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悲劇〈高校一年生連続惨殺事件〉  作者: (two)
第一章──最悪の悲劇──
7/19

壮烈な過去

 今日も出しました、「悲劇」の第六部です!

 (まだ出る予定なんですが……)新キャラ、またの名を新容疑者追加です!

 あ、容疑者はもう増えません。響、悠、大介、凱人の中で考えて下さい。あんま分かるように書いてないんですけどね……。

 それでは、是非ご一読下さい。

 翌日、いつもアイツと合流する場所に、茜の姿は無かった。今日は休みだろうか?

 まぁ、仕方無いか……。同級生が目の前で殺されてたんだからな。

 茜がいない為、俺は1人で登校していた。静かでいいな、なんとなく。

 空を飛びチュンチュンと鳴いている鳥達を眺めながら、ゆっくりと学校に向かっていた。


      *    *    *

 学校に着いてからは、昨日の事件の話で持ちきりだった。廊下にいようが教室にいようが、『山田が…』だの『あのアニオタが…』とかの話があちこちから聞こえてくる。

 だが、それは笑い話のネタにしかされていなかった。廊下や教室には、いつも通りの賑やかな雰囲気が漂っている。

 殺されたのに、あんまり悲しんでる奴とかいないのか……。可哀想な山田……。

 しかし、俺も山田と話をしたことは無いため、正直悲しくはなかった。

 ただ、山田が殺された理由は知りたいな…。共通点が見いだせない…。

 恐らく山田も、犯人を中学の頃虐めていたメンバーに入っていたのだろう。

 山田で終わればいいけど、この連続殺人……。

 頭の中では分かっているはずなのに、そういう事を考えてしまう。

 ──まだ終わらない──

 俺はそう、直感していた。

 東高は今回の事件で、生徒達が夜に外出することを禁止した。……無駄な事だけどな。

 何しろ犯人は、この高校の生徒なんだから──。

 次に犯人が狙うのが、この高校の生徒なのかまでは俺にも分からない。だが、ここまで犯人の尻尾を掴んだ以上、この事件を止めてやりたい。

 燃える決意は、俺の心を熱くしていた。

 その心が、いつか冷たく凍りついてしまうことも知らずに──。

 

       *    *    *


 ◦──昼休み・1-B教室


 今日の昼食は、俺の教室で食べることになった。

 メンバーは俺、大介(今日も彼女の手作り弁当を持って来てやがる…うぜぇ…。)、そして──

「さて、食べようか──」

 机3つで真ん中を囲うように座り、俺の左が違うクラスの大介、右に座っているのは同じクラスの『大島 凱人かいと』。俺の友達の1人だ。

 凱人は成績学年トップ2で、俺の次に頭が良い。しかし、俺に闘争心を燃やすわけでもなく、逆に俺の頭脳を尊敬して誉めてくれる。

 ただ、中学は一緒ではなかった。

 金髪で長身、更には超優しい控えめな男子とくれば、女子がそれに寄り付かないわけがない。

 そう──凱人も女子にモテるのだ。

 学年で一番頭が良い、しかし常に自分の事だけで特にモテてもいない。

 そんな俺よりも、学年2位の学力で、とびきり他人に優しいモテるヤツの方が輝くのは当たり前だった。

 だが、凱人は俺の頭脳を素直に認めてくれているので、大介程は恨んでいない。

 つか、凱人が大介と友達とは意外だな…。

「今起きてる連続殺人、とうとう僕達の学校でも被害者が出たけど……どう思う?」

 凱人が話を切り出す。やっぱここでもその話するのか……。

むごい話だよな…、何人も人を殺して何が満たされるんだろうな。」

「もう7人殺されてるからな…それでもまだ止まらない可能性だってあるが」

 いきなりシリアスだ。場の空気が重くなる。飯食ってる最中にする話じゃねーだろ……。

「全員、刃物でメッタ刺しにされているんだろ?」

 そうだった……。警察は死因を世間に公表してないんだったな……。しかし……

「いや、山田は違う」

 俺は、声に出していた。

「「え?」」

 二人は目を見開き、驚きの表情で俺の方を見ていた。

「あ」

 あらら、やっちまったー……。

「どういう事だ?」

 凱人が訊ねてくる。

 仕方無い…答えるしかないだろう…。

 仮にこの話を犯人が聞いていたとしたら、この先の話をしようがしまいが俺は殺される。 

 どうせ殺されるならば、二人の中に犯人はいないと信じて話を聞かせてやろう。

「俺は、あの現場に遭ったんだ」

 二人は二度目の驚愕をする。

「響…、それマジかよ……」

 大介は少し引いていた。

「で、違うと言うなら一体どんな殺され方だったんだよ?」

 凱人は少し興味津々だった。おい優男。

「心臓を一突きだった」

「ほー…」

「ニュースでも報道されてない情報だろう…」

 そんな事よりもっと重大な情報を持ってるんだけどな。俺は。

 しかし、この話を聞いた犯人が、俺に目を付けるとすればこのぐらいで十分だろう。コイツらは、あの情報を知らない方が良いと思うしな。


 ──俺の予想は的中していたらしく、その後、俺の事をじっと見つめている黒い影の気配があった。

 ──しかし、その時の俺はまだ気付いていなかった。


       *    *    *


 昼休みが終わり、廊下を歩く俺は携帯を開き、メールの受信ボックスを確認をした。

 受信したメールは、0件だった。

 俺はため息を吐き、携帯を閉じる。

 今日の午前中から、茜にメールを何通か送っているのだ。用件は──

「アイツ、大丈夫かな……」

 一応、容体は聞いておきたかった。

 放課後は、アイツの家行ってみるか…。

 考えをまとめ、教室に入る。

「おお、響! 何してたんだ早く着替えろ!」

 入ると、凱人がジャージ姿で待っていた。そして俺にも早く着がえるよう促す。

 午後の授業は他クラスとの合同体育だった。俺はあんまり好きではない教科だ。

「ほらー、響君も早く着替えなよー」

 まだ着替えてる最中の悠までもそう急かす。

 シャツを脱ぎ、上半身裸になった悠の身体は、思ったよりたくましかった。

 その整った顔に見合わず、なかなかの鍛え具合だった。凄いな…これ…。

 俺はそんな悠の腕を揉んでみた。

「な、なにするんだよ…響君……」

 恥ずかしいのか、若干頬を赤く染めて俯く悠。少し可愛い。そして腕かたい。

「早く着替えてよ……」

 呆れた顔で、凱人が肩を落として言う。

 まだ上着すら脱いでなかったぜ…。

「ああ、悪い悪い」

 そして、俺もシャツを脱ぎ始める。半袖のジャージを着終えてから、シャツと制服のズボンをたたんで机の上に置いた。

 これは余談だが、俺が警察を一歩出し抜くのにお世話になった、蛍光色付きの上着。

 夏の暑さがひどくなってきたので、脱いでも良いことになったのだ。シャツ一枚だと、非常に涼しくなるので助かっている。

 気付くと、教室には俺以外いなくなっていた。最終的に、凱人も悠も俺を置き去りにしたのだった。

「お前ら、ひど過ぎだろ──っ!!」

 俺は大声でそう叫び、教室を走って出て行く。まさか、置いていかれるとは……

 

 ──俺が出て行った後、誰もいなくなったはずの教室に黒い影が落ちた。


 ──ソイツは、とある生徒の机の前まで行き、ニヤリと笑う。


「まぁ、まだ生かして置いてやるよ…」

 呟いた台詞は冷たく、周りの空気を一瞬で凍らせていた。

「しかし、お前のことは監視させてもらうぞ……」


      *   *   *


 ◦───グラウンド 


 俺は生徒がまばらに集まるグラウンドへと走って行った。

 ──あれ?凱人と悠は?

 俺は生徒の人垣の中を捜索する。どこで待ってるんだろう。

 その時、後ろから声を掛けられる。

「よっ、響!」

 昼休みに一緒に飯を食べた大介だった。片手を上げ、元気な声で挨拶してくる。

「ああ、大介。なぁ、凱人と悠を見なかったか?」

 とりあえず大介に聞いてみた。

「……? ああ、悠って転校生か。悪いけどどちらも見てないな」

 首を横に振る大介。まぁ、当然だよな…。

 ──あ、いた。

 大介の後ろに、悠が歩いているのが見えた。しかし、凱人の姿はない。

「お~い! 悠、こっちだ~」

 とりあえず呼んでみる。こちらに気付いた悠は笑顔で手を振り、走ってくる。

「もー、どこ行ってたんだよ~」

「それはこっちの台詞だ。人を置き去りにした挙げ句、その姿すら現さないって何だよ……」

 悠は苦笑して、小さく「ごめん」と呟く。

 まぁ、悠だから許してやるけどな。

「それで、凱人はどこだ? 一緒じゃないのか?」

 小首を傾げて悠は答える。

「んーと、なんか途中で先生に用があるーとか言って、どっか行っちゃったよー。だから僕だけ外に出てたんだ」

 そうか、凱人は先生に用事があったのか。俺は納得していた。

 そして、クラスごとに並んでいる列に俺達は入った。俺は背の順では、どちらかと言えば後ろの方だった。

 気付くと、列にはいつの間にか凱人がいた。

 ああ、戻ってたのか…。そんなら一声掛けてくれれば良かったのに。

 その時、前では体育の先生が今日やる事を説明していた。

 どうやら、今日は100mタイム走をやるらしい。

 他クラスの男子がく。

「よっしゃぁぁーっ! 9秒台出すぞゴラァァァァッッ!!」

「負けねぇぞオラァァァァッッ!!」

「テメー負けたら爪剥がす拷問してやっからなコノヤロォォッッ!!」

 ……この学校さ、治安悪過ぎじゃね?

 こういう時だけ張り切ってテンション上げる系男子ではない俺達B組は、ただソイツらが静かになるのを黙って見守っていた。

「なぁ響ー、俺と一緒に走ろうぜー」

 先生の話が終わった後、軽くグラウンドを走っている時に大介に声を掛けられる。

「別にいーよー」

 俺は適当に返事した。いくら大介の身体が強くなっていたとしても、俺が負ける事は無いだろう。

 ……多分。


 タイムを測る人達の列に、俺と大介が並ぶ。

「中学ん時は俺、響に100m負けてたからなー」

 腕を組み、思い出に浸るように語り出す大介。

 ──ああ、そういやそうだったな。

 俺も中学の頃の記憶を呼び覚ます。

「今はもう負けないぜ! なんたって俺には彼女が付いてるからな!」

 笑いながらそう言う大介。

 そして──、

「なぁ、大介……」

 俺はここ最近、頭の片隅に留めておいた疑問があった。

「……なんだ?」

 大介は首を傾げる。

「お前にさ、あんまり言いたいことじゃないんだけど……」

 俺は言葉を続けていく。

「中学の頃から付き合ってたもう片方のヤツとは、今どうしてるんだ?」

 ──大介の顔が強張る。口を固く結び、先ほどまでの笑顔も消えている。

「そうだ、中学の頃からだったな。お前が──二股してたのは」

 あの時は結局バレて、とんでもない修羅場になっていた。

 大介の必死に土下座している光景が、俺の目には焼き付いていた。あんな現場に鉢合わせたくはなかったんだけどな……。

 確か、頭を下げてたのは金髪ロングの先輩と、黒髪ショートの同級生だった気がする。

 正直、高校でも同じ事をするとは思わなかった。そしてしてほしくはなかった。

「で、この高校には中学の頃からの彼女1人と、最近お前が付き合った彼女がいるはずだ」

 大介は俯き、ただ地面を見ている。

 つか──、今思ったが二股してた男とまた付き合う女ってなんだ……。

「お前はここんとこ最近の彼女の話しかしないし、恐らく弁当もそっちの彼女だろう。……じゃあ、中学の頃の彼女は?」

 大介は、俺の問い掛けに答えなかった。

 ただ俯き、虚ろな影を地面に落としている。

「──ちゃんと別れてるんだよな?」

 大介は、ゆっくりと顔を上げた。

「お、おう……もちろんよ」

 顔が引きつり、驚く程に青ざめていた。

「おい…大介お前、大丈夫か? 顔が青いぞ…?」

 なんだ──?俺そんなにマズい事言ったか?

「お、おう……。俺ちょっと具合悪いんだわ…、保健室…行ってくる」

「俺も行くぞ、先生に言わないと…」

 しかし、差し出した手は大介に振り払われた。

「大丈夫だ……、1人で行ける」

「あ、ああ……。なんか、悪いな」

 大介の様子はやっぱりおかしかった。別れてるのか?それともまた──、

「……くそっっ!!」

 多分それは無いだろう。大介の元気が失われたのは、俺があの頃の記憶を思い出させてしまったからだ。

 ──大介はきっと、心改めて恋愛しているのだろうに。

 友達として何も理解出来ない自分が悔しかった。

 

 しかし、後悔するのはまだ早い──。

 まだ何も、始まっていないのだから──。


 そんな声が、どこかから聞こえた気がした。

 響が暴れまくり、伏線だけで終える話でした。

 今後はもっと事件に入り込んでいけるようにしたいと思います。それでもまだ未定ですが。

 ここまで読んで下さった方々、ありがとうございます!

 ご指摘・ご感想などをお待ちしています!!

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