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281 試合の後の日常

前話のあらすじ:魔導士ギルドの使者が来て帰った。


10月12日前後に二巻がGAノベルから発売になります。

 魔導士ギルドの使者が帰った後、クルスがいう。


「折角だし、王都観光にでも行きますか?」

「あ、行きたい行きたい!」

 コレットがはしゃぐ。ミレットやヴィヴィも観光に乗り気の様だ。


「我も王都を見て回りたいぞ!」

 ティミショアラも乗り気だ。


 だが、一人だけステフの元気がない。


「ステフ疲れたか?」

「いえ、大丈夫です! 行けるのです」


 観光など、行けるかどうかより行きたいかどうかだ。

 疲れているなら休めばいい。王都などいつでも来られるのだ。


「俺は試合で疲れたから、村に帰ろうかな」

「じゃ、じゃあ、私も師匠について行くのです」

「えー、アルさん来ないんですか? 残念だなー」


 クルスはしょんぼりしている。


「クルス、またの機会にな」

 そういって、クルスの頭を撫でておいた。

 ティミはシギショアラに向かって言う。


「シギショアラ。叔母さんと一緒に行こう」

「りゃぁ」


 シギは一声鳴くと、俺の懐の中にもぐっていった。


「来てくれないのか……」

「シギも疲れたんじゃないか?」

「そうか、ならわらわも……」

「お土産を買ってあげれば、シギも喜ぶんじゃないか?」

「それもそうであるな!」


 ティミは元気になった。そして俺の服の上からシギを撫でる。


「叔母さんはお土産を買って帰るからなー」

「りゃっりゃー」

「うむ。楽しみに待っているがよい」


 クルス、ミレット、コレット、ヴィヴィ、ティミは観光に出かけて行った。

 そして、俺とステフ、獣たちは村に帰る。


 村に帰ると、ステフは自室に戻っていった。仮眠でもするのだろう。

 俺は獣たちと衛兵業務だ。

 とはいえ、村の入り口に座っているだけだ。

 しばらく座っていると、倉庫の扉が開かれた。

 中からチェルノボクがぴょんぴょん跳ねてくる。


「ぴぎっ」

「おお、チェル。教団の村に行ってきたのか?」

「ぴぎぴぎっ」


 どうやらそうらしい。

 チェルノボクは最近、ほとんど死神教団の村に出かけている。

 色々手伝うことがあるのだろう。


 チェルノボクは近寄ってくると、俺のひざの上にのる。そして、ふるふるする。

 俺はチェルノボクを優しく撫でた。すべすべで、ふよふよして気持ちがいい。

 シギショアラも、俺の懐から出て、チェルノボクの上に乗る。


「教団の村はどうだ?」

『だいじょうぶ』

「困ったことはないか?」

『ごはんも、まきもたりてる!』

「そうか、それならよかった」

『ありがとありがと』


 大雪害にあったにもかかわらず、チェルノボクの死神教団の村は順調らしい。

 とても良いことだ。


 大雪害にもかかわらず、クルス領全体でも人的被害は皆無だった。

 クルスたちの迅速な活動のおかげだろう。


『すてふどうだった?』

「ああ、魔導士ギルドでの試合な」

『うん』


 チェルノボクは魔導士ギルドでのことを聞きたがった。

 ひざの上にのせたまま、俺は魔導士ギルドであったことを話していく。

 フェムとモーフィも俺のすぐ横で、大人しく聞いている。


「ぴぎっぴぎっ!」

 チェルノボクは俺の語りを聞いて興奮していた。


「それで、魔導士ギルドは情報収集を快く引き受けてくれたんだよ」

「ぴぎー」

「ステフも大活躍だったし、よかったよかった」

『ある、すごい』

「そんなことないぞー」


 そんなことを話していると、クルスたちが帰ってきた。


「アルさーん、ただいまです」

「おお、クルス。楽しんだか?」

「はい!」


 ティミも走ってくる。


「シギショアラ! お土産を買ってきたぞ」

「りゃっりゃ!」


 ティミの買ってきたお土産は、お菓子の詰め合わせだった。

 どれもうまそうだ。

 古代竜の宮殿に行ったときもおもったのだが、お菓子のセンスがいい。

 古代竜は舌が肥えているのだろう。


「おっしゃん、たのしかったよー」

「それはよかった」


 コレットが抱き着いて来るので、抱き上げた。

 王都観光してきた者たちは楽しかったようで、なによりだ。


◇◇◇◇◇


 その日から俺は衛兵業務をこなしながら、弟子たちに魔法を教えた。

 弟子たちは筋がいいので、教えがいがある。


「りゃありゃありゃあ!」

 俺が弟子たちに教えていると、シギが真似をするので、シギにも教えはじめた。

 とはいえ、シギは赤ちゃんである。そう難しいことは出来ない。

 魔法体操を一応教えておく。効果があるかはわからない。


 チェルノボクも教えて欲しそうにふるふるしてたので教えてあげた。

 フェムとモーフィとヴィヴィにも教えてあげた。

 みんな魔法を学びたいらしい。


 その間も、魔導士ギルドからは毎日報告書が送られてきた。

 かなり詳細な報告書だ。


◇◇◇◇◇

 試合から一週間後の夕食後。

 俺たちは衛兵小屋の居間に集まっていた。

 冒険者ギルドと教会、そして魔導士ギルドから集まった情報を整理する会議のためだ。


 勇者パーティーのクルス、ルカ、ユリーナ。

 俺の弟子であるミレット、コレットにステフ。

 ヴィヴィとヴァリミエ、それにティミショアラもいる。

 もちろん、シギやフェム、モーフィ、チェルノボクもしっかりそろっている。


 会議が始まり、最初に口を開いたのはルカだった。


「情報はものすごく集まったわ。ここは世界中で獣人魔導士の情報が最も集まった空間と言えるかもしれない」

「そんなにか」

「期待できるのじゃ!」


 ヴィヴィはモーフィを撫でながら言った。

 だが、ルカは首を振る。


「問題は、これだけ情報を集めても、わからなかったということよ」

 ルカは深刻そうな表情でそう言った。

情報収集した結果、あまりわからなかったようです。

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