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【web版】最強の魔導士。ひざに矢をうけてしまったので田舎の衛兵になる  作者: えぞぎんぎつね
6章

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173 深まる秋

前話のあらすじ:チェルノボクが村に来た

このお話から6章です


7/15にGAノベルから発売です!

 チェルノボクをムルグ村に連れ帰った次の日。

 クルスたちは自分の仕事をしに各地に向かった。

 そして俺は自分の仕事である衛兵業務についていた。


「なんか衛兵業務も久しぶりな気がする」

「色々あったからのう」


 ヴィヴィは地面にお絵かきをしていた。

 ヴィヴィは朝から、転移魔法陣を通って教団本部へ行ってきた。

 それで、司祭のセキュリティ登録を済ませてきたのだ。

 遊んでいるように見えて、ヴィヴィは働き者である。


「そうだなぁ」


 天気は良いが、日差しは強くない。気持ちのよい秋の風が吹いている。

 畑の方を見る。収穫の終わった畑で少数の村人たちが何かしていた。

 収穫の後始末的な何かがあるのかもしれない。


「自分たちで作ったイモ畑の収穫はしたけど……。他は手伝えなかったな」

「そうじゃな……。だが、忙しかったしのう」


 収穫後の畑で、シギショアラや子魔狼たちが楽しそうにじゃれていた。

 子供同士仲良くするのはよいことだと思う。

 監督するかのようにフェムが付き添っている。フェムは面倒見のいい魔狼王なのだ。


「村人として一大行事の収穫に参加できなかったのは……残念だ」

「別にイモ畑の収穫はしたし、気にしなくていいのじゃ」

「そうですよ!」


 いつのまにやら、背後にミレットがやって来ていた。

 その後ろにはコレットもいる。


「アルさんもヴィヴィさんも、ものすごく村の役に立ってますよ!」

「ならいいのだけど」

「ヴァリミエさんとアルさんとヴィヴィさんが作ったゴーレムが活躍してましたし」


 そういえば、ゴーレムを作った気がする。

 役に立ったのならよかった。


「おっしゃん! コレットもゴーレム操作して活躍したんだよ!」

「偉いぞ。コレット」


 コレットの頭を撫でてやる。

 コレットとミレットは魔法の修行を続けている。

 ゴーレムを作るのは難しくてもゴーレム操作ぐらいはできるのだ。


「もっも!」


 コレットの後ろからモーフィがやってきた。

 モーフィは村人の仕事を手伝っていたのだ。荷運び等の仕事はモーフィの得意分野だ。

 賢くて力の強いモーフィは大人気である。


「モーフィ、仕事は終わったのかや?」

「もっ!」


 ヴィヴィの問いにモーフィは自慢げに答える。


 モーフィの背にはチェルノボクが乗っていた。チェルノボクは特に何をするでもない。

 村の中を好きに動き回っている。ペット扱いで村人に可愛がられているようだ。


「モーフィ偉いぞ」

「もう!」


 モーフィの頭を撫でてやると、ものすごく嬉しそうに体をこすりつけてくる。可愛い。

 あまりに可愛いからだろう。コレットもモーフィを撫ではじめた。


「もっにゅ、もっにゅ」


 一方、モーフィは俺の手を咥えた。甘えているのだ。


「モーフィは本当にもにゅもにゅするのが好きだなー」

「もにゅ」


 魔別とやらは済んでいる。好きなだけ、もにゅもにゅさせても大丈夫だ。


「わらわもモーフィにもにゅもにゅしてもらいたいのじゃ」

「もにゅ?」


 ヴィヴィは嫉妬していた。

 モーフィはクルスと俺の手をもにゅりたがる。神の使徒の手は美味しいのだろうか。

 ヴィヴィはモーフィの前に手を差し出している。


「……もぅ」


 仕方ないなーという感じで、モーフィはヴィヴィの手を咥えた。


「えへへ」

「もにゅもにゅ」


 ヴィヴィが嬉しそうなので何よりである。


 そんなことをしていたら、村長がやってきた。


「村長、収穫手伝えなくてすみません」

「いえいえ、ゴーレムが役立ちましたし。ありがとうございます」


 そして村長はヴィヴィの手を咥えるモーフィを見る。


「モーフィさんにも運搬を手伝ってもらったりしましたし。ありがとうございます」

「もにゅ!」


 ヴィヴィの手を咥えたままモーフィは返事をする。


「それで……、アルさんにまたお願いがあるのですが」

「なんでしょう?」


 村長はちらりとモーフィを見た。


「牛肉を売ってきて欲しいのです」

「お安い御用です」


 牛時代のモーフィの肉が、まだたくさんあるのだ。


「納税のためにお金が必要ですものね」

「はい。再検地はまだなのですが、今から準備しておいた方がいいかと思いまして」

「そうですね」

「それに、村の備品などの購入のためにも現金が必要ですから」


 前回同様、隣町に行くか、王都にもっていくか悩むところである。

 王都へは転移魔法陣がつながっているので、すぐ行けるのだ。


「わふ! わふっ!」


 その時、畑の方で、フェムが吠えた。

 すると魔狼が数頭やってきて、子魔狼を咥えて小屋に向かう。

 フェムはシギの羽の先を咥えると、こっちにタタタと走ってくる。


「りゃあ」


 シギはなぜか嬉しそうだ。

 フェムは俺のもとに到着すると、シギを渡してくる。

 シギを抱きかかえてからフェムに尋ねる。


「どうした?」

『誰かが来たのだ』

「もにゅ!」

「どんな人かわかる?」

『それほど危なそうな臭いはしないのだ』


 念のために子供たちだけ避難させてくれたのだろう。

 とても、できる魔狼王だ。


「一応、シギは俺の懐の中に入っておこうか」

「りゃっりゃ!」


 シギはもぞもぞと俺の懐に入って来る。そして顔だけ出した状態で落ち着いた。

 しばらくすると、十人ほどの集団が近づいてくるのが見えた。

誰かが来たようです


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