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心の葛藤

あたし達は、一緒に理事長室を出る。

「未月、さっきのあれ、信じていいんだな」

暁が教室に向かいながら、聞いてきた。

「うん、信じていいよ。それが、散々悩んででた答えだから」

あたしは、暁の目を見て言う。

「わかった。オレ、未月の事絶対に守るから。未月も何かあったらオレを頼れよ」

暁の言葉が、頼もしく思えた瞬間だった。


「未月、誰かに付けられてる」

暁が、あたしの耳元で言う。

エッ…。

あたしが、振り返ろうとすると。

「見るな。このままあの角まで走るぞ」

そう言うと、暁はあたしの手を引きながら、走り出した。

あたしは、それに着いて行くだけだった。


曲がり角を曲がって、そこで止まる。

暁が、あたしを背中に隠す。

足音が、次第に近づいてくる。

「暁…」

「しっ…」

暁が、あたしの唇の前に人差し指を立てる。

足が、ガクガク震えだす。

あたしは、暁の制服の裾を掴む。

誰なの?

あたし達を追い駆けて来るのは…。

怖いけど、知りたい。

誰が、何の為に、あたし達を追い駆けているのかを…。


足音は、あたし達の間近でする。

そして、あたし達の前に現れたのは、利恵だった。

利恵は、暁の前に立つと。

「ねぇ、どうして?どうしてなの暁くん。何で私じゃなくて、未月なの?教えて」

エッ…。

一体、どういう事?

何が、なんだかわからない。

今になって、なぜ利恵が…。

利恵が言ってる事が、全然わからない。

暁は、あたしの事、好きって言ってくれたよ。

「あのなぁ、利恵。はっきり言っておくが、オレはお前の事なんじゃ、なんとも思ってないんだよ。むしろ、大嫌いだ!せこい真似して、オレを手に…、生徒会長の座を取ろうとする奴なんか、もっての他。オレは、未月を愛してるんだ!心からな。お前が入る好きなんかこれっぽっちもない!」

暁のはっきりとした声。

語尾も強調されてる。

利恵はそんな暁を見つめながら。

「私は、暁くんの事好き。小さい時からずーっと、あなたのお嫁さんになるのが夢だった」

うっとりした声で言う利恵。

ウソ……。

暁と利恵って、幼馴染みだったの。

あたし、何も知らないんだ。

何も……。

そう思うと、自信なんか無くなる。

「そんな夢、オレには関係ない。それに、そんな夢なんか、捨てちまいな。絶対に叶わないから」

暁が、冷たく言い放つ。

あたしは、そんなやり取りを聞いていられなくて、そーっと暁の後ろから逃げ出してた。



何で…。

何で、何も言ってくれなかったの?

利恵が、幼馴染みだって…。

あたし、自信無くしちゃった。

暁の事、何も知らない。

あれだけ近くに居たのにも関わらず。

何も知らされてなかった。

ううん。

自分から、知ろうとはしなかった。

あっという間に、遠くなった気がする。

なんか、辛い。

暁を好きな気持ちは、誰にも負けないつもりだった。

だけど、さっきの利恵の顔を見てたら、無くしちゃった。

だって。

利恵って、意外にも一途なんだもん。

暁の事を良く知っていて、何でもしてあげられるものね。

あたしから、婚約解消をしてあげよう。

さっき、したばかりなのにね。

お父様には、叱られるかもしれないけど…。

今は、本当に自信がない。

暁を好きって、言いきれる自信が無いよ。

あたしの目からは、涙が溢れてくる。

もう、どうしたらいいのか、わからないよ。

何をやってるのかさえ、わからない。

ねぇ。

誰か…。

暁、教えて。

あたしは、どうしたらいいの?

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