モテる友達≫モテない俺
プロローグ、第二部、第三部と。同じ日に3作品も出してますが、まだ続きます。
続々と新キャラ(もとい容疑者)の増えている悲劇──。是非読んでみて下さい!
午前中の授業を終えた昼休み、俺は屋上のベンチに座りパンを食べていた。晴れた空は青く、お昼の暑さは夏の始まりを感じさせる。
「なーなー、響ー」
安息の食事時に邪魔が入る。
俺の隣には弁当を持った男子生徒が座っていた。中学からの友達である『菊沢 大介』だ。ガタイがまぁまぁ良くて、ケンカっぱやい性格なのか中学時代もよく怪我ばっかしていた。
──俺がここの高校に入ると言ったら、なんだかんだでコイツも入学してきたから勉強もそこそこ頑張ったんだと思う。
「なんだよ?」
しかし、俺は冷たく接する。
それは食事中に声を掛けられたらからではない。
──コイツはリア充なのだ。その身体の男らしさからか、それなりにモテているらしい。
……現に大介の今食ってる弁当だって、彼女の手作りだもんなぁ…。
そんな羨望の眼差しを大介の弁当に向けながら、買ったパンを食べる俺だった。
「ああ、どうだった? 転校生!」
少し興奮気味に訊ねる大介の瞳には、希望の光っぽいものが宿っていた。
大介は俺と同じクラスではないから、転校生をあまり見ていないのだろう。俺は感じたままの第一印象を伝える。
「………白髪で、低身長で、人当たりの良い美少年だな」
その言葉を聞いた大介が絶句する。
「ま、まじかよ…、響ってショタコンだったのか…っ!?」
───コイツはなにか重大な勘違いをしていると思う。
「いや、ショタとかじゃなくて……」
「でも、美少年だと思ったんだろ?」
美少年だなー。と感じただけでショタコン扱いとは、大介も中々である。ちげぇけど。
「ま、女子じゃないならどうでもいいけどなー」
大介は頭の後ろで腕を組み、心底興味無さそうに呟く。瞳に宿っていた希望も消えている。
くそ…、彼女持ちだってのにまだ女子に興味あんのかよ…。俺にも分けろよっ…!勿論、女子をっ!
俺はぎりっと歯軋りをした。
「超」頭が良いだけで他に取り柄も無い俺は、特に女子にモテるわけでもなく、ただただ大介を恨んでいた…。
中学時代のお前なんか、─────だったってのによ…。
大介の誤解は、昼休みが終わるまでずっと続いていた。
──だから、俺はショタコンじゃないっての。
* * *
午後の授業、俺は異常に退屈な時間を過ごしていた。
眠いわけではない。
やる気が起きないわけでもない。
──今授業でやってるソコは完璧なんだよ! なんか応用の問題とか出せよ! 俺もう寝るぞ!?
そう、俺はもう勉強した所なのだ。
だから心の中で、無茶苦茶過ぎる罵倒を叫んでいる俺。だって暇だからー。
仕方ないな…。
俺は例の連続惨殺事件について考えてみることにした。どうやって情報を集めるかだ。
──事件は近所で起こってるわけだし、外をふらついてみるか……?
事件の起こった場所は全て、人の通らない静かな場所だった。誰も入らないようなマンションの廃墟や、森の奥深くなどだ。
──今日の放課後とかちょっと歩いてみるかな、危険かもだけど。
「おい、海藤!」
そこまで考えた所で、数学の教師に指名された。
「この問題、解いてみろ」
俺は心の中で舌打ちする。
──だから、応用問題を用意しろって言ってんだろうが……。
「(2X+1)(X-3Y)です」
俺は心底つまらなそうに答えてやった。
「……正解だ」
先生はそれだけ言うと、黒板の方に向き直る。
ああ、早く帰りてーなぁ…。そう思っていたら、今まですっかり溶け込んでしまっていた人物を思い出す。
『不知火 悠』だ。彼は熱心に、黒板に書いてある式をノートに書き写している。
おおー…頑張ってんなぁ…勉強。その時、俺の頭にある一つの疑問が浮かんだ。
なぜ彼は、この時期にこの高校に転校してきたのだろうか。
連続惨殺事件は、となりの町でも起きている。狙っているのか、無差別なのかも判らないが、もしもの事を考えて避難してくるにしては近所過ぎると思った。
なにか理由があるのだろうか…、例えば…。
いや、まさかな…。そこで俺は彼の事を考えるのを止めた。
しかし、今日1日考えて俺が導き出した事件の推測は、恐らく最悪のパターンだと思う。
──この事件、今の高校一年生に恨みがあって計画された犯行ならば、犯人は同じ高校一年生だと考えた方が妥当だ。動機は例えば、虐めや嫌がらせへの復讐。とかな。さらに殺されている人間の通っている高校がバラバラな事から、その動機は中学校…もしくは小学校の頃に起きていたんだとも推測される。
そして──、次に殺される生徒が出る学校はこの東森里高校の可能性が高い。
根拠は無い。手に入れた確証も無い。しかし、俺のこの頭脳がそうだと言っていた。
何でもいい、事件の新しい情報が欲しいな──。
ここまでの考えは、今ある情報と頭を使って導き出した、ただの推理と憶測でしかない。
仮に虐めや嫌がらせが起きていたとしても、俺には確かめる術が無い。
事件の事を考え、悩んでいると、午後の授業はあっという間に終わった。
他の皆さんの作品もやっぱり凄いですよね…。僕とは全然比べ物にならないと思います。しかし、僕は自分のペースで、「悲劇」の第一作目を完結させたいです!そして文章構成を上達させたい!
第三部も読んで下さった方々、ありがとうございます!!