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397 石像再び

前話のおはなし:石像を倒して、石化を回復させた。


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 ステフの説明を聞き、ベルダは安心したようだ。


「私が石化していた間も、エルケーの被害は拡大していないようだな。ありがとう」

「みなの尽力のおかげです」

「いや、ステフの功績は大きい。後で報奨をださせてもらおう」


 そしてベルダはFランク冒険者たちや職員たちに指示を出す。

 被害状況を把握するためだ。それに石像がどこから来たのか調べなければならない。

 指示を出し終わると、ベルダはこちらにやってきた。


「この非常時に聖女ユリーナさまがエルケーに滞在していたことはまれにみる僥倖だった」

「あ、はい。運がよかったのだわ。うん」


 ベルダはムルグ村を中心とした転移魔法陣網の存在を知らない。

 だから、ユリーナが偶然エルケーに滞在中だったと思ったのだろう。


「エルケーには教会の公務でいらっしゃったのか?」

「ま、まあ、そんなところなのだわ」


 ユリーナはしどろもどろだ。助けを求めるようにこちらを見る。

 俺が何かを言う前に、ベルダがクルスに気づいた。

 クルスは獅子の被り物をかぶっている。クルスとは気づくまい。


「あの方は?」

「えっと、ティミショアラの友人です」


 クルスが何かを言う前に、俺が伝えておく。これで厳しく追及をされることはあるまい。


「そうそう! そだよー。ティミちゃんの友達なんだー」


 クルスは笑顔で応対している。とはいえ、表情は仮面に隠れてよくわからない。

 クルスもユリーナも、ベルダとエルケーで会うのは初めてだ。

 だが、魔王討伐後の各種イベントで、王都では何度かあっている。

 仮面をかぶらずに顔を合わせれば、すぐにばれてしまうだろう。


 ベルダはクルスに興味を示している。


「あなたは……もしや……」

 ベルダがクルスについて何かを聞き出そうとしているので、こっちから話しかける。


「ところで、この石像に気づいたとき、石像はどのあたりにいましたか?」

「あ、ああ。ちょうどそのあたりだ」


 そう言ってベルダが指さした場所は、ケィが気に入っていた変な像のあった場所だった。

 あのへんな像が動き出したのだろうか。


 俺は魔法で灯りをともして、像のあった場所を見る。

 意外にもそこには変わらず像があった。姿はまったく変わっていない。

 高さは人の身長ぐらいあり、金属製の人でも動物でもない謎の像。

 ぐにゃぐにゃした三角錐だ。


「これが何かの魔法装置と考えた方がいいかもしれないのだわ」

「ヴィヴィ、これがなにかわからないか?」

「わからぬのじゃ。ケィに案内してもらった時に初めて見たのじゃ」


 正直、俺にもこれが何かよくわからない。

 魔道具ではないし、魔法陣が刻まれているわけでもないのは確かだ。


「すごくかっこいい像ですねー」

「ク、いや……、君はそう思うのか」

「はい」


 一応ベルダに獅子仮面の正体がクルスだとばれないように気を遣った。

 それから俺とヴィヴィとフェムは念のために謎の三角錐の金属像を調べる。

 クルスは俺たちの後ろから様子をうかがっていた。

 一方、モーフィはバラバラになった動く石像の臭いを嗅いでいた。


「これもものすごく巧妙に隠されてはいるが……。魔力が微量に漂っているのは確かだな」

「うーむ。金属像に魔法陣が描かれているわけではないのじゃが、この金属像で魔法陣を隠しているような気もするのじゃ」


 そういって、ヴィヴィは像の近くを指さした。かすかに魔力の流れが見える。

 巨大すぎて文様がわからないが、魔法陣の一部といわれれば、そんな気もしなくもない。


「ふむ? もしそうならとてもまずくないか?」

「そうじゃな。隠されている魔法陣はエルケーより大きいかもしれぬのじゃ」

 さすがに大きすぎて、ヴィヴィでも魔法陣の種別がすぐにはわからないようだ。


「もっも!」

 そのとき、モーフィが大きな声で鳴いた。

 石像の破片が高速で素早く動き出し、あっという間に元の姿に戻り咆哮する。


 ――OOOOOOOO

「なんだと! まだ動くのか!」「ガァアァ!」


 ベルダとジールの悲鳴に近い声が響く。ベルダは抜剣し、ジールは身構える。

 ベルダもジールもさすがの反応だ。


「もっも!」

 モーフィが小さい姿のまま、石像の足に頭突きする。

 それだけで、ぐらりと石像が倒れかける。


「任せておいて!」

 クルスがそういった瞬間、石像は再びバラバラになる。

 だが、石像のかけらは、またすぐに元の姿に戻った。


「きりがないかもです!」「もっ!」


 石像を動かしている動力は石像の内部にはないのだろう。

 もしかしたら、エルケー全体に描かれた巨大な魔法陣で動いているのかもしれない。

 その場合、砂にまでバラバラにしない限り、動き続けるだろう。


「アルラさん! どうしますか?」

「うーむ。まあ仕方あるまい。任せてくれ」

「はい!」


 大魔法を街中で使うわけにはいかない。だから、石像には移動してもらおう。


「お前の相手は向こうでしてやろう」

 俺は巨大な動く石像に重力魔法をかけ軽くして、魔法障壁を高速でぶつける。


 ――OOOOOOooo……

 巨大な石像は、エルケーの街の外にそのまま吹っ飛んでいった。

街の外で倒すのが早いでしょう。

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