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婚約解消

生徒会室のドアを開けると、他の役員がワアワアやっていた。

「会長。この間の体育祭の件ですが、アンケート用紙が出来ましたので、目を通して頂きたいのですが…」

副会長が言う。

「どれどれ…」

あたしは、その用紙に目を通した。

徒競走各種、ハンドボール投げ、走り幅び、走り高跳び、クラス対抗リレー、騎馬戦etc…。

「この余白は?」

あたしは、競技が書かれていた下のスペースを指す。

「ここに新しくやってみたい競技を生徒に書いてもらえたらと思いまして…」

「いいんじゃない。ここにその事を書いたら、コピーして」

「はい」

皆やるじゃない。

あたしが、気張る事ないな。

「文化祭の方は、これでよろしかったですか?」

あたしは、そのメモを受け取って、目を通す。

クラスの出し物や部での出し物の注意点。

軽音部のステージに中庭にする事。

などの大まかなことか書かれてあった。

凄い。

後は、具体的に決めていくだけ。

「OK。これでいいよ。後は、クラス委員と部のキャプテンを召集して、告知して。それから、大体の予算は?」

「ざっくり計算すると30万~40万ぐらい」

そっか…。

まぁ、やるしかない。

皆(?)が、楽しみにしてるお祭りだもんね。

「多少の増減は、仕方ないでしょう。それでいきましょう」

「はい!」

皆の笑顔が、垣間見える。

この笑顔が、他の生徒達からも見えればいいな。

「会長。応援団の事なんですが」

言いにくそうに、話し出す。

「この間の事だよね。あれさぁ、連合とかにしても良いかな?じゃないと、余りにもクラスが多すぎて審査する方も大変だと思うんだよね」

「連合ですか?」

「そう。学年隔てな組での連合ですれば、審査もしやすいよね」

「そうですね。その方がいいですね。と言うことで、この事も同時に報告するとしましょう」

「今日は、これで解散しましょう」

「はい。お疲れさまでした」

そう言葉が、返ってきた。

今まで、こんなこと無かったのに…。

「お疲れ様。気を付けて帰ってね」

「会長も余り、根を詰めないで下さいね」

「ありがとう」

「それでは、私達は、これで」

そう言って、生徒会室を出て行った。


皆が、凄く積極的だ。

何か、あったのかな?

何て考えてたら。

「未月、迎えに来たぜ」

って、入り口から声がした。

「暁、何故居るの?下校時間とっくに過ぎてるはずでしょ?」

あたしが言うと。

「特別に許可貰ったんだ。ほら、帰ろうぜ」

暁が、簡単に言う。

よくとれたなぁ。

特別の理由がなければ、許可もらえないはずなんだけど…。

「さっさとしろよ」

なんか、暁苛立ってない?

どうしたんだろう?

あたしは、不思議に思いながら、鞄を持つと暁の横に行く。

すると。

いきなり、抱き付いてきた。

「どうしたの?」

あたしが聞くと。

「何でもない。ただ、何となく…」

何となくで、こんな事するかなぁ?

やっぱり、何かあったんだ。

「あたしに隠し事してない?」

あたしが聞くと、暁は。

「してないよ」

あっさりと答える。

「じゃあ、何があったの?」

「本当に何でもない」

切なそうな声で、答える暁。

何で、言ってくれないんだろう?

あたしに話してもどうにもならないから?

それとも、話しにくいの。

あたしは、暁の腕のなかに居ながら、凄く不安に陥った。


その日の夜。

「未月、ちょっといい?」

お母様が、あたしの部屋をノックしてきた。

「なーに?」

あたしの返事にお母様が。

「水瀬暁さんの事なんだけど…」

言いにくそうなお母様。

「どうしたの?」

「実は、婚約の話だけど……」

何?

何があったの?

「向こうから、解消してくれって、言ってきたの」

エッ…。

どういう事?

あたし、何かした?

さっきの暁の態度が可笑しかったのは、この事だったんだ。

「戸惑うのも仕方ないわね。未月が初めて、好きになったんだもんね」

何故…。

何故なの?

涙が、頬を伝う。

止まる事を知らない。

「未月。泣く事なんて無いのよ。だって、未月はまだこれからだもの。一杯失恋して、もっと素敵になるんだからね」

お母様が、慰めてくれる。

だけど、理由が知りたい。

何故、急に。

だって、今朝、あんなに嬉しそうだったのに……。

どうして?

何か…、何か理由があるはずよ。

絶対に何かあるはず。

問いただしても言ってはくれないなら、自分で見つけなきゃ。

泣いてる場合じゃないよ。

理由を見つけなきゃ。

暁が、あたしをずーっと好きだって、言ってくれてた言葉を信じて。

つかんでみせる。

絶対に…。


翌日。

あたしは、昨日の事を紗夜に話した。

「それは、何かあるわね。暁が、未月にベタ惚れしてるは、一目瞭然なんだけどなぁ」

紗夜が、言う。

「誰かに弱味を握られてない?」

その言葉にある人物が思い浮かんだ。

あたしの顔を見て。

「心当たりがあるんでしょ。言ってみて」

優しく言う、紗夜。

「実は、利恵に婚約の事知られちゃってるの」

「それだよ。アイツなら、その事を盾にとって、言い寄る事が出来る」

紗夜が、いつになく真剣に言う。

「でも、証拠が無いよ」

あたしが言うと紗夜は。

「そんなの、見つけてやるわよ」

と勇ましい限りだ。

紗夜の言うことも一理あるが。

だけど、そんな事しなくていいなんて思ってる自分が居る。

「未月。私に任せて。絶対に尻尾をつかんで見せるから」

そう言って、紗夜はあたしに背を向けて、行ってしまった。


ハァー。

やっと自分の気持ちに素直になれたのに…。

何で、上手くいかないんだろう。

気持ちって、直ぐに離れていってしまものなの?

教えて欲しい。

今の暁の本当の気持ちを……。

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