表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/56

プロローグ

はじめましての方もお久しぶりの方も復活しました元・ソラのはなさきといいます。

今回から復活してまた連載したいと思いはじめました。

久しぶりの投稿で拙い文章ですが頑張ります。


 (なぎ)(ひがし)高校。ここは住宅街から少し外れていた。最寄りの駅から徒歩三十分の場所にある。バスはもちろんあり、通学時は生徒がたくさん乗ってくる。だが、自転車で通学する生徒も少なくない。

 高校の周りは緑豊かな風景、まるで時が止まったような静けさだ。そんな高校だが、地元の人たちからは評判が良い。秋にある『凪輝(なぎこう)祭』と言われる三日間行われる文化祭には地元以外の人たちからも楽しみにやってくる。

 通学には不便だが評判そこそこあるその高校に通っている男の子に不思議な事が起こる。


   *


 これから夏の暑さに終わりを告げようとしている九月の末、それはちょうど日が沈む金曜日の放課後の事だった。

(こう)、このあと何かある?」

「あ! 俺、バイト。だから先に帰る。また明日。そういえば、明日は学校が無いんだった。また月曜日! (てる)瑠里(るり)(まれ)に宜しく!」

「はいはい、また月曜。バイト頑張れ!」

 二人の男子高校生がそう挨拶を交わした。二人は今年最後の学年を終える時期でもあった。それぞれの進路に備え、忙しい毎日を送るはずなのだが、バイトという単語を含めるとそうでもなさそうだ。

 一人の男子が教室を出ると、ポツンと教室に寂しく取り残された男子。彼の名前は菅原(すがわ)(たく)。彼は成績優秀なため、友人たちと違って進路は既に推薦で進学が確定していた。

  この後どうしようかと悩んでいると突然制服のポケットから携帯が鳴った。彼は(おもむろ)にその携帯をポケットから取り出した。

 二通のメッセージが届いていた。確認すると、彼の友人である輝と稀からだった。輝から送られたメッセージの内容はこうだった。

『俺、瑠里と先に帰ってるわ。稀も先帰るって言ってたわ。昂にも伝えといてくれ』

 続いてもう一つのメッセージ、稀からのを確認する。

『私帰るね。輝と瑠里に言ったけど念の為に卓にも言っとくね。昂によろしく! では良い週末を!』


「はあ、俺はいつから伝言係になったんだ」

 卓は溜め息をつきながら呟いた。そして、携帯を仕舞って机に置いてあった通学鞄を肩に掛け廊下へと歩き出す。

 階段を降りた後そのまま下駄箱へと向かった。上履きを脱ぎ下駄箱から外靴を取り出し履き替える。履き終えると、外へ一歩を踏み出す。空を見上げると、ちょうど綺麗な夕暮れが姿をみせていた。


「綺麗だな」

 卓は夕暮れの景色に浸って、ゆっくり時が過ぎるのを感じていた。

 辺りを見渡すと見慣れたお店が幾つか並んでいた。そこは商店街。お弁当屋や八百屋、パン屋に惣菜屋など、食べ物店もあればラーメン屋や和食店などの食べ処、洋服屋や薬局、コンビニまで色んな店が所狭しと賑やかさを彩っていた。

 卓は自転車で進み駅の近くまで来ると自転車を引いて歩くことにした。たった自転車で十五分でもこんなにも風景が違ってくると初めは混乱してしまうだろう。だが、卓は見慣れた地域を通りすぎる。

 駅前の駐輪場に自転車を止め改札口を通り抜ける。十分すると駅に電車が到着し乗り込む。

 まだ通学や通勤時にギリギリ重なるか重ならないかの時間帯で電車の中の人は疎らだった。

 卓は『今日も冴えない日だったな……』と今日を振り返り心の中で呟いていた。

 それから、彼は電車に三十分乗って目的地までの間、車窓から流れてくる景色をぼんやりと眺めて過ごした。


「ただいま」

 卓は家に入ると自分の部屋がある二階には向かわずに一階のリビングへと足を運んだ。五歳離れた姉が珍しくリビングのソファに座っていてテレビを観ていた。

 卓に気づくと振り向いて「おかえり」と言った。

「あ、美琴(みこと)姉居たんだ。(たけ)兄は?」

 卓も気づいて、問いかけた。

「居たんだってなによ。居るわよ。武は大学よ。それと母さんと父さんは今日も居ないわよ」

 卓の言葉に不機嫌そうにしつつも美琴は付け加えて答えた。卓には五歳上の姉と二歳上の兄が居る。名前は姉の美琴(みこと)、兄の(たけ)だ。

 兄の武は大学二年生でただ今大学に居るためいないのだろう。一方、姉の美琴は社会人であるため、職場で働いている。だが、今日はなぜ家に居たのか。それはたまたま休みだったのだ。


「そんなこと知ってる。家にいるほうが珍しい」

 美琴の言葉で機嫌を悪くした卓は吐き捨てるように言い、二階の自分の部屋に向かうため階段を駆け上がった。

「卓、ごめん。夕食出来たら呼ぶから来てね」

 美琴は階段を駆け上がる卓の背に大きな声で呼んだ。その後、二人はさっきまで会話が無かったような雰囲気で話しながら夕食を済ませた。

 時計の針が夜二十三時になろうとしていた頃、卓は月曜を迎えるまで二日間を退屈に過ごすんだろうと思いつつ、いつの間にか眠ってしまっていた。

読んでくださりありがとうございます。

週1で投稿しようと考えているので次話は来週の土曜の予定です。

これからよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ