも今までのように暗い部屋ではなくなった。
それだけは確かなことだ。
彼女は僕に部屋まで与えてくれた。
××の僕がこんな待遇を受けてもいいのだろうか。
そしてふと見ると彼女は悲しそうな目をしていた。
××の僕でも彼女を元気にできるかな。
いや、いつかしよう、こんな僕を拾ってくれたお礼を兼ねて。
朝日が昇る。
それは1日の始まりと解放された時間が終わる「12時の鐘」
と言ってもシンデレラのような素敵なENDは待ってない。
過労死とか孤独死とかのBAD ENDだけ。
でもいつもよりは気が楽だった。
イヴくんが頭を撫でてくれたのがこんなにも安心感をくれるなんて。
朝になると彼女は家を出た。
”仕事”とやらに行くらしい。
彼女はまた、悲しい目をした。
だから僕は頭を撫でてあげた。
彼女はとても喜んでくれた。
だから僕は毎日続けることにした。
イヴは私が仕事に行かない日でも必ず撫でてくれた。
イヴは元気と安心をくれた。
そういえばイヴくんの誕生日っていつなんだろう。
私だってイヴくんに何かしてあげたい。
私とあの子が出会った日、その日をイヴくんの誕生日にしよう。
明日あたり、イヴくんに聞いてみよう。
彼女はどうして僕を拾ったんだろう。
今まで大した興味はなかったので聞かなかった。
もしかしたら怖かったのかもしれない。
最初はこんな僕に尽くしてくれたのは裏があるからなんじゃないかと思ってた。
でも今は打ち解けていて”仕事”の愚痴の聞き相手にもなっている。
少し怖いけど明日聞いてみよう。
どうやらイヴくんからも聞きたいことがあるらしい。
なにやら拾った理由を聞きたいらしい。
そんなこと決まっている、私と似ていたからだ。
ボロボロで頼れる人もいない、朽ち果ててなにもできない。
そんなに似ているのに私が助けないわけがない。
でも、本当は、もしかしたらただの偽善なのかもしれない。
驚いた、彼女の方からも聞かれることがあるとは。
誕生日のことらしいが僕はすぐに答えを出すことはできなかった。
僕たちが出会った日が誕生日だとしても僕は彼女の誕生日を知らない。
僕だけが祝われるというのはなんだかダメな気がした。
でも祝ってくれる人がいるという嬉しさが勝ってしまい、結局誕生日は出会った日になった。
もうすぐで半年が過ぎる、僕は彼女を元気にすることはできているだろうか。
はい、久々の登場、爽健美◯です。
今回の作品は…まぁ…自分で考えといて
鬱になりかけてた数年前のネタを
引きずり出してきました。
これも続くのでよければ見てってください(ペコッ