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京華学園生徒会編 プロローグ

 トントンと小刻みに机と蜥蜴の(……カナヘビかもしれない)頭に釘を打ちこむ作業をしている音で、自分が大分悪いことをしているのは少し自覚しないといけない。

 机の板はそれなりに堅いから少し時間がかかって、かといって電動の工具をつかうと、時間短縮になるが作業をしているけどしていないような、あっけなく終わってしまってはこのあとが……とまで考えたけど何匹か捕まえてきたから蜥蜴の数だけ同じ事を繰り返すだけだったな。

 それで、蜥蜴の作業が終わったら、校舎裏に置いてきた赤いカラーコーンにあまり好きではない猫とそいつが暫く生きられるように残飯を詰め込んで誰かが拾ってくれるように適当なところに置きに行こう。

 今朝、誰がやったのかはわからないけど、犬と人間が死んでいて、なんとなく近付いて観察してみたらどちらの口にも土が詰め込まれていたなぁ。

 かわいそうだとはおもったけど、この近所では馬鹿飼い主と馬鹿犬だったことで有名だ……みたいな噂を少し聞いたから、そういうのが嫌いな人がやったのか、たまたま運悪く精神が狂いきった人に出くわしてそうなったのか……そのうちニュースでいろんな人の予測や推察の答え合わせするだろう。

 そんなことを思い出したら、これから人目につくところに捨てる予定の猫がそんな気の狂った人間に遭遇して、酷い目にあったらやっぱりかわいそうだと思えてきたな。仕方がないけど校舎裏でそっとしておこう。

「……なにをしているのですか?」

「なにって、作業ですよ会長」

 いつの間にか生徒会長が来ていた。

 僕の方を見て一瞬固まって、大きくため息をつき、蜥蜴の方に視線を向けてからすぐに僕を見つめ直して、その表情は酷く悲しそう。

「そんな作業は必要ありません。弱いものをいじめるのはよくないことです」

「蜥蜴ってそこまで弱いでしょうか。僕はそうは思わないけど」

 人間の除外された自然界の生態系とか、食物連鎖とかで考えてみれば蜥蜴は虫とか食べてるし、すばしっこくて捕まえるのは大変だったけれどそんなに弱くはないだろう。

「自分より弱い。と言う意味です」

「お祈りしましたから敬意ぐらいははらってますよ」

「とにかく、いけないことはいけませんから!!」

 適当にあしらおうと思っていたけれど、ほかに捕まえていた蜥蜴を逃がされ釘も没収されてしまった。

 机に打ち付けたのがいけなかったのなら壁とか床という手もあったな。

「じゃあ次は蛙にします」

 田んぼの近くに行って捕まえて、松の葉っぱで串刺しにしてそれをプールに浮かせれば、どこかのお洒落なリゾート地にある花びらが浮いてる浴槽みたいになっていいかもな。

蛙入りプールに入りたいとは思わないけれど、一生縁のないであろうことの疑似体験が出来る。

「食べ物はなにかの死体な時がありますし、花びらだって花の死体ですから。誰かやなにかが別の誰かのために死ぬことはいつものことじゃないですか」

「花びら?」

 適当にあしらわれてくれないから困る。僕がなにを言ったりやろうが子供にしつけをしている母親みたいに正しさと愛情らしいものを持って接してくるのがうちの生徒会長だ。

「だめですよ。反抗期なのはわかっているつもりです。けれど、このような、生き物で遊ぶことはどんな人であってもいけないの……」

正しいことを言っている。

「はい、そうですか」

 特別嫌いでも無く、わりと善良そうな人間だからこそ不意をついて今持ってる金槌で後ろを向いたときにでも頭を叩いたら面白いことになりそうだけど。

「会長も大変ですね」

 折角張り付けた蜥蜴だけど、仕方がないから引っ張って無理矢理取り、道具と一緒に窓から投げ捨てた。

「机、ちゃんと片付けてください。これだって学校の備品なんですから」

「はい」

 やれやれ、まったくもって仕方がないな。

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