奏山鳴と多村響子
えーと、この1話はほぼ2人についての話で、あまり音楽の部分は出てないです。
「今日も空は青いな~、つまらないな~」
趣味は人間観察、得意な科目は体育、
苦手な科目は数学と世界史、好きな食べ物はラーメン、ハンバーガー、コーラ(食べ物?)。
…パフェとか甘いお菓子って書けば可愛らしいんだろうけど、そこをアイツはそう書いてしまう。名は奏山鳴、
好きな食べ物にラーメン、ハンバーガーと、胃袋に素直ないまどきの女子とちょっと違う奇特なヤツである。
そんな食べ物の趣味が欧米男性寄りな女子、奏山鳴はいわゆる問題児である。
授業中寝ていて教師が起こしたが、教師の手を食べ物と間違えて噛みついたり、
数学で赤点とったのを教師が注意したら、
なぜ怒るんですか?人間なんだから不得意はあって当然だと思うんです。それに国語なら分かりますが、数学なんて将来つかわないじゃん。何でやるんですか?ねーねー教えて?何でですか~?
…と数学教師を質問攻めにしていたこともあった。
めんどくさい生徒という事で数学教師以外にもマークされていて、教師にほぼ味方はいない。
まあだいたいそんな感じだ。…ん?そう言ってるアンタは誰か?ああ、すまないね。アイツとかヤツとか男っぽい口調で鳴のことを語っていたが、
私はれっきとした女子だ。趣味は音楽鑑賞、読書、
得意な科目は音楽、国語。嫌いな科目は体育、好きな食べ物はハーゲンダッツ。奏山鳴とはただのクラスメート。
名前は多村響子。それくらいかな。まあ後はのちのち。
まあ、そろそろホームルームの時間だし、イヤホンを外して現実に耳を傾けるとする。
ーー放課後
とくにやることもないワタシこと多村さんは特に急いで帰る必要性も無いので自分の机でダラダラしている。読みかけの小説とイヤホンで現実を離れる。
目線だけで教室を見回すと誰も居ない…。
誰もいないみたいだしちょっとくらいいっかとイヤホンから流れるお気に入りのメロディーを鼻歌で奏で始める。
「ねーそれってExceed the dimensionのMr.Jesus?」
という声が後ろから聞こえてきた。が、スルー。あえてスルー、というか聴いてなかったことにして、お願い。多村さんハズくて死んじゃう。
「ねーねー、そうでしょー?」
無視無視
「ねーねー、ねぇ~ってば~」
無視無視無視
「録音しちゃうよー?てか録音しちゃってるよー?」
…!?無視無視無視無視
「よぉ~し、某動画サイトにでもアップしちゃおうかなー?」
『やめてー!お願い!お願いだからー!』
「無視。」
頬を膨らませながら鳴はいう。
『無視してごめんなさい!無視してごめんなさい!無視してごめんなさい!!』
「えっ(゜o゜;)ちょっ、ちょっと!じょ、じょーだんだって!ほら撮ってないし」
『本当に?』
「本当、本当!なんならケータイ見る?」
『見る。』
「即答…だと…、私って本当疑われるよな~」
鳴はなんだか落ち込んでいる風だった。
『分かったわよ、信じるよ』
「多村さんっていい人ね(/_;)」
『そーでもないよ。じゃあね』
さて、帰るか。…とカバンを持って教室を出ようとしたとき、奏山鳴が響子の左腕を両手でつかんできた。何事?と思って奏山鳴を見た。
「あっ、あの、いい人ついでに助けてもらえないでしょーか?」
『えっ、、、?』
「用事があって早く終わらせないとで!けどさっぱり分かんなくて!お願いです!数学教えて~」
『………。』
……あーあ、とっとと帰ればよかったなぁ。
この時はそう思ってた。
けどこの日の放課後、多村響子が教室でぐだぐだしてたことには意味があった。そんなに遠くない未来でそう思うことになる。
『数学の授業中何してたの?』
多村響子は唖然とした。
「…うー、ごめんなさい。」
奏山鳴はシャーペンを握りしめる。
『ちゃっちゃと終わらせるぞー!』
30分後、、、
「おわたよー!」
『あれ、速いな。プリント10枚あったはずだけど?』
様子を見ると終わったようだった。しかし、意外と速いな、苦手だったんじゃないのか?
「うん、でも終わったよ!ありがとね(ゝω・)」
『しかも、間違いが…ない?!苦手だったんじゃないのか?』
「苦手っていうか、どっちかっていうと嫌いだから全く授業聴いてなくて…」
『それで公式からなにから全部教えさせられた訳かぁー』
「うん、そうだね(^_^;)」
『、、、帰る。』
鳴は響子の怒気を含んだ声を聴いて、ハッとした顔をした。
「ちょっと待って!」
また鳴は響子の腕を掴んだ。そして、、、
「これから暇?」
『へっ!?』
「きっと数学のこと怒ってるよね?」
『いや、もういいよ。じゃあね』
「ストレス溜まってる?」
『ああ、溜まってるよ、奏山のせいでな』
「そっか。じゃあ、」
もうめんどくさいので響子は遮るように言う、
『だから何なの?帰るよ、じゃあね』
「カラオケ行こー!」
『………。はい?』
「大きな声出して、ストレス発散しないとね!」
…ん?、いや理屈は分からんでもないけどさ、、、私ら友達でもないのに?カラオケ?
「よし!レッツゴー!」
かくして、おとなし?系女子・多村響子はよく分からないままに連行されていった。
ちなみに言っておくが、多村響子は自分を音痴と思っている。
実際思った音を思い通りに出せないのだ。
幼稚園の頃からのコンプレックスだったりする。
彼女の両親は音感を身につけさせようとして、ピアノ、クラリネット、ヴァイオリン、ギター、ベース、ドラム、ウクレレ、サックス、その他いろいろ、とにかくありとあらゆる楽器を習わせたのだが、結局変わらなかった。
結局両親も周りの人も誰一人として、本当の原因に気づかなかったのだ。もちろん音感とは関係のないものだったりする。もちろん、音感がそこまでいい訳ではないのだが……。
…気がつけばマイクが手元にあった。
そして何歌うのかな?ワクワク、みたいな顔の奏山鳴がこちらをチラチラと見ている。
『…実はわたし、音痴なの』
「えっ、、、?」
奏山鳴は凍り付くような顔をした…が、顎に手をあて何かを思い出したような表情になり、?という感じの顔に変わった。
「でもさっきの教室での鼻歌、しっかり音合ってたと思うけど?」
『えっ、、、?そ、そんなわけが』
「でも、、、あー、ああいう感じかな?多村さん、普段の喋り声からしてよく鼻に響いてるし、
鼻歌とかハミングとかだと鼻声中心になるし、音量も小さくていいから安定して音が出てたみたいな感じかな?確かにマイクで歌うとなると声量出そうとして変に力んで胸声に切り替わっちゃう人って多いからね~。」
『へ?』
「要するに、使うべき声を使えてない、みたいな感じかな?普段の喋りから鼻声を使ってこっちに慣れちゃってる人は逆に胸声を使うのに慣れてないケースがあって、声大きくしようとして力んで胸声になって慣れない声で音が合わず、音痴と勘違いしちゃってる人は多いんだよ。」
『ん~と、つまり?』
「言葉じゃ分かりづらいよね(^_^;)
つまり、音痴じゃないよ!ちゃんと合った練習するだけで全然変わるよ」
『夢?』
「えっ、、、?そこまでコンプレックスだったの?あと1つ聞くけど、小さい頃に楽器やってたの?」
『なんで?いちおう言うとピアノ、クラリネット、ギター、ベース、ドラム、ウクレレ、サックスetc.....かな?』
「どーりで。」
『なんで?』
「あんまりにもピッチが完璧だったからね。じつは絶対音感なんじゃない?」
『ただ習ってただけだったから、よく分からないけど、』
「しかも声がいいし( ̄∇ ̄)」
『何も出ないぞ( >_<)』
「ああ、かわいい!きれい!なんて声なの、ずっと耳元で囁いてほしいくらい!」
『やめてー、ハズいから!』
「多村さん、オモロい」
『もう帰るよ?門限だし』
「分かった、じゃあ最後に一曲歌わせて?お願い?」
『しょーがない、聴いたげる。一曲だけな』
「ドリームブレイカー、と」
内容は簡単にまとめると、夢を夢と語る者にたいして夢というのは思い描くものではない、単なる理想論ではない、目指すものであり、それこそが現実である、いい加減妄想するばかりの夢から目を覚ませという感じの歌詞で熱いロックだった。
鳴は歌っているときなんだかもはや、曲の中に出てくるドリームブレイカーそのものになっているようだった。歌詞がなんだか生きている?ような感じがした。すごくワクワクさせられた。…だが、それと同時に何かに恐怖した時のような、ゾクッとする感覚に襲われた。けど、イヤな感じではなかった。
こうして、入学してから全く話したことのなかったクラスメートとのカラオケは終わり、帰り際。
「あたしはお世辞は言わないよ。音楽についてはね。音痴じゃないって必ず証明するからね~!」
『まあほんのちょっと期待しとく。』
……我ながらひねくれてるななと思った。
「うん、じゃあね~」
そう言って鳴は離れていく。まあ、軽く手ぐらいは振った。
合唱コンクールでは口パク、カラオケ誘われたときは『用事あるから』でいつも断る、そしてノリ悪くない?みたいな感じに言われる、そんな感じで多村響子には意外と友達が少ないのだ。
「おはよー、多村さん!」
その瞬間、教室内がザワザワとざわめいた。
『…おはよう、奏山さん』
「今日の昼休み屋上ね~」
『えっ、なんで?』
そう言って、嵐のように鳴は去っていく。
「特訓!」
『昨日の話?歌の先生もいないのに?』
「先生イズ、わ、た、し!!」
鳴は自分を指差しながら言った。
『あー、そうなんだー、へー…』
「何そのリアクション!?」
『だってさ、いっかいの高校生にできるもんなの?ボイトレとか?』
「うーん、なんてかボイトレってほどじゃないしね。あ、そうそう昨日言ったよくわかんない用語は全部忘れていいからね!あんなめんどくさい知識いらないし、、てかてきとーだし!」
『じゃあなんで昨日話したんだ?っておい!?』
「まあ、それは置いといて。ここで多村さんに質問!大きな声を出せるパワフルで上手な歌手は息をいっぱい使うでしょうか?」
『こんなの、クイズにするってことはアレでしょ?イメージと違う答えってことでしょ?使わないっていうんでしょ?』
「残念、半分正解、半分不正解!確かに本当に上手い人は息漏れが少なく、それでもすごい声量で歌い、演出が出来るんだよ。まあでもパワフルに歌うにはそれなりに息を使う。だから、半分不正解で半分正解」
『正解ないのかよ!!』
「うん、音楽に正解はないよ!」
『なんかかっこいいセリフっぽく言ってんじゃねぇよ!』
「さて、、、真面目にいこうか」
『はあ、、、で何するんだよ?』
「そんな溜め息つかなくても(^_^;)まあいいや、今の多村さんはたぶん出したい声を歌うとなると出せない、って状況だと思うんだ。」
『そうらしいな、、、でどうすればいいんだよ?』
「カエルの歌を歌おう。」
『カエルの歌?なんで?もうちょいかっこいいのがいいじゃん?』
「ただし、口パクで!CDに合わせて。口のかたちはちゃんと歌詞をなぞってやってみて。この口、息の感じならこの音が出る、って想像してやって!」
『え?しかも口パクで!?』
「ちゃんと意味はあるよ(^^)口のかたち、息の量、力を入れる場所・量、とかが分かるようになってくる。つまり、出したい声を作る・使うための条件の把握・イメージ付けに繋がる練習になるんだよ。」
『はあ、けどなんでカエルの歌?』
「数々の音楽を習ってきた多村さんなら分かると思うんだけどね~(´▽`)」
『ん~?単純だから?』
「そうとも言えるんだけど~、ドレミファミレド~ミファソラソファミ~、ずばり、ファのところ以外1音ずつ音が変わるから、同時に相対音感を鍛えられるんだよ。音感はある方だと思うけど、一応ね。しかも、苦手を見つけるにもいいからね(^^)」
『へぇ~、奏山って意外と考えてるんだな!』
「そうそう、ぼぉーっとしてるけど意外と、…っていくらなんでも失礼じゃないかな(-ω-;)」
『ほう!ノリツッコミか!』
「せっかく私がマジメになってきたのに!多村さんがそうなってどうすんの!」
『いや~ごめん、だって奏山とまともに話したの昨日が初めてだから、ちょっとやってみたくなって』
「あっ、そういえば、、、そうだよね。
ごめんなさい!キツい返し方だったよね(>_< )」
『えっ?あっ、いや…いやいや、こっちがワザと言わせちゃった訳だしさ、気にしないでいいから!』
「違うの(.. )わたし、友達とかいないし、加減分からなくて、、、その、、わたしのこと嫌いになっちゃった?」
…やべー、鳴きそうな目してるし、どうしよ?えっ?コイツってこんな繊細な感じだったの!?
『ううん、キライじゃないって!けっこう奏山のこと気にいってるんだよ?わたしは!』
観察対象として……だけどな(-ω-;)
「けっこう?」
『えっ?』
「そっか、キライじゃない、、、か。そりゃそうだよね…あんな感じで言われたらわたしも、、、泣くもん。」
……泣きそうだな。しょうがない…
『ああ、もう!わたしは………、けっこう、好き、だよ?…その、鳴のこと。…見てて面白いし、歌も上手いし!わたしも、その、友達いないしさ、友達になってほしいな~、なんて思ってるんだけど!』
なんで最後らへん怒ってる風になってるの、わたし!?
また泣きそうになっちゃう…。
「…友達になってくれるの?」
…ようやく笑ってくれた!なぜかそれがすごく嬉しかった…結構かわいいな、、、(〃・ω・〃)
…って、ハッ、なんかコイツといると変な趣味に目覚めてしまいそうだ、が……、
まあ…いっか。
『ああ!なってくれるか?』
「うん!」
えーと、多村さんは「自分はノリが悪いと言われ、友達が少ないのだ」とナレーション的な部分で言っていましたが、
………まあ、見栄張ってるんです。本当はいないけど。ウソついてたけど、許してあげて!
まあ、そんな多村さんも実はスゴいんです、楽器においては数え切れないほど習っていてなんでも出来る完璧音楽超人ですね。
それにたいして、奏山さんは歌一筋の人ですね。まあ、おもにカラオケにきて練習っていう環境にこだわらない熱血さんですね。
我流の練習方法、生み出しちゃうとかね。
(まあ実はぶっちゃけると、作者が編み出した歌の練習法です。やっていて、これでけっこう上達したので、書いてみました。高校生のとき登校中やってました。この口パク練習はオススメです!ヤバい人になりましょうwあともし、やる場合、口パクはちゃんと息を使ってやりましょう。そうしたほうが効果があります。あとは書いてあるとおりです)