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第五章 君は遠くには在りて、恋に惹かれ待つ人

第一話最終章です。エピローグを持って一話完結。続いて四月八日には第二話の掲載が始まります。

第五章 君は遠くには在りて、恋に惹かれ待つ人


『この間の話だけど、街の連中には通しておいた。十日以内に間違いなく出来るじゃろう』

『助かる』

『どっちが助けられたか解りゃしない。あの計画はきっとこれから沢山の巫女を救うだろうよ』

『本当にそうなるかなんて誰にも解らない』

『そうかねぇ。アンタが組んだ計画は確かにこのオババも唸るしかないもんだがのう』

『オレは・・・巫女じゃなくてもやれる事があると思っただけだ』

『アンタがやったようにかい?』

『あんなのはただの足手まといを増やしただけだ。だが、これが成功すれば巫女は一人で戦わなくてよくなる』

『一人じゃない、か。巫女とは無縁の言葉だと思ってたワシは古い人間なんじゃなぁ』

『アンタだって一人じゃない。コイツは確かにアンタが育てた。でも、街の連中だってコイツを育ててたはずだ』

『巫女に固執するあまり視野が狭くなっていたか。本当に耄碌はしたくないもんだ』

『まだ耄碌するには早いな』

『ふん。小僧の癖に言うのう。まぁ、いい。それで婿殿、本当に待たなくていいのかい?』

『ああ、構わない。もしも起きなかったらその時は頼む』

『まったく、あれだけの事があってもまだ帰る意思が揺らがないとはアンタ本当に頑固者だよ』

『自覚くらいある』

『尚悪い』

『オレがいなくなってもコイツはきっと大丈夫だ』

『自分を過小評価してるんじゃないかい?』

『足りない孫娘なんてコイツはもうとっくの昔に卒業してる。きっと・・・オレなんかよりずっと良い男が見つかるさ』

『まったく。半分本気で曾孫の晴れ着は縫ってたんだけどねぇ。ああ、もったいないもったいない。この子の晴れ着はいつの事になるやら』

『それはオレじゃなかった。それだけの事だし、それでいい事だ』

『未練の一つもありゃしない。ああ、まったく人の孫娘を誑かしおってからにけしからん男だこと』

『そろそろ街に行く』

『仕事はそのままできるようにしておくよ』

『感謝する』

『帰るまで此処に留まる気はないのかい?」

『止めておく。こんな決意もう一度できる程オレは強くない』

『ああ、本当に清々しい程に馬鹿じゃのう。まったくもってアホ過ぎじゃのう』

『これでたぶん最後だから言っておく。アンタが心の底から気に食わない。いや、気に食わなかった。オババ」

『ふふん? 奇遇だねぇ。このオババもだよ』

『く・・・ふふ・・・ははは・・・』

『ふ、ふふ・・・・ふはははは・・・』

『ユネルの目が覚めたら、また来る。次の『狂乱』は?」

『次の『大狂乱』は十日後。本当に狂ったように結果がその日だけを指示しとる。この子が目を覚ますかは解らんがアンタのおかげでもしもの時はこのオババでもどうにかなりそうじゃよ。大巫女として礼を言う』

『オレが帰るのも十日後だ。早く片付けたらあの場所に見送りに来てくれ』

『解った。伝えておこう。では、去らばじゃ賢者殿』



『父ちゃん。これから何処に行くの?』

『こら、父ちゃんはこれから大切な仕事があるんだ。引きとめるんじゃないよ』

『まぁまぁそう言うなって母ちゃん。んーとな。これから父ちゃんは巫女様と街の為にちょっくら仕事してくる」

『巫女様の為?』

『ああ、そうだ。この間の二号さんが巫女様と街のオレ達の為に色々と考えたらしい。オレ達が仕事をすれば巫女様も大助かりって話だ』

『父ちゃん。巫女様の事助けるの!?』

『すげーだろ?』

『父ちゃん。すげーかっけー!!』

『マジあこがれちゃうぜ!』

『父ちゃんてやればできる子だって母ちゃんが言ってたの本当だったんだ』

『おい?! そこの最後ッ、特に最後?!』

『はいはい。いいからさっさと遊びに行っておいで。これから少し父ちゃんと母ちゃんは話があるからね』

『『『はーい』』』

『アンタ・・・大巫女様のお告げまで後もう少し。本当に危なくなったら逃げてきな』

『分かってるって。誰に言ってんだ。それよりオレはガキ共の方が心配だっての』

『アタシとあの子達はインナスだ。アウタスとは違う。でもね。アンタがいなくなったらアタシ達はきっと今までみたいに笑えないんだ。昔、アンタはアタシに言ったよね? お前が婆になって耄碌してくたばるまで面倒みるって。約束破るんじゃないよ・・・』

『へへ・・・オレを誰だと思ってんだ。オレはあいつらの父親だぞ? 母は強しなんて誰か言ってたが、ガキが出来れば父だって強えーんだ。心配すんな』

『アンタ・・・アンタ・・・』

『おいおい。そんな顔すんなって。こういうのは大人の仕事。今まで巫女様に任せっきりだったオレ達にもやれることがあるんだってせっかく二号さんが教えてくれたんだ。それを喜ぼうぜ?』

『ああ、ああ、そうともさ!! もしも、できませんでしたじゃ承知しないよ。この大馬鹿野郎!!』

『それじゃ行ってくる。この街を、オレ達の街を竜なんぞにやらせはしねぇさ』



工事の男達の列が街の周囲に散らばっていく。

一人、その光景を鐘楼の上で見ながら、革袋から水を呷った。

街の周囲、十キロ四方。

オババの占術による結果で竜が到来すると予測される北西部を中心に道の舗装が行われている。

荒野が広がる北西の地域と街を一直線上に繋ぐ道。

そして、その道の両脇には複数の瓦礫や石、枯れ木などの障害物。

街に近づくに従ってその密度を増し、道以外はまったく通るに値しなくなる。

この世で最も地の竜について詳しい大巫女の経験則から得た情報を元に生態を推測し終えたのはつい先日。

竜は基本的に『狂乱』時に人を狙って襲ってくる性質がある。

更に言えば、原始的な危機回避能力や状況判断能力も持つ。

それはとても単純な話。

竜は攻撃を受ければ回避行動を取るし、走りやすい場所を好んで走るという事。

たったそれだけの情報でも対応策はある。

街に続く襲撃ルート上に走り易い道を整備し、その他の部分を走り難いモノにするだけでも竜の通るルートがかなり限定される。敵の位置をこちら側から作為的に操作できれば随分と戦い方は違ってくる。

今までは巫女の経験と勘だけに頼り切っていた迎撃も、ピンポイントの攻撃位置を確保し、その場所へ竜を誘導するだけで撃破率を上げられると予測出来た。

原始的な堀などを設置する案も採用され、道以外の場は侵入に適さなくなっている。

投石機も複数用意され、竜を誘導する為の用意は整い始めた。

全てはユネル・カウンホータを前提に組まれた計画だ。

ユネルにとって最も厄介な敵は竜ではない。

本当に厄介なのは攻撃回数だ。

あまりにも出力が在り過ぎるドーラ列車砲は複数回の攻撃に適さない。

ユネルはその点で他の巫女と悩み所が違うのだという。

普通の巫女は竜一匹を倒すにもそれなりに手間が掛るし、時には敗北する。

本来、狂乱時は巫女が隊列を組んで数で対抗するのが常であり、それ以外の選択肢は在り得ないらしい。

しかし、ユネルは単独で『狂乱』を止められる世界でも稀有な巫女であり、竜に負ける事は考慮の内にない。

強力な一撃で数十の竜を蒸発させる事が出来るユネルと言えども数による圧倒的な物量で防衛ラインを割られる可能性が常にあったのは攻撃回数が多くならざるを得なかったからだ。

他の巫女とは違い、ユネルにとっての狂乱時の戦いとは如何に一撃で大量の竜を屠るかという一点に掛っている。

それはつまり戦闘時間と攻撃回数の効率化の問題だ。

これまでは複数のルートから襲撃してくる狂乱時の竜はその数や速度にばらつきが存在し、一撃で倒せる竜の数に限界が存在した。

同じ数の竜でもあらゆる方向から攻められては攻撃の回数や戦闘時間は長引かざるを得ない。

それは最終的に街への竜の侵入を許し、犠牲に繋がる。

一匹の竜を倒す為に一撃するのではなく百の竜に対して一撃する。

それがユネルにとって最も効率的なドーラ列車砲の戦闘に違いない。

その為の誘導であり、道の整備、障害物の設置だった。

竜を一塊にして一撃で撃破する竜の数を上げ、攻撃の回数と時間を短縮する。

たったそれだけの単純な事。

「・・・・・・」

惚れた女に送るしては細やかな贈り物に違いない。

花の一本すら渡すのを躊躇われる男にやれる事はあまりにも少ない。

「行くか」

鐘楼から降り、街を出る。

すっかり歩ける距離が長くなった足でプラットフォーム、竜の祭壇へと向かう。

やがて見えてくるのは彼方まで続く薄い緑色の絨毯と白い花弁。

祭壇に未だ竜の気配は無かった。

それなりに神聖らしい祭壇の上に座り込んで足をぶらつかせる。

流れていく雲を見つめながら思い起こされるのは思い出ばかり。

現実など霞む鮮烈で強烈で瞼の裏から離れない光景。

それは奇妙な話だ。

演目にするならば、孤独な巫女と偽の賢者の物語。

「孤独な巫女は言いました。あたしは一人と言いました。偽の賢者は言いました。きっと君は一人じゃない」

巫女と賢者はやがて魅かれ合っていく。

「孤独な巫女は言いました。一緒にいようと言いました。偽の賢者は言いました。君の隣に椅子はない」

巫女を一人残して賢者は去る。

「孤独な巫女は言いました。貴方が好きと言いました。偽の賢者は言いました」

それはお約束ならばありふれた話だ。

「哀するモノは数在れど、愛するモノなど何も無い」

実際、そんな曖昧なものなど持ち合わせがない。

真理あるいは心理なんて正にネトゲ廃人にはお門違いの話。

きっと、宗教家やらスピリチュアルなんたらと名を打った番組ならば万言を用いて説明してくれることだろう。

愛、それは~~~~です、と。

「泣いたところで意味はなく、恋する心は吹けば飛ぶ」

そんなものをずっと持ち続ける事など誰もできない。

傍にいない人間への想いならば尚更だ。

「才能無いなオレ」

離れて暮らしてみて初めて分かる。

まったく違った景色が見えてくる。

巫女のいない生活。

起こされる事もなければ食事に呼ばれる事もない。

朝、起きるだけの事があまりにも億劫になる。

冷たい身体を起こす気になれない。

現実ならば目覚ましの音に軋む体を起こして、何も考えず身支度を整えられたというのに。

堕落とその変化を呼べばいいのか分からない。

いつの間にか当たり前になっていた朝の温もり。

隣に誰かがいるという事。

小さな頃から一緒に寝てくれる誰かなどいなかった。

父は息子に興味はなく。

母は『あんな男の子供』に近寄りもしなかったのだから。

一番古い記憶に残る感触は人の肌ではなく、固い本の手触り。

与えられた本の名はもう思い出せない。

「悲しみに曇る空さえも、いつか晴れては風が吹く・・・か」

物語を読む内にそうだったらいいのにと何度思っただろう。

悪い事の後にはきっと幸せな事が。

苦しい事の後にはきっと楽しい事が。

理解することが早かったから尚更にその物語のお約束が嘘なのだと感じるのも早かった。

そして理想という言葉を知るのも。

諦めを知り、主人公になれず、幻想ファンタジーを信奉する。

それはつまり嘘を嘘と知りながら信じるという事だ。

そんなものは無いと知りながらそんなものは在ると思い続ける事だ。

事実でも現実でもないモノ。

自己に還元された自分だけのソレを人は真実という呼び名で語る。

「事実は単純で、現実は辛くて、真実は激甘と・・・あー嫌だ嫌だ」

帰る方法は死に近く、帰れたとしても不幸まっしぐらで、ここにいたら色呆けリア充の出来上がり。

解り易い構図だと思う。

「色呆けリア充は嫌過ぎるな」

嗤いしか起きない。

ゆっくりと置き上がると風を感じた。

背後を振り返ればいつの間にか電車が一台。

触れれば帰れる気がした。

「・・・・・・」



「賢者ッッッ!?」

飛び起きて、手を伸ばして、そこが自分の部屋の天井だと気付いた。

「起きたかいユネル」

隣にはオババがいた。

慌てて訊いた。

「け、賢者がッ、オババッ、賢者は!?」

「心配せんでも消えとらん。生きとる生きとる」

何故かオババがお腹一杯という顔をした。

「で、でもッ、竜に飲み込ま・・・あ・・・」

「思い出したかい? お前は婿殿が消えたと思って暴走したんじゃよ。その後、死に掛けたはずの婿殿はお前の命を助ける為に砂に埋もれかけながらお前を負ぶって救ってくれた。もし婿殿がいなかったらお前は今頃砂の下に埋葬されとる。数日前の話じゃ」

「そっか。賢者大丈夫なんだ。良かった・・・本当に良かった・・・」

「泣いとる暇があったら街に行っといで。お前を助ける為に街の連中が力を貸してくれたんだ。顔くらいみせてやるんじゃのう」

「う、うん。でも、その前に賢者に・・・」

寝台から起き上がるとオババがやれやれと肩を竦めてこっちを見た。

「婿殿も街におる。此処にはおらん」

「え?」

「婿殿は此処から出ていったと言っとるんじゃ」

「用事が出来たの?」

「本当に物分かりが悪いのう。ワシの孫娘は・・・婿殿の居はもう此処ではなく街に移った。此処に婿殿は住んでおらん」

「な、何言ってるのオババ。そんなわけ・・・」

「自分の目で確かめておいで」

オババはこれ以上何も言う事はないと言いたいみたいに寝台に座り込んで煙管を吹かした。

あたしの足は勝手に走り出していた。

「賢者!」

賢者の部屋。

「賢者!!」

台所。

「賢者!!!」

庭。

「賢者ったら何処にいるの!?」

賢者が街に住む。

そんなオババの言葉が信じられなくて、信じたくなくて、結局あたしは賢者を探し回ってから賢者の部屋に戻った。

よく見れば部屋の床に薄らと積もった埃が扉を開けた勢いで舞っていた。まるで何日も使われていないみたいに。

部屋に戻ってオババに訊く。

「どうして?」

「本当に訊きたいのはそんなことなのかい? あの婿殿ならば本当に訊きたいことを間違えたりはしないのう」

知っている。

そんなことは知っている。

誰が知らなくたって自分は知っている。

「あたしが守れなかったから?」

「失望するのう。ああ、本当に失望するのう孫娘や。婿殿は、お前が選んだ賢者殿はそんな些細なことでお前を見捨てるような人間なのかい?」

気付いている。

気付かない方がおかしい。

心の底に答なんてある。

言われなくたって解っている。

でも、そんなこと受け入れられるわけが無い。

「これ以上、あたしが危険にならないように・・・」

「婿殿は賢い。お前がもうこれ以上自分の事で取り乱さないように距離が必要だと思ったんじゃな。婿殿はな。お前を助けた後三日三晩寝ずに看病したよ。そして、容体が落ち着いたところでこの話を持ち出した。何処から来たかも定かでない男が一人消えるだけの話。そんなことにお前をもう付き合わせないと」

「そんなの・・・そんなのッ」

「身勝手だと思うかい? ユネル。ワシはお前をそんな自分の未熟を棚に上げる人間に育てた覚えはない」

「ッッ・・・・あたしはッ?!」

「まだ解らんか愚か者!!」

「!?」

「お前は一番してはならない事をしたッッ。それはお前自身を、お前が救うはずの誰かを見捨てた事だッッ!!」

「見捨ててなんかッ」

「巫女とは殉教者。その命はもはや捧げられている。だから、お前の命はお前のものではなく、お前が守っていく者達のものだ。それを忘れたなら巫女と名乗る事。このワシが許さん」

「~~~馬鹿、馬鹿馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ッッ、オババの馬鹿ぁああああああああああ」

あたしはそれ以上聞いている事が出来なくて、逃げ出した。



孫娘の姿が陽中の地平に消えていく。

久しぶりに声に力が入ったからか立ち眩み寝台に崩れるように横たわる。

「馬鹿と来たか。あの孫娘は・・・ふふ・・・確かに馬鹿げておるのう。自分の命を最初から誰かの為に捨てている等と・・・正気の沙汰ではない」

そんなことは分かっていると思っていた。

いや、そんな当たり前を疑問に思う事を止めていた。

心の底で何処か諦めていた。

「・・・・・・」

命を掛けて守れないものがある。

巫女でなければ守れなかったものもある。

だが、巫女でない者には片方だけしかない。

大切な誰かが消える。

たったそれだけの可能性しかない者がいる。

だから、巫女はそんなものに未来を見せ、可能性を与える。

自分の命を代わりとして。

(それが悪い事だとは思わん。しかし、それだけでは巫女はあまりにも独りじゃ。それを婿殿は解っておったのかもしれん)

時代は確実に流れている。

何が正しく何が間違っているのか。

そんな今までの『常識』はいつか覆る。

それは巫女の在り方ですら例外ではないという事。

「あーまったく。ワシが後八十歳若ければ爺の次に惚れておるのう・・・ふふ・・・」

くつくつと笑って、まったくどうして面白い若者かと思わずにはいられない。

水面に投げ掛けられた石のように賢者と呼ばれる若者が広げた波紋は全てを変えていく。

死に掛けの老婆にも未来ある孫娘にも等しく変化は訪れた。

「あの純粋過ぎる孫娘に大人の事情はまだまだ早かったかのう。さてさて、老体に鞭打つ時が来たか」

大狂乱オーバーバースト】の期日は今日の宵。

かつて一度とて止められなかった悲劇。

それを止められるかもしれない。

そんな微かな希望を齎してくれた賢き若者と今まで頑張ってきた孫娘に先達として為せる事は一つ。

せめて恋の行方ぐらいは守り切ってみせる。

その程度の器量無くして大巫女とは名乗れまい。

それが、そんな些細な贖罪にもならない事ぐらいしか、

「ワシに出来る事はないんじゃよなぁ息子殿」

街には御触れが出してある。

もしも孫娘が来たならあの場所へ往くようにと。

若者にも同様に最後の最後まで待っていて欲しいと伝えてある。

後は若い者同士、くんずほぐれつあれやこれやすればいい。

「息子殿、あの子を守ってやっておくれ。きっと、あの子はこれから沢山泣く事になるからのう」


大巫女、ラテラノーグ・ディース・ユグロハーツ・カウンホータが街へ続く道の途中で倒れて発見されたのはそれから数時間後の事だった。



結局、勇気の一欠片もなく街に戻って数日。

買出しをした。

魔女の甘言に乗せられながら、もしかしたら必要になるかもしれないガラクタやら水やら食糧やらを買い、重い荷物を背負ってゆっくりと歩いた。

祭壇までの距離に荷物の量を思って気が遠くなる。

遠く遠く永遠に歩いているような心地。

それが・・・酷く・・・心地よくて、M属性に目覚めてしまいそうな馬鹿は笑うしかない。

何を期待しているのか。

勿論、そんなのは分かっている。

分かっているから困っている。

街の人間の半数以上がこれから消えるか否かという時に一人逃げ出す偽賢者。

本当に自分の考えが上手くいくかなど自信がない。

大巫女にお墨付きを貰おうとそれは変わらない。

もしもの時の保険が使われる可能性を考えれば、被害が大きくなる事は予想出来た。

老体が無茶をする前に少女の目が醒めればいいと望んでも、それは都合の良過ぎる展開。

目が醒めるのは失った体力や気力が戻ってから。

それを経ずに目を覚ましても本来の竜の力は発揮出来ない。

そう言われれば納得するしかない。

「・・・ふぅ・・・」

白い花弁の群れが見えてきた頃、つい街で教わった話を口ずさんでいた。

「昔、竜に見入られた娘がいた」

それは始めの巫女の物語。

「娘は竜に大切な人達を取られてしまった」

ありきたりな恋人達の話。

「娘は竜が誰も返さないと知るや、非力なその腕で鉄の体を叩いて叩いて叩いた」

一つだけ違うのは男は助けられる方で女が助ける方だという事。

「いつの間にか竜の体は血に塗れ、赤く染まってしまった」

巫女がどうして生まれたのか。

「竜はやがて錆び軋み、劈く咆哮は遠く間伸びして、滅びた」

理由はなんてことない恨み節。

「娘は竜を見て笑い、やがて決めた」

大好きな人を失い狂ったのだ。

「竜の頭を踏み付けた」

どこにでも転がっている不幸は異世界にも転がっていた。

「我が声は嘆きの声」

それだけの事。

「我が意思は鋼の意思」

それだけの話。

「されば、我は撃滅の先兵と成りて、竜を砕く礎と成らん」

所詮はお伽噺に過ぎない。

「娘を祖に抱く竜を操りし者達を人々は巫女と呼ぶ」

でも、今現在の状況はそれ以上にシビアかもしれない。

「う・・・えぐ・・・ひっく・・・う・・・う・・・ううぅうう・・・」

祭壇の真横で膝を付いて涙を拭っているらしき誰かを発見。

泣いた子をあやすのはとてもとても手間が掛る。

泣いて、狂って、力で物事を片づけようとした者の末裔の頭を、ポンポンと撫でた。

「う・・・あ!?」

見上げてくる瞳には大粒の涙。

抱き付いてこようとする体をすっと避けて人差し指で額を弾く。

「ひゃう?!」

可愛い声で喚かないで欲しい。

Sになりそうな自分が怖い。

「馬鹿」

「え、え、な、何が、何が馬鹿なのッッ!!」

泣きながら怒っている理由は百も承知。

ならば、更に怒らせてみてもいいかもしれない。

「理由は三つ。お前が起きたのに此処にいる事。お前がこんな場所で泣いている事。お前がまだオレなんかを追いかけてる事。以上だ」

「なッッ?!」

思考があまりの事に止まったらしい魔女の卵に説明するべき事を説明する。

「これから街に大狂乱が起こる。時間は宵の刻。オババに言って街の連中が準備を整えてる。北西部から来る竜の群れを障害物と通りやすい道で誘導する作戦だ。街から北西に少し行った場所で防衛ラインを張って、竜の群れをまとめるように端から攻撃していけ。群れの全体がまとまったら曲げた砲撃を連射して点じゃなく面で上から押しつぶすように殲滅していけばいい」

「――――――」

声も出ない有様の孫娘は涙も忘れて唖然とした顔。

頭をクシャクシャと撫でてやる。

「お前は誰だ」

「あ、あたしは・・・」

「お前はユネル・カウンホータ。オレを助けてくれた。そして、これから多くの人間を助ける巫女だ」

「ち、違ッ、あたしはッ!」

「お前が泣いてるだけで人が死ぬ。お前が躊躇っただけで人が死ぬ。お前がお前の大事なものを蔑ろにしたらオレは悲しい」

「ッッッ」

「よく聞け。お前の心がどんなに痛かろうとオレはお前を助けてやれない。オレに出来るのはお前を少しだけ手伝う。それぐらいだ」

「あたしはッ、あたしはただ賢者が・・・」

「言っただろう? 気にするな。お前のせいじゃない」

「そんなッ、そんなのッ、気にするよ!」

「なら、そんな気持ち置いておけ。お前に今足りないのは一つだけ。事実と現実と真実を一緒にしない頭だ」

「な、何それッッ!?」

「お前の事実はお前が行かなきゃ街は壊滅するって事だ。お前の現実はお前が助けなきゃお前は一生後悔するって事だ。お前の真実はこんなオレなんか好きになったら色呆けリア充になるぞってな事だ」

「わ、分かんないよ・・・」

「こんな簡単な事が分からないなんてホント馬鹿だな」

「馬鹿って、そんな事ないんだから!? あたしだってちゃんと昔はお勉強出来る方だったんだから!!」

「つまり、今は馬鹿なんだな?」

「う・・・違うもん・・・」

「可愛く言っても馬鹿だな」

「賢者の意地悪・・・ぐす・・・何が何だか分からないのに・・・そんな変な事言って・・・あたし・・・賢者の事守れなくて・・・目が覚めたらオババと喧嘩して・・・賢者が自分からいなくなっちゃうとか・・・もう、どうしていいか分からなくて・・・」

涙が美しいと言ったのは誰だったか。

少女の涙以上のものを知らない。

それでも、

「泣くなとは言わない。でも、泣いてもいいからその後笑え」

泣き顔よりは笑顔がいい。

「え?」

助けられた。

助けられてばかりだった。

そんなに助けてまだ助け足りないのかというぐらいに助けられた。

だから、自分が今助けなくてどうするというのか。

「オレはそんなお前の方がいい。オレはお前の・・・笑顔に惹かれたんだ」

肩を掴んで立ち上がらせた。

「いいか?」

抱きしめられない。

苦しめると知っているから。

接吻などできない。

悲しむと知っているから。

だから、背中を叩いて送り出し、思うくらいしかできない。

「けんじゃ・・・」

「お前は一人じゃない。だから、存分に戦ってこい。オレの知っているユネル・カウンホータはいつだって誰かを問答無用に助けては笑ってる。そういう奴だ」

そっと手を離して体を街の方向に向けさせる。

「ユネル。オレを救ってくれて・・・ありがとう」

肩を軽く押し出す。

「オババの占いが本当ならまだ行くには時間がある。さっさと片付けてこい」

「うんッ!!」

力強く、誰よりも力強く頷いた背中はやはり魔女の背中に似ていた。

大きくて、何よりも広い。

子供の頃に出会いたかった背中に似ていた。

これからも誰かを救い続けるだろう少女の肩を一度だけ叩く。

「竜の千や二千、お前に倒せないはずがない」

振り向かず、握られた拳。

「この世界の誰にも見せてやれ。大巫女の孫娘。ユネル・カウンホータ。お前が負けないとオレは知ってる」

「賢者・・・ありがとね・・・あたし勝つから」

微かな笑みの気配は涙と共に。

全身に込められた力は威風堂々。

「行ってきます」

蹴飛ばした地面など置き去りにして、颯の如く少女は駆けて、すぐに消えた。

最後まで少女の往く道を共にしてみたかった。

それが叶わない希だというのは理解していた。

祭壇に背を向けていても解る。

時間はもう過ぎている。

「落としモノが何か今解った。オレは・・・最初からこの気持ちを落としたまま生きてきたんだ」

懐かしく感じる。

朝には毎日聞いていたドアの開く音。

「卑怯過ぎるオレをあいつが忘れてくれるといい。それがオレの願いだ。この世界を変える手伝いをしたんだ。それぐらいの特典はあるだろう?」

足音。

「何も言わなくていい。答えは聞いてない」

意識が落ちる寸前、微かな笑い声を聞いた気がした。



「んお・・・?・・・生きとるとは・・・運が良いのか悪いのか」

風が吹く宵。

竜に襲われ、風前の灯となっているはずの街。

そのはずの街の街路には人が溢れていた。

起き上がったのは仮設の救護所。

テントが張られた其処で陽も落ちた頃合いの空に眩い輝きを見た。

その光は何よりも明るく街を照らす。

その輝きの前に誰もが呆然と酔いしれるように佇んでいた。

ケガをしている者も水を運ぶ者も担架に運ばれる者も炊き出しをする者も誰も彼もが。

「綺麗・・・あれが巫女様の光なんだ」

傍には小さな幼子。

街で孫娘と遊んでいる一人だと気付き、首を振った。

「いや、違う。あの光はあの子だけの光じゃない」

「ふぇ? あ、オババ様お気付きになられたんですか!?」

「いいからいいから。それより肩を貸してくれないかい?」

「は、はい」

肩を借りて、宵空を見上げる。

「あ・・・また」

一際輝きの強い綺羅星のような光が空の彼方に飛んでいく。

「あの光はな。心の輝きなんじゃよ」

「心の?」

「心は磨かれなければ光らん。だが、磨くには多くの交わりを必要とする。だが、恋をすると時折、巫女が放つ力の光はああも美しくなる事がある。要は想いに磨かれる。いや、身が枯れる想いをしたからこその光という事かねぇ」

「磨かれる、ですか?」

「ま、ワシが勝手にそう思っておるだけじゃが、あの子はきっと今そういう想いをしとる」

「巫女様。勝ちますよね」

「ふふん? あの輝き具合から言って、あの子はきっともう勝っておるさ。お前の母に祝勝の準備をするように言ってきてくれるかい? 明日の朝には終わっておるはずだからのう」

「は、はい」

駆けていく後ろ姿に幼き日の孫娘が重なった。

「その後ろ姿、勇壮にして優美。地を奔る者共はみな地に平伏し、その御影に刹那の安寧を得る」

地の巫女とはそうあるべきだと教えたのはもうずっとずっと昔の事。

「このオババにあんな口を叩いたんだ。早く帰ってこい。ユネル」

また光が打ち上がる。

夜明けはまだ遠い。

遠くとも構わない。

きっと、その光は何より尊い思いを湛えている。

闇夜に輝くソレこそが遥か古から世界を救い続けている巫女に足りないものだ。

古い時代への送り火。

新しい時代を照らしていく輝きを今生の土産として目に焼き付ける。

ゆるりとその光を眺め続けた。

世界はやがて光射す方へと変わっていくに違いなかった。



明け方、塹壕の間を進みながら男達は生死の境で踏み止まる事に成功していた。

『どうだ。あっちの方は?』

『もう石が無えよ』

『連絡はどうした』

『何処も同じだ。石が無え。後は巫女様が竜を退治してくださるのを待つだけだ』

『オレ達役に立ったかな?』

『あったりめーよ。オレのとこなんかあの投石機だっけ? あれで竜を直角に曲げてやった』

『直角はねーだろう。直角は』

『いいや直角に近かった』

『近かっただけならオレだって近かった』

『みんなまだ生きてる。それだけでいいよ僕はもう』

『ガキ共もこんな父親ばっかり持って幸せもんだって』

『それより、竜の走る音が聞こえないみたいだが・・・それに巫女様の撃っている光も』

『おま、それを早く言えよ!? 一回見てくるから』

『だが、まだ安全とは決まってない』

『不用意に顔を出すと其処をやられるかもしれないな』

『とりあえずそ~~~っと、そ~~~っと、な?』

『じゃ、じゃあ・・・少しだけ』

『―――――スゲぇ』

辺り一面に砕け散らされた竜の残骸に男は息を飲み呆然とした。

塹壕と言うらしい横に長く掘られた場所からゆっくり顔を出して辺りを見回す。

地平から光が溢れてくる。

それなのに、それにも負けない光が上がった。

光は天へと昇って落ちてくる。

落ちてくる光は一本から二本、三本と増えていき、最後にはもう数えられない数となって降り注ぐ。

遠くで上がった土埃が勢いを付けて吹き抜けてくる。

『ごほ、ごほ・・・はぁっくしゅん!?・・・』

すぐ塹壕に身を隠した。

『どうだった』

『おい。どうだったんだよ!?』

『言うまでもないって』

『あ?』

『言う必要あるか?』

『だって、こんなニヤけた面されちゃあなあ』

『巫女様がお勝ちになられた以外の答があるかよ』

『出るぞ』

『ああ、ウチの母ちゃん待ってんだ。早く知らせてやりてえ』

『オレんとこもだ』

『行くぞ。みんな』

オー。

塹壕から全員で這い出した時、誰もが息を呑んだ。

今までよく見えていなかった何もかもが朝日に照らし出されていた。

あっちにもそっちにもこっちにも何処を見渡しても其処には竜の残骸しかなかった。

助かった。

助かってしまった。

こんな、こんなにも多くの竜に囲まれながら助かってしまった。

奇跡。

そう呼ぶ事は侮辱だった。

巫女様の力。

そして、自分達の力。

どこまで助けられたかは解らない。

それでも確かにそれは自分達で起こした必然だ。

『これでオレ達の小遣い上がるかな?』

誰の顔にも笑いが浮かぶ。

『あったり前!』

『もちのろん』

『これでこの頃冷たいウチの女房もオレを見直してくれるはず』

『それ以前に巫女様探せよ。お前らは・・・・』

そこには巫女様の姿だけが無かった。

巫女様の竜も何処にも見当たらなかった。

『巫女様がいない』

『ああ、それならあれじゃねぇか』

『あれって何だよ?』

『ほら、あの二号さんが何か帰るとか何とか言ってたんだ』

『あー男娼さんか?』

『あー! はいはい。巫女様も年頃だからな』

『お前!? 怒られんぞ?! 工事とかオレ達の役割とか考えたのあの方らしいからな』

『マジで?』

『もう賢者様だよ。賢者様。何かウチの娘が「ああ、何か冷たそうな横顔が良い!!」とか言ってたし』

『賢者様ねぇ』

『なよなよ坊やじゃダメなのか?』

『ちょ、それ巫女様にブチ殺されんぞマジで』

『そう言えばオレんとこの母ちゃんが「あの物憂げなとこがいいんじゃないか」とか・・・』

『それは真面目に家庭の危機なのでは?』

男達は帰る・・・その土と埃に塗れた顔で互いに肩を貸し合いながら・・・陽はもう昇り始めていた。



急いだ。

急いで急いで足が棒になっても急いだ。

走れなくなっても、まともに歩けなくなっても急いだ。

何もかも終わった後、竜がいなくなった後、他のことなんて何一つ考えなかった。

途中で靴の紐が切れて裸足になった。

少しでも早く。

少しでも前に。

夜露に濡れた花を踏みしめて探す。

何度も何度も辺りを見回す。

ひょっこり顔を覗かせてくれるような気がして何度も何度も呼ぶ。

祭壇に・・・賢者は・・・もういなかった。

残っていたのは大きな袋だけ。

中身を掻き出して・・・たった一枚、紙を見つけた。


『飯でも食って寝ろ。それでだいたいの事は忘れられる。By偽賢者より足りない孫娘へ』


それは教えて貰った言葉で書かれた手紙。

「嫌だよ・・・」

本当に酷い手紙。

「そんなの嫌だよぉ・・・賢者ぁ・・・」

忘れられるわけない。

何一つ忘れられるわけない。

だって、そこには沢山の思い出がある。

賢者と一緒にご飯を食べて、一緒に寝て、一緒に遊んで、一緒に修錬をして、一緒に何処かに行って、一緒に笑って、一緒に草原で寝転んで、一緒に勉強して。

熱いものがポタポタ顔から落ちる。

「忘れられるわけないよぉ・・・」

だって、そこには自分が欲しかった全部があったから。

夢みたいな事だったから。

「ひっ・・・う。・・ぅう・・・」

手紙を握りしめて、手が白くなるぐらい握りしめて、胸に当てて、涙ばかりが熱くて。

「こんなの・・・」

握りしめた手が服の内側にある固いモノに触れて取り出した。

「ケー・・タイ・・」

そう賢者が教えてくれた小さな箱。

文字が打てて、賢者の教えてくれた言葉が沢山入っている箱。

預かっていて返すのを忘れていた。

『とりあえず普通に開く練習からだな。文字は教えてあるから感覚で使えばその内何だってできるようになる。手紙とか遠くに送れるようになったりな。そこまで使いこなす前に壊さなかったら・・・まぁ、今度開く以外の事を教えてやる。って言った先からボタンを安易に押すな』

「返せ・・・なく・・・なっちゃった・・・」

まだ沢山教えて欲しい事があった。

一緒にしたい事があった。

「・・・けんじゃ・・・」

そっといつも賢者がしていたように開いて、押すなと言われた場所を押す。

「ッ―――――」

小さな白く輝く箱の中、自分の顔が笑っていた。

反則だった。

いきなりだった。

苦しくて悲しくて寂しくて、知っていたはずの、誰かがいなくなる度に味わったはずの、でも、それよりも何倍も何十倍も胸が――――。

「馬鹿ぁッ、馬鹿ぁあ! 賢者ッ、賢者ッ、賢者ぁああああ!!」

名前を呼んで、何回も呼んで誰も答えてはくれなくて。

「大好きだから一緒に居てよぉッ!! もう無理やり修練させたりしないからぁッッ!! お願いだから、ずっとずっと傍に居てよぉッ!! 一杯、一杯・・・あたしと・・・あたしとぉ・・・うぅううううううううう、うああああああああああああ―――」

泣いた。

ずっとずっと。

あたしは泣き続けた。

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