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十話 風船

 宙を浮く風船と浮かない風船があって、どちらにも言えるのはあればあるだけ窮屈そうにしているところだなぁとおもう。

「行き場を失ってるのかな」

 楽しい気持ちになると考えて生徒会室から沢山風船の入った袋を拝借してきて、本には書いてなかったからどこかの遊園地を見に行って風船の膨らませ方とそれに必要な道具を持ってきた。

 楽しい気持ちって何だろ?

 まぁ、僕が感じたところでどう残せるかわからないし、分からなかったら分からなかったで彼女が考えて見つけることかな。

「部屋も狭くなるし」

 もともと物置のようなものになっているからちょっとでも増やすと簡単に狭くなる。

 こまったものだ?

 風船の処分方法なんだったっけ……どっかに飛ばすのは持っている側の間の抜けたミスで、放置しておくとしぼむらしいけど、どのくらいでしぼむかわかんないし。

「……なんでこんなに風船があるんだ」

 教室の戸が開いて、入ってきたのはこないだの人だった。素性までは知らない。

「処分に困ってるんだ」

「割れば良いだろ」

 こないだの人は呆れた表情をうかべて僕を見ている。

 割るのか。そうか。

「なにで?」

「針で」

 手元にはないから。またどこかから持ってこないといけない。

「割り方は?」

「風船に刺すだけだぞ」

 なるほど。簡単に解決するんだ。

「なにしにきたの?」

「また入れるのか気になっただけだ。じゃあな」

 彼は無愛想にそう言い残してすぐに出ていってしまった。

 わかったことがある。

 どうやら誰かと会話をしてみないと感情のあれこれはわからないらしい。

 違うな。改めて気づいただけだ。

 ものに話し掛けたって無機物でしかないから、思考も感情もないし。

 けれども会話が必要だと気づいても、僕のことが見える存在なんてあんまりいないし……やっぱりいいや。

 後日。風船を割ってみるとすごく大きな音がして、とても驚いた。

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