表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/28

第七章 楽園

第四話最終章です。後はエピローグを持って投稿はひとまず終了する事になります。今後、五話の執筆が終わるまで次回投稿はありません。

第七章 楽園


竜の巣の観測に成功。

竜の巣の破壊に成功。

竜の巣の再生を確認。

向かった三人の巫女は消失。

同行した賢者は帰還。

同日、一人発とうとした賢者を確保。

同時に急激な増加を見せる狂乱の対応へと当たらせる。

現時点での三人の巫女の捜索する余力は無く。

狂乱への対応を優先。

計画中枢である賢者への適切な対応として遺憾ながら保護の為、軟禁する。

「・・・・・・」

読み終えた報告書を破り捨てる。

そうして、報告書をわざわざ座敷牢っぽい部屋まで持ってきた七面鳥に【期待通りの反応】を返す。

「罵倒されたいなら止めておけ。オレはお前を責めるつもりも無ければ、それで楽になりたいとも思わない」

目の前で無表情で全てを受け止めようとする女から視線を逸らす。

「これで今日の報告書は全てでありましょうや。狂乱への対応は随時言われた通り」

「・・・・・・」

「この状況は大巫女と街長の全員による承諾を受けたもの。まだ、貴様には死んでもらうわけにはいかない」

「そして、この状況下でもオレがお前達を見捨てないのは百も承知なわけか?」

「わたくしが見た限りの貴様を勘案した結果。この状況でも貴様は決して我々を見捨てないと判断した」

「なら、お前はこの先オレが起こす行動もお見通しか?」

「ッ」

言い淀むだけで答えは十分だった。

「オレに報告してない事柄がまだあるだろう? 竜の巣を破壊しようとして失敗した。違うか?」

「それは・・・・・・」

「言っておくが、時間稼ぎは長く持たない。オレは世界と心中するつもりはない」

「だが、貴様がいなければ、我々は瓦解する」

「オレの知恵もオレの知識も全能じゃない」

「そんな事は解っているでありましょうや!! それでも!? それでも貴様を!!」

吼える女は何かを後悔したように顔を伏せる。

部屋の外へと歩いていく背中に、扉に外側から鍵が掛けられる前に、言っておく。

「オレの命はあいつらの為にある」

背中は一度だけ止まって、そのまま部屋を出て行った。

鍵が外側から掛けられる。

「・・・・・・」

窓から外を覗く。

街の緊張した空気が嵌め殺しの窓から伝わってくる。

騒がしくはない。

逆に静かなくらいだった。

その原因は狂乱の発生。

破滅へと突き進む世界が以外なくらいの静かさを生んでいる。

密やかな絶望に冒されていくからか。

そのまま刻を待った。

予定ルートを再確認する。

全ての工程を脳裏に描く。

脱出の機会は一度。

それだけの根回しはしてある。

問題は脱出の時間と竜の巣が開くポイントへの移動手段の確保。

巫女は最低限しか関わらせられない。

裏切りの可能性が非常に高い以上、複数の人間に頼るのは得策ではない。

「まったく、あいつらにも困ったもんだ」

わざとらしい回想を挟む。

脳裏から全ての否定的意見を追い出す。

瞬間的に甦る声。

【賢者。ごめんね?】

「謝るな」

【守るから。ガトウだけは】

「そんな風に笑うな」

【後は任せた。ケンジ】

「任せるな」

気付けば拳の間から血が流れていた。

全身を苛む例えようもない痛みだけが正気を支えていた。

「クソ・・・それは全部オレの台詞だ」

竜の巣を発見した。

地平まで見渡す限りの竜を吐き出す黒き地上の穴。

穴そのものを攻撃し、破壊して、全てが治まるはずだった。

油断は無かった。

ただ、どうしようもなく、敵は圧倒的だった。

消えた黒い穴は再び地獄の釜を開けるように開き、内側から溢れ出る砲弾の嵐が全てを飲み込んだ。

上空への退避すら三人の巫女は出来なかった。

ただ、己の竜と全ての力を使って、逃がしてくれた。

巫女不在の壊れかけた空の竜に運ばれて助かった。

何もかもがまるで夢のような出来事。

悪夢にすらならない事実。

それからの全てを記憶している。

頭を使えるだけ使って準備をした。

答えは一つしかなかった。

一人で助けに行く。

それが阻まれる事も全ては想定の内。

だから、こんな状況だろうとも己を全て管理出来た。

喚き散らして何になる。

現実を悲観して何になる。

誰もが自殺しに行くようなものだと止めるのは解っていた。

可能性は殆ど無いからと、そう理解したからと、止められるわけもない。

殆ど自殺しに行くようなものだろう。

それでも行かずにいるという選択肢なんて無い。

全てに絶望するのも全てに諦観するのも死ぬ間際でいい。

一つ思いがあるとすれば、三人の少女達に出来る事を全てしてやりたい。

それだけだ。

もはや生きているか死んでいるかすら問題ではない。

絶望すらも朽ち果てて、その先の今だから。

臥塔賢知は主人公のように絶望からなんて這い上がらない。

苦悩して沈む事もない。

あるがままを受け入れず、あるがままを認めず、子供よりも我侭に己の夢を見るだけだ。

縋るのではない。

取り繕うのでもない。

己の真実を決して曲げずに生きるだけだ。

三人の少女は絶対に生きていて、自分はそれを救う事が出来ると。

「・・・・・・」

ノックの音に腰を浮かせる。

「誰だ」

【そのまま聞いて頂戴。現在、全てのバンドが総出で各街の周囲を防衛しているわ。それでも狂乱の起こる速度が速すぎるの。彼方が竜の巣に向かう前に事前の勧告を出してくれたおかげで確認が取れている限り、民間人の被害は最小限以下になっているけれど、連絡が取れる街の何処もそう長くは持たない】

頭の禿げた老婆の声。

空の奉審官すらも現状が厳しいと解っているらしい。

【大巫女の多くが貴女の案を頼っている状態よ。もし、貴女という頭を失えば、臨機応援な対応が出来なくなった街の多くは一日も持たずに陥落するでしょう。それでも貴女はあの子達を探しに行くつもりかしら?】

「甘えるんじゃない。そう連中には言っておけ」

【納得出来ない話だわ】

「オレは責任なんて取らない。オレはただの巫女の紐だ。オレなんかに頼るより自分の可能性に賭けろ」

【随分と無責任な発言だわ。でも、そうね。そうしようかしら。だって、賢者に頼り切りじゃ情けないもの】

「それで用意は出来たか?」

【ええ。次の大狂乱は一日後、場所は此処から空の竜で一日くらいの場所よ。たぶん、これが防げなければ、この地域全体が呑まれるわ】

「ご都合主義極まれり、だな」

【貴女に死に場所を用意してる誰かさんがいるのかしら?】

「さぁ? もしそういうのがいたら殴ってこよう」

【空の竜に関してはウチも数が厳しい。だから、新入りを一人だけ。これ以上の譲歩は出来ないわ】

「十分だ。それでそいつには?」

【ちゃんと言っておいたわ。本人はやる気みたい。貴女と巫女様達を必ず今度は乗せて帰るんだって意気込んでいたけれど】

「この間の奴か」

【どうしてウチには貴女が嫌いな子がいないのかしら?】

「オレが知るか」

【鍵は開けておくわ。次の巡回は一刻後。空の竜の着陸場に待たせておけるのは夕方までよ】

「・・・感謝する」

ドア越しの老婆は何も答えず、足音だけが遠ざかっていく。

それから手早く支度を整えて、服を脱ぐ。

指輪を体から抜いた。

すぐに体に変化が齎され、本来の姿が戻ってくる。

予め部屋に用意しておいた学ランと外套を着込み外に出た。

早足に廊下を抜け、最短のルートで建物から出る。

街の中心地は今は殆どが他の街や地域から避難してきたアウタスの張る幕屋で埋まっていた。

配給を貰おうと並ぶ群衆に紛れて、街の外へと向かおうとした時だった。

鐘が狂ったように打ち鳴らされ始める。

今までの静けさが破られた。

動揺する人間が慌しく動き出す前に群集から抜け出そうとして、自分が通ってきた背後から複数の気配を感じて振り返る。

自警団の男達が数十人建物内から出てこようとしていた。

もう気付かれたらしい。

防衛網の網から竜が抜けてきた合図である鐘と自警団の男達の登場が人の波に大きな波紋を作った。

街のあらゆる場所から街の中心部へと人の流入が始まる。

メインストリートを埋め尽くすように増えていく人垣から横道に逸れるようにして歩みを進める。

それでもやはり人の流れに逆らって進むのは骨が折れた。

歩みは鈍る。

空は傾き始めている。

不意に何かが落ちる音がした。

上空からの落下物。

音速を超えない何か。

火事というキーワードが連想ゲームよろしく顔を引き攣らせた。

「まさか」

上を見上げる。

ほぼ同時、街のあちこちで火の手が上がった。

焼夷弾。

単語が思い浮かぶよりも先に空の上に光る機影を幾つも見つけた。

(B-29か?!)

道を急ぐ。

街のあちこちから人の悲鳴が上がる。

大勢の人間が中央に向かって走ってゆく。

それでも死者が出ていないのは避難誘導経路と避難の事前訓練に寄るところが大きい。

気は急いていても、誰もが避難指示に大人しく従っていた。

逃げる群集の流れから離れつつ、火の手の上がった路地を避けて進む。

やがて、完全に進む路地からは人気が消えた。

走り出すと至る場所で轟音と火の粉が舞っている光景ばかりが目に入る。

轟音そのものは火事で焼けた建物が崩れる音ではない。

火事中心から一定の距離にある建物を破壊する事で火事を食い止める手法。

防衛バンドが機能している証拠だった。

門が見える場所まで出る。

煙が酷い。

そのまま駆け抜けようとした時、気付いた。

【何方かいませんか!!】

声の主が煙だらけの路地から出てくるところだった。

濡れた布を口元に巻いた女。

ディリカ・ハルメルは相も変わらず自分の身の危険を冒して取り残された人間がいないか駆け回っているらしい。

「逃げ遅れたのですか!? こちらです!!」

視線がこちらを向いた。

大急ぎでやってくる姿に背を向ける。

「・・・・・・」

「何処か怪我をしたのならば言ってください!!」

煙で視界が悪いことに感謝する。

「いえ、これから向かう場所があるのでこれで。貴女こそ早く避難を」

取り繕って歩き出そうとしたら腕を掴まれた。

「何を言って?! 外はもう竜で溢れて巫女でも危険な状態です!!」

「好きな人が戦場で戦ってるもので」

「な?! それなら尚更生き残る努力をするべきです!!」

一度だけと決めて振り返る。

「もう大切な人を見殺しにはしない」

「貴方は・・・?!」

「それじゃあ、【母上】」

「――――――」

腕を振り切って走る。

声は掛からなかった。

(自制が足りないなオレ)

門の扉は閉められている。

しかし、連絡要員の行き来の為に横の通路は確保されている。

門の横の通路を通り抜けた。

途端、至近弾。

砲撃が二十メートル先の壁へと激突した。

壁伝いに走る。

衝撃にふらついた体に力を入れる。

空を見れば竜が入り乱れ大空中戦を演じていた。

落ちていく空の竜は味方の者なのか敵の物なのか。

どちらにしても時間は無さそうだった。

壁伝いに走って数分。

ようやく着陸場が見えてくる。

至る場所に炎が凝り、砲弾による穴が開いていた。

周辺を固めているのは地の竜と空の竜の待機部隊。

竜達の戦いの中でもギリギリまで投入されない予備戦力として、竜にこそ乗っていたが動かずにいる。

周辺の被害が比較的軽微なのは巫女達の竜を動かさずに使う力の発動故。

殆どの巫女が焦れている。

(後は此処を切り抜けるだけか)

そう油断したからか。

発砲されたと気付いた時には遅かった。

衝撃に体ごと倒れ込んでいた。

竜の攻撃では無かった。

そんなものが当たれば即死している。

当たったのは一発の弾丸。

肩の端を弾丸が削った痕から血が滴り落ちる。

軽症。

止血すれば問題はない。

何とか立ち上がった。

「誰だ何て聞くだけ野暮か」

竜に乗り待機する巫女達の間から歩いてくる姿が予想通り過ぎて笑いすら起こらない。

ラクォル・アルウェン・ディレク。

久しぶりに猛禽類の顔をした馴染みの副官。

「よく解ったな」

見間違うものか。

顔にはそう書いてある。

「それでオレをどうするつもりだ?」

何も言わずとも全ては読める。

言葉にするなら簡単だ。


―――この状況を打破する為の頭脳として働け。


「オレはちなみにもう働くのに飽きた。あいつらを向かえに行く以外で何かするつもりはない」


―――そんな貴様の事情など知った事ではない。


「オレの人生はオレのものだ。死に際くらい選ぶ権利はある」


―――そんな事を言う資格があるわけもない。


―――何故なら貴様は上に立つ人間だからだ。


との拳での返答。


「貴様は死ぬべきではない!」

殴った手で胸元を掴まれ引きずり起こされる。

「貴様に命を預けた誰もが戦っている!!! 貴様のそんな勝手が許されるわけあるかと!!!!」

手に篭る力は震えている。

怒りを向けられているはずなのに泣いている子供を相手にしているような罰の悪さ。

「死ぬなガトウケンジッッッ、生きて償え!!」

涙は無い。

「お願いだから、死ぬな・・・」

崩れた猛禽類の顔は何故か今まで見た顔のどれとも合致しない。

「・・・・・・」

手を振り払う。

歩き出せば、銃が構えられる音。

「止まれ」

止まらない。

「止まれ!」

止まれるわけがない。

「止まれ!!」

止まるわけにはいかない。

どんなに哀願されようと止まる理由がない。

銃声。

「ぅ、ぅああああああああああああ!!!」

連続する発砲音。

しかし、一発も当たらない。

当たるわけがない。

何故ならば、後ろにいるのは、

「ラクォル。必要に応じて臨機応変に対応しろ。死にそうになったらさっさと逃げろ」

「・・・ぅ・・・ぅく・・・ぅ・・・」

信頼に値する一人ラクォル・アルウェン・ディレクだからだ。

一人の巫女が待機中の部隊から進み出て来る。

何も言わずに先導されるまま竜に乗る。

オスプレイ。

落ちる事を宿命付けられたような皮肉が如何にも自分に似つかわしくて、一度だけ振り返る。

崩れ落ちたまま震えるラクォルに待機中の巫女達が任務そっちのけで群がっていた。

抱きしめる者あり。

慰める者あり。

支え立たせる者あり。

「包帯あるか?」

「はい。竜に常備してあるものが」

「これからよろしく頼む」

「いえ、女を泣かせる輩にはよろしく出来ません」

返された冷静な声に「それもそうだ」と笑ってしまう。

「なら、行くぞ。文句は今の内に言っておけ。死んだら人間どんな文句も言えない」

竜の中へ伴われながら横を見る。

「では、一つだけ」

未だ幼さの残る巫女が笑っていた。

「貴方は大馬鹿野郎です。大賢者ガトウケンジ」

「ああ、自覚はある」

竜の中に腰を下ろすと巫女から一通の封筒を渡される。

「これは?」

「巫女と名乗る者達全員からの餞別です」

そのまま竜を飛行させる為に去っていく背中が操縦席側に消えていく。

どうやら外に出て動かさず、いつでも守れる中にいてくれるらしい。

機体が滑り出したのか。

一瞬の浮遊感が体を包む。

封筒の蝋を剥がすと中からギッシリと紙の束が出てくる。

近頃すっかり詳しくなったバルトメイラの文字がビッシリと書き込まれていた。

【さようなら】【また、会おう】【死ぬんじゃないよ】【死んでも救ってこい】

【この馬鹿が】【泣かせるだけが能なのかしら】【ちょっとは常識というものを知れ】

【巫女様を必ず助けてください】【この恨みを晴らすまで死ぬな】

【紐なら女に優しくしろ】【待ってる】etcetcetcetc。

何枚も何枚も代わり映えのしないエールが詰め込まれている。

「・・・・・・」

最後の一枚を読む。

その紙には簡単な一行だけ。


――――――――――――――。


手が(かじか)んだように鈍くなる。

溜息が漏れた。

「了解」

しばらく、そのままでいた。

不意に指にインクが付いている事に気付く。

最後の一枚の裏を見る。

「――――――」

そこにはまるで家訓のような箇条書きで手順が書かれていた。

巫女は死後すらも巫女であらねばならない。

巫女という力を誰にも悪用させぬ為に。

それはつまり巫女の知識技能は秘匿されているという事。

巫女達にとっての最大の禁忌は巫女としての力をどう得るのかという一点に尽きる。

普通の巫女よりも上に立つような立場になっても、そういった巫女の基本的な部分での知識は得られなかった。

他の街長や多くの者と連携する事が多くなってすら、巫女の力の秘密は守られていた。

筆跡なんて見れば解る。

少しだけ崩れた字がどういう心情で書かれたものなのかも。

「・・・感謝する」

もう手紙は霞んで見えなかった。



お姉様の部屋には誰もいなかった。

落ち着いた気分で夢のような日々を振り返る。

出会いは偶然。

誰かが描いた物語のように出来すぎた話かもしれない。

偶然に出会って、必然のように恋をした。

恋、そう言っていいのか。

本当は自分でもよく解らない。

ただ、共に語り合う内に存在はとても大きくなっていた。

何故なのか。

初めて母以外の他人に甘えられた。

共に街に繰り出して、たまに笑いながら下らない話をする。

それだけで満たされていた。

ラクォル様とお姉様が巫女様達と夜会に出かけた日。

寂しくて、こっそり付いていった。

そこで見た光景は今も忘れられない。

門番に見咎められながらも巫女様達に救われて中に入れた。

まるで別世界。

そんな只中で変わらない人がいた。

多くの視線を受けながら踊る少女。

商人達に囲まれて尚その芯を揺るがせない姿。

自分とは違う世界に生きている。

そう、感じた。

出会ってからというもの、その人の傍で多くのものを見た。

大勢の巫女様達の治療に当たるといつも多くの愚痴を聞かされた。

曰く、この調子では朝日が拝めない。

曰く、賢者なんて嘘っぽい。

愚痴も悪口も罵倒も全て聞いた気がする。

それでも巫女様達の多くが罵倒の後、真剣な顔で賢者を見ていた事を知ってる。

「・・・・・・」

街のあちこちから火の手が見えた。

自分が要るべき場所へ向かう。

街のあちこちで消火活動が行われていた。

誰もが守る為必死だった。

男達は女子供の誘導避難。

女達は最前線へ送る料理や消火の水汲み。

炎が上がる区画の脇を通り抜け外に向かう。

外壁の外は煙で曇っていた。

討ち果たされた竜達の残骸から上がる火と煙。

空の竜を着陸させる施設に程近い場所。

そこが医術師の幕屋だった。

幕屋の横には大きな空の竜が鎮座して、中から多くの巫女を運び出している。

人手が足りない。

幕屋の中に進む。

後から後から患者が運ばれてくる。

幕屋を覗けば医術師の誰もが走り回っていた。

血に濡れた手で外傷の縫合を行う場では麻酔の効きも確かめていられない。

呻き声と叫び声。

「ただいま戻りました。歳の近い巫女様方からどうぞ」

治療を始める。

自分にしか出来ない事は一つ。

未だ歳若い巫女達、男に肌を見せるのを躊躇うような歳の巫女を治療する事。

患者は待ってくれない。

片っ端から治療を進める。

骨折などは筋肉の一部を割いて内圧を下げ、止血。

火傷は運ばれてくる水の巫女達の力を借りて、冷やしつつ薬を塗って包帯。

内臓をやってしまった者を正確に判断し、切るのが得意な医師のいる一角に回す。

血飛沫が舞う。

治療が終わり、薬で一時的に痛みを誤魔化した患者が苦しみ出す。

薬品と量を間違えないよう処方して次へ。

比較的軽症な巫女にはそれぞれの力で重傷者の治療の手伝いをしてもらう。

血の竜の巫女が土を動かし患者を運ぶ。

水の竜の巫女が火傷を冷やし、血流の操作を行う。

空の竜の巫女が患部の固定や血管を圧迫して止血する。

どれもこれも巫女の力を治療に生かせるようにと事前に教本を訓練させた結果だった。

どれだけ先を見越していたのか。

巫女の誰もが自分達の力で助かろうとしている。

医術師の誰も考えなかった治療の補助は医術師では手が届かなかった命を掬い上げる。

夜になっても患者は途切れなかった。

交代制で一時間。

仮眠を取ったら治療に戻る。

治療記録の引継ぎと前線からの報告による患者の容態と処置の事前準備。

容態の安定した患者の監視。

仮眠の時間が過ぎる。

廃棄物を置く場を横切れば、血に濡れた包帯と手袋、薬のビンと白衣の山。

近しい歳の巫女の誰もが気を失って運ばれてくる。

止血、消毒、麻酔、縫合、止血、消毒、麻酔、縫合、止血、消毒、麻酔、縫合、止血、消毒、麻酔、縫合、

止血、消毒、麻酔、縫合、止血、消毒、麻酔、縫合、止血、消毒、麻酔、縫合、止血、消毒、麻酔、縫合、

止血、消毒、麻酔、縫合、止血、消毒、麻酔、縫合、止血、消毒、麻酔、縫合、止血、消毒、麻酔、縫合、

止血、消毒、麻酔、縫合、止血、消毒、麻酔、縫合、止血、消毒、麻酔、縫合、止―――――――。

途切れる事のない連鎖。

自分が起きているのか寝ているのか感覚はもう無くなっていた。

次々に患者が運ばれてくる。

止血の度に叫びが上がる。

消毒の度に泣き声が響く。

でも、嘆きは一つも見当たらない。

痛みに上がる叫びは生まれたばかりの赤子の声。

耐え続ける呻き声は産みの苦しみとも聞こえる。

声に混じるのは希望。

生きているから。

生きなければならないと歯を食い縛るから。

(お姉様。どうか生きて帰ってきてください)

次の患者に振り返れば両腕が肘の先から消えていた。

「前線に出られ・・・るよう・・・縫合と消毒を・・・」

「――――はい。麻酔は?」

「少量で。寝ながら・・・指揮をするわけにも・・・いかないでありましょうや」

「では、始めます」

歯を食い縛った。

自らの足で歩いてきた人を決して死なせない為に。

命は続く。

続けてみせる。

それが医術師を目指した自分に出来るたった一つの事だ。



彼は歌う。

裾を翻して走り続ける少女の詩を。

彼は歌う。

嘆く者も無く消えていく少女の詩を。

彼は歌う。

畳んだ翼で待ち侘びる少女の詩を。

彼は歌う。

傾いだ塔で嗤い続ける少年の詩を。

「♪」

気紛れに続く恋歌は酷く楽しげな音色をしている。

内容を聞けば、それはとても凄惨で哀しい。

それなのに心底に音色は明るい。

彼は歌う。

失ったから出会うのだと。

涙するから優しいのだと。

敵わないから戦うのだと。

果てた先で見つけたのだと。

「♪」

音色にはただ一つが込められている。

それは勇気ではない。

それは希望ではない。

それは諦観ではない。

それは絶望ではない。

込められているのはただ一つ、決意のみ。

声が止んで、彼が立ち上がる。

外を眺めながら、彼は至極冷静な瞳でいた。

やがて、目標地点へと差し掛かる。

彼は真っ直ぐな瞳で、嗤う事すら止めて、こちらに胸に腕を当てる礼を取り、空へと踏み出した。

同じように胸に腕を当て、見送る。

彼と同じように決意する。

生きて帰り、必ず向かえる為に。

竜の翼がもう襤褸布のようだとしても。

「大賢者ガトウケンジ」

己の道を往く姿。

背中が語った全てを覚えていよう。

彼の生き様を決して忘れたくないから。

「私は最後まで諦めません」

竜が綻び、崩壊した。

空を駆けながら、落ちていく背中は見なかった。


―――――――斯くて男は伝説となる。



瞳を閉じている。

脳裏には今までの記憶。

自分が覚えている限りの記憶。

我が人生なんて偉そうな事も言えない些細な記憶。

走馬灯なんて大そうなものではない。

思い出を反芻しているのでもない。

確認を怠りたくないからこその行為。

これからの行動の全てを後悔しない為に。

こうしておけばよかったなんて思わない為に。

己の全てを注ぎ込んで確認する。

三人を救うに足る方法があるか。

手がかりとなる情報はあるか。

原因と結果。

その間の道程。

因果という一線を思い描く。

ストーリーの概観。

フラグの管理。

選択肢の算出。

イベントの進行速度。

エンディングの予測。

ある程度のパターンは絞られる。

【お約束】は生きていると考えるのが妥当。

この状況下でのストーリーラインと類似する資料は脳裏に七点。

全滅の可能性は低い。

誰が生き残るかの選択肢を迫られる可能性はある。

解りやすい【敵】の出現確率は高い。

物語の中核へ触れる可能性が大。

問題は・・・。

(オレが何処まで食い下がれるか)

「予定地点まで後二分です」

随分と風通しのよくなった機体内部で立ち上がる。

暴風に晒されながら、機体の一部を掴んでいた腕を放す。

開いているというよりもう無いドアの先。

眼下に見えるのは黒い大地。

湧き上がる竜に埋め尽くされた世界。

その中心点が見える。

巨大な黒い穴。

地の底、死の世界へと繋がっていそうな、物語にありがちな場所。

横を見ると少女に心配そうな顔で見られていた。

胸に腕を当て礼を取って、外へと飛び出す。

掴んでいた手紙の束が空に零れていく。

「――――――」

竜を得る方法は二つ。

譲り受けて自らの血で洗礼するか。

己で竜を見つけて洗礼を施すか。

己の竜を見つける際には感覚を研ぎ澄まし、自らの決意を揺らがせてはならない。

竜は決意ある者の前に姿を現す。

最後に零れた紙の一節を反芻する。

【竜を真に望む者には等しく応えが返る】

最大の秘密は思っていたよりも単純で何より秘密に相応しい話。

男が竜を持つ。

それは手軽な世界の破滅方法だろう。

争いの絶えない世界と化すのは目に見えている。

「まったく」

呆れようとした矢先だった。

轟音。

地を埋め尽くす黒が何か知る。

自走砲の群れだった。

音速を超えた何かが無数に体を掠めていく。

衝撃に煽られ、落下コースがズレる。

肩が猛烈に痛み出す。

回転しながら死んでいるのか生きているのかも解らない。

死んだ方が楽な状況。

(それでもオレは)

進まなければならない。

それが例え泥水の中でも、冷たいコンクリートの上でも、荒れた野の最中だろうと。

進み続ける限り、物語は結末を求めるのだから。

己の望んだ結末は決して少女達が消えた世界ではないのだから。


手を伸ばす。


それは誰かに差し伸べる想いの形。


手を伸ばす。


それは掴み取り、繋ぐ為の行為。


凪ぎ続ける現実リアルに描かれなかった未来を、変り続ける幻想ファンタジーに描かれた過去を、己の今を持って清算しよう。


手を伸ばす。


――――――――――――――――――現実と幻想の境界を打破し、新たな結末を手にする為に。


掴んだ先に冷たい鋼の感触を得て、風に解かれる包帯。


流される逆向きの血が空へと注がれ、それは現れる。


虚空より出でるのは鋼の竜達。


咆哮。


地の竜。


ドーラ列車砲。


水の竜。


大和。


空の竜。


心神。


心の何処かで感じていた。

もしも、自分のような人間に応える竜がいるならば、その三体以外にないだろうと。


風の中、空の竜の上に立つ。

左右に展開する地の竜と水の竜へ送る命令はただ一つ。

突破せよ。

地上に空いた竜の巣。

何処とも知れない闇に飲まれた地の奥底、三人の少女達がいる場所へ。

【轟】

吼え猛る光の本流が砲口から溢れ出し、無数の竜を消滅させ孔を創り出す。

音速を超え、更なる壁を突破し、竜に埋め尽くされるより早く孔を抜ける。

他の全てが流線型の光と化して流れ去る。

しかし、認識している。

孔の中で待ち受ける竜達の偉容。

終わりの見えない闇の先、その数は兆を越えて尚止まる事を知らず。

砲口の数は無限と比し有限。

無間にも思える絶大の一斉射。

砲弾の【壁】が迫るが、如何なる躊躇もなく突撃を掛ける。

遅れてやってくる二匹からの支援砲撃が目前の砲弾を爆裂拭き散らし退けていく。

持って十秒。

無数の砲弾に鉄屑へと変えられていく二匹の最後の一撃が道を開き、刹那抜ける。

竜達の先、球形の光に包まれて、三人がいた。

「行けぇええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」

空の竜で突き抜け続けた空間の全てを従えた『避空』内部の風を数千メートルへと圧縮。

背後に伸びた輝く【剣】を一気に手前に持ってきて開放した。

少女達の眼前に立ち塞がる竜達に一瞬の静寂。

未だ自らが溶かし割られた事に気付かぬ戦艦の群れの【間】に突っ込む。

上下の間が完全に閉じた時、竜達を通り抜け、『避空』による擦れ違い様の圧着で球体を確保。

輝く球体を引き連れて、竜達の爆発より先に元来た道を引き返す。

追い縋る砲弾の網を掻い潜り、【外】に続く孔へ。

被弾。

被弾被弾。

被弾被弾被弾。

被弾被弾被弾被弾。

被弾被弾被弾被弾被弾。

被弾被弾被弾被弾被弾被弾。

球体だけには当たらないよう避けながら翼が火を噴くとも加速し続ける。

後四百メートル。

三百メートル。

二百。

百。

十。

五。

四。

三。

二。

一。

―――――抜ける。

闇からの脱出。

同時に巣を形作っていた地上の闇が霧散する。

「ッッッ」

機体の崩壊。

巣が閉じたにも関わらず地上は竜に埋め尽くされていた。

向けられる砲口。

球体を庇う位置に機体を移動。

逃げるだけの余力も時間も有りはしなかった。

腕を広げる。

例え、この身が砕けようと構いはしない。

少女達は重症さえ負わなければ、助かる可能性がある。

後ろを振り返りはしない。

頭部一つで弾丸を逸らせるかもしれないのなら当たる面積は多い方がいい。

「生きろ」


それが臥塔賢知の希だ。


「賢者! ほら、今日も良い天気だよ!!」

「ガトウ。お弁当広げるから手伝って」

「貴様。ちょっとは反応したらどうだ。まったく・・・」

風が吹き抜けていく草原で弁当を広げながら昼食。

陽の温かさに酔いながら三人の姿を見つめる。

「・・・・・・」

あの日、死を覚悟した日。

結局、誰も死ななかった。

砲撃の音と共に砕け散ったのは自分の五体ではなく竜だった。

避空によって空を漂わされた目に映ったのは人が乗った無数の竜達。

竜の巣周辺に展開していたバンドの巫女達だった。

複数のバンドが展開されていたらしく、空があっという間にバンドの竜で埋め尽くされた。

空の竜のバンドを率い中核を成していたのはフェノグラシア。

フェルフラムが在籍していたバンドだった。

結局のところ一人では誰も守れはしなかった。

数の暴力はいつだって最強。

地の竜は遠距離からの砲撃と上空からの爆撃で壊滅。

壮絶な暴力は更なる暴力で解決されてしまった。

「あ~~あ~~最後まで格好の付かない」

自分に出来る事はたかが知れている。

主人公にはなれない。

そうは自覚していても拗ねずにはいられない。

「貴様は格好など付けなくともいい。貴様はそんな柄ではないだろう?」

左隣に腰を下ろしたフェルフラムが呆れた様子で笑う。

「ガトウは格好なんて付けなくても格好いい」

右隣に腰を下ろしたテオが恥ずかしげもなく言う。

「賢者はこれからもそのままでいて欲しいな。あたし」

背中から首筋に抱き付きながらユネルの手が静かに頭を撫でてくる。

「オレが格好付かないとお前達の方が大変になるぞ」

「「「?」」」

「オレはお前達が好きだ。誰が一番か訊かれれば答もする。でも、お前達の誰一人、オレは・・・・突き離したくない。優柔不断だと思う。誠実さなんて欠片もない。だが、それでもオレはずっと傍に居て欲しい」

「賢者・・・」

「ガトウ・・・」

「ケンジ・・・」

「こんなのはオレの傲慢だと分かってる。お前達が呆れるぐらい馬鹿な事を言ってる自覚はある。それでも今回の事で解った。誰一人欠けてもオレは嫌だ。許してくれとは言わない。苦しませて悪い・・・オレは・・・お前達がいないと・・・駄目だ・・・」

涙なんてただの塩水だ。

でも、人が流す塩水だ。

何よりも尊く、何よりも醜い、そうどちらにも為りえる。

不安なのは見捨てられる事。

怖いのは見放されてしまう事。

涙なんてただの塩水と言える胸が痛み強張る。

「賢者の馬鹿」

「ガトウ。馬鹿?」

「貴様は馬鹿だ」

顔を上げれば、三人の少女達が笑っていた。

「今更だよ。賢者」

「そう。ガトウ今更」

「今更過ぎて馬鹿過ぎるな」

「――――――」

草原の中、風が吹く。

少女達に押し倒される。

「そんな賢者だから、凄く真剣にあたし達の事を考えてくれる賢者だから、あたしは賢者が好きなんだよ?」

「ガトウ。ガトウが嫌だって言ったって、他の誰かを選んだって、私の想いは変わらない」

「貴様が騙るならば信じる。それが貴様と自分の未来だと言うならば、信じぬ理由など何もない」

「・・・オレ・・・は・・・・」

もう視界の全てがぼやけて見えなかった。

「賢者。目瞑って」

ユネルに言われるまま目を瞑る。

「開けちゃダメだからね?」

そのままにしていると軽い感触がした。

続けざまに三回。

思わず目を開ければ誰もが少し照れた様子だった。

「誰が最初かなんて関係ないよ。あたしは賢者と一緒にいたい。テオもフェルフラムも、ね?」

「みんな一緒。これからもずっと・・・」

「貴様が選ぶのではなく、自分達が貴様を選んだ。それだけの事だろう?」

少女達の笑みにただ己の拙さを知―――。


―――随分と都合の良い世界だな?


嗤えば世界は砕け散る。

背景はまるで舞台のセットのような安っぽさ。

いつものアレだ。

死に掛ける度に見るアレ。

その先にある白い空白で揺蕩いながら、理性に従って誰かの【世界シナリオ】を握り砕く。

【キンコンカンコーン】

そんな声が聞こえた。

どうやら、いつもとは違う趣向になるらしい。

【ただいまより本日最後の作品を上映いたします】

【何方も何方も何卒最後までお付き合いくださいませ】

【プカプカドンドンパフパフ】

【さて、本日はお日柄もよく。え? そんなの訊いてない?】

【しょうがない。それでは早速本題に入らせて頂きましょう】

【これはつまりアレです。悪い悪い夢です】

【夢なのだから文句も抗議も受け付けません】

【故に干渉出来ず、儚い一幕の間とでも思ってくださいませ】

【とりあえず、そこの貴方】

【このバルトメイラについてお知りになりたくありませんか?】

【ははぁん? どうやら興味があるご様子。では、一から十までご説明さしあげようじゃあ~~りませんか】

いつの間にか空白にはテレビが一台。

大昔に存在したらしいガチャガチャと回すダイアル式な代物。

何と言うか。

人を馬鹿にしていた。

テレビ番組の内容は何故か劇場の舞台を映し出すというもの。

ギリギリと綱が引かれ舞台の幕が上がる。

無駄に白黒な画面の中、人形劇の幕が上がる。

【えーと、昔々まだ地球が出来ていなかった頃、え? それでは最初から過ぎる? あ、はい。では色々端折りますが、昔々あるところに一人の人類がおりましたとさ】

【その人類は初めて夢を見ましたとさ】

【いつしか夢は人と人を繋ぎ未来を生み出す原動力になっていましたとさ】

【あーイイハナシだな~~~~~】

「・・・・・・」

【お終い。ちょ、そんな顔で見ないでください?! 誰だって端折るとこんな感じですから!!】

「・・・・・・」

【それじゃ、少しだけ真面目に話しますね】

人形が夢を見せろというプラカードを持って行進する劇の中にいきなり手が一つ入ってくる。

人形を退けると手が上から更に人形を幾つか投下する。

それぞれの人形にはABCなどと英語が振られていた。

【嘗て人類の始祖はその夜明けと共に夢から醒めた事を嘆き悲しんだ】

【人類の始祖は思っていた。こんなにも素晴らしい夢を誰もが見られればいいのに】

【人間はそれ以降夢を見るようになる】

【人類が広がるに連れ、夢というものを見る人間は増えていく】

【いつの間にか夢を見る事が出来る人間で世の中は溢れかえるようになる】

【誰もが幻想に酔い痴れていた】

【夢、それは脳が情報を整理している間に起こる現象? それとも幻想世界への扉? いやいや、実はそれはDNAに刻まれてしまっている人類の宝なのかもしれない】

「安っぽいナレーションだな。せめてプロ○ェクトX並みの感動的語り口にしたらどうだ?」

【人類には夢がある。それは楽園と呼ばれる夢だった】

【人類には夢がある。それは世界の変容と共に変質する】

【人類の夢には楽園がある。それは時と共に世界へと遍在し神の如く在る】

【人類が生み出した楽園には禁断の果実が無い。だが、楽園が楽園足りえるには変化が必要だ】

【それは既知を塗り変えるものでなければならない】

【それは不変を否定するものでなければならない】

【人が飽きる生き物である以上、世界は変化という刺激無くして外連味無くして成り立ちはしないのだ】

【だから、楽園は禁断の果実を招き入れている】

【しかし、それが悪徳の果実に為りえてはならない】

【人は貪欲なる獣だ】

人形の幾つかが狼へ変貌する。

【毒と薬は紙一重】

【果実を貪り過ぎた獣は毒に侵され、やがて楽園を下界へと貶める】

【楽園を貶めるは人の原罪であり、人の心】

【だから、自在する楽園は自らを保つ為、招き入れた果実を自らの手で追放している】

【これは荒唐無稽な御伽噺】

【人が夢に見た楽園が楽園である為に地獄を生み出す理由】

【無論、地獄もまた物語を形作る為には必要な外連味と言えるだろう】

【世界はこのように回されているのだ】

狼の群れが間引かれた。

後には元からいる夢を見せろのプラカードを持った人形のみ。


溜息を吐く。


核心というにはあまりにもお粗末な展開に怒りすら感じられない。

「貴様がこのバルトメイラの神か運命か知らないが、オレがあんな終わり方を望むと思うのか?」

【あれもまた可能性の一つ。生き残った君が辿り着けるかもしれない世界の物語だ】

「まぁ、それはいい。で、いつものあいつはどうした?」

【彼女はそもそもがイレギュラーだ】

「何だと?」

【いるはずも筈も無い存在。バルトメイラにおいて消え去ったはずの少女。本来ならば世界へと還元されるはずの因子が何故か残った。この空白に・・・】

「死んだのか?」

【イレギュラーは修正される。世界のホメオスタシスが彼女のような存在を許さない】

「恒常性・・・ね。貴様は此処を楽園だと言ったが、此処は楽園には程遠いようだな」

【誰にとっての楽園かによるだろう。彼女にとっての楽園ではなかっただけではないかな】

「そんな御託で騙られる楽園なんぞクソ喰らえだ」

【楽園とは気付かず知らない事を意味する場合を含む】

「誰かの犠牲の上に成り立っているのも外連味、物語の味付けか?」

嗤えば答はまったく悪びれもせずに返される。

【戦争、貧困、病、人類が戦わねばならないものがこの世界にはない】

「その代わりが竜か? 随分と安い代償だと言いたいのか?」

【安くはある。高くはない】

「この世界には大袈裟な争いも際限の無い貧しさも治せない病も無いかもしれないが致命的なものが欠けてる」

【?】

「それが何だか解らないなら此処は楽園足りえない」

【・・・・・・】

「この世界には理想が足りない」

【何?】

「安っぽい。甘い。ふざけるんじゃない」

【!?】

「此処は造られた匂いに満ちてる南国のパラダイスみたいなもんだ。それは所詮夢の範疇にしか過ぎない。貴様が此処を楽園だと言い張るならば此処はパラダイスではなくユートピアであるべきはずだ。何処にもありはしない場所でなければならないはずだ。曖昧な夢ではなく一人一人の中にある確かな希望。何処かに置かれて出番を待ってる【お約束】じゃなく実現しようと努力する意思の具現。理想を持って作られるべきはずのものだ」

【ッ】

「オレは今まで此処が幻想ファンタジーだと思ってた。だが、心の何処かで微かに違和感を感じてもいた」

【それは・・・】

「その違和感の正体が今なら解る。それはバルトメイラの半端さだ。戦争も貧困も病もない世界? 竜や自分の戦うべきものと皆戦ってた。最低の貧困は無くともオレの母親は苦労して弟を育てた。病だって風邪ぐらいは引くんだろう? それの何処が完全な楽園だ? この世界のカラクリなんてオレは知らないが、一つだけオレは今断言する。このバルトメイラは楽園じゃない。この世界は現実リアルから陸続きの、ただの遊園地テーマパークだ」

白い空白が崩壊する。

バリバリとガラガラと全てが崩れ落ちていく。

自分が立っている場所は正しく東京だった。

御丁寧にもビルの群れが見える絶好の位置。

全てを見渡せる空の上。

「楽園ってのは人が己の理想を投影する世界だ。貴様が言った通り、誰にとっての楽園かは問題になる。だが、それだって人は共有してきたんじゃないのか? 理想を共有し、他者を理解し、譲り合い競い合い、それでも一人では生きられないから妥協して、己の世界を楽園たらしめようと努力してきたんじゃないのか? それなのに貴様は言ったな? 彼女にとっての楽園ではないと。地獄のようなシステムが外連味だと。楽園を楽園として機能させる為の犠牲なのだと。人は確かに愚かだ。自分で自分の首を絞め、地獄を生み出しもする。我儘でどうしようもない悲劇を作って懲りもしない。でも、それだけだと思うか? 本当にそれだけなのか? オレはそうは思わない。オレは所詮ただの中二病で不幸設定満載な少年Aだ。それでも幸せの意味くらい知ってる。幸せってのは家族が皆一緒に揃ってる事だ。一緒に飯を食って他愛ない話をする事だ。あいつが好きなのかとか親に訊かれて、照れながら笑って、いつか誰かを娶り、家族を増やし、守り抜いて、最後に笑って逝くことだ。変か? 青くさいか? でも、それがオレの幸せだ。そうだったら良かったと。オレが思う形だ。誰かと共有したいと望んだ理想だ」

【臥塔賢知は物語を望む人間ではなかったか?】

「オレの現実リアルは吐き気がする程酷かった。オレの父親は誰かから女を奪い取る馬鹿で、オレの母親は父親似なオレを心底に憎んで殺したがった馬鹿だ。オレは親と一緒に笑って飯を食った事なんてない。オレは他愛ない話なんてした事がない。物語に逃げ込んで周囲なんか顧みず耽溺した弱い弱いヲタクだ。でも、だからオレは知ってる。そんなクソ喰らえな現実リアルの中身を。オレをオレとして形作ってきたオレの矮小な世界の真実を。其処には何もなかった。其処に何か見出すのはいつだってオレ次第だった。それは見方の問題でしかなかった。オレが不幸だと決め付けるのはオレ自身の問題で現実リアルはいつだって本当はオレの中にあった」

【綺麗事だ。臥塔賢知は不幸で不幸で壊れただけかもしれない】

「オレが壊れてるなんてそんな今更な事否定する気もない。綺麗事大いに結構。オレはこのバルトメイラで大切なものを沢山拾った。きっと、オレはオレだからこのバルトメイラに来れた。そうだとすればオレは自分が壊れている事を肯定出来る」

【惚気を聞かされているのか?】

「良い機会だから最後まで聞け。オレにとってこのバルトメイラは楽園じゃない。だが、オレの楽園は此処にある。オレの大好きな連中の傍がオレにとっての楽園だ。あいつらがいるならオレの楽園は何処にだって存在するッッ!!」

【それが君の楽園だと言うのか?】

「ああ、何処にも無い場所は、此処にある」

胸に手を当てれば蘇る。

それはこの世界に来て少女達と共に駆け抜けた決して滅びぬ鮮烈なる記憶。

【ふ、くく、はは、はははははははははははははははははははははッッ】

おかしそうに、本当におかしそうに笑い声が響く。

【そうか・・・そうか・・・ならば、往くといい。君の楽園へ。君の望む世界へ】

天には大きな門。

地には現実世界。

【バルトメイラは変わらない。だが、君がいる楽園は変わっていくのだろう。大勢の理想を共有しながら・・・】

どちらに行くかなんて決まっている。

【私は君の楽園を見続けるとしよう】

「此処まで付き合ってやったんだ。あいつを返してもらおうか?」

【君が往く道の端にでも落ちているだろう】

「一応、感謝しておく」

【何、これは代償に過ぎない】

「代償?」

【この伽藍堂がらんどう昏龕こんがんの地を進む君への代償だ」

「こん、がん?」

【黄昏に照り映える棚。それは小さな神を納める場でもある】

「これは好奇心から訊くが、お前は一体何なんだ?」

【私は人類史上初めて夢を見た人間。今はもうこの世界に記憶されているだけの存在。始まりであり、全てを見送る者・・・バルトメイラが生まれた時から幾星霜・・・名すら無かった世界から現実リアルを見続けた私は何もなかったこの世界を楽園にしようと決意した。それは―――】

「長そうだからもう行くぞ」

【まぁ、そうだな。こんなつまらない話を聞くより早くあの娘達に会いに行ってやれ】

苦笑する声。

「最後に一つだけ。結局、どうしてオレの前に現れた」

【それは君が救い続けたからだ】

「オレは誰に何を救わされていた?」

【彼女に、あのどうしようもなく面白みに欠けた悲劇ストーリーを、だよ】

神様(あんた)が言ってれば世話ない」

天の扉が開く。

それは地上との永遠の別離かもしれないし、そうでないかもしれない。

どちらにしろ、しばしの別れは長くなるだろう。

振り返らずに歩く。

「そんなもんで良ければ、リオーレンの賢者が幾らでも書き直しておこう」


――――――――光が溢れた。


行ってしまった若者の強さに声は笑う。

「ああ、そうするといい。臥塔賢知・・・・バルトメイラの救世主・・・いや、彼女の言葉を借りるなら・・・終末の大賢者・・・か」

声が途絶えた後、朝日が昇り、眠っていた街は動き出した。



広い道のど真ん中で少女が一人泣いていた。

黒髪で、幼くて、白い布に巻かれた少女が一人。

まったく今までの出会いが嘘のように何もかもを曝け出してしまった少女が一人。

「あ・・・」

気付いて見上げてくる顔は愛らしく、自分が嗤っている時とは偉い違いだった。

ベチンと頭を一発はたく。

「な、何を!?」

「こっちのセリフだ。こんな端で何してる?」

「わ、私は・・・私は・・・もう、消されます・・・だから」

ベチンともう一発はたく。

「な、何を?!」

「同じ反応。うざい」

「う、うざ―――」

絶句する少女をもう一発はたこうかと思ったが止めておく。

「で、こんな所で泣いてる馬鹿を向かえに来たわけだが?」

「ば、馬鹿って?!」

「この世界の胡散臭い神様のお墨付きだ。此処から拾ってってやる」

「神様?!」

「お前が知ってるかどうかはどうでもいい。お前が何を知っているのかなんて更にどうでもいい。オレはあくまでミステリアスなちょっと顔が分からない相手にドキドキしながら、あ~~こいつに関して少しは真面目に考えなきゃな~~とか思っていたのであって、お前みたいなチンチクリンで謎の一つも無い餓鬼の心情を斟酌してやるつもりはない」

言い切って見下ろせば、あまりの出来事に金魚の口となった少女が何かを言い掛けては声にならない様子。

「貴方はアレに会ったんですか?」

何とか自分に関する無礼な態度をスルーして本題に入ったらしき少女に頷く。

「とりあえず思いきり悪態を付いて屁理屈を捏ねておいた。しばらくは五月蠅い運命も空気ぐらい読むだろう」

「それではこの世界の秘密を!?」

「バルトメイラが夢だって事か?」

コクンと頷く少女の顔を引き伸ばして遊ぶ。

「ひ?! ひゃめ、ひゃめて!?」

とりあえずデコピンをして解放する。

「さ、さっきから何でこんな、無礼です!!」

「五月蠅い黙れ。とりあえず知ったかぶりしたい事があるならさっさと吐け。構ってる暇が残ってるかも不明な時点でオレは道を急いでる」

「・・・それなら、御教えします」

怒りに震える声。

「このバルトメイラは夢そのものです。そして、この世界の住人は夢の住人。そしてアウタスと呼ばれる人々は全て例外なく」

何を訊かされるのかと内心で少し臆病になる。

「ただの幻です」

「どういう意味でだ?」

「現実世界から人間がこの世界に夢を介さず直接アクセスする事は出来ない。此処には本人そのものが入れない。此処は本人が生死を分ける刹那にその魂とでも言うべきモノを収集する。つまり」

「つまり、ここにいるのは本人そのものじゃない?」

「そういう事です。現実で生きているか死んでいるかは解らない。しかし、死ぬような目にあったからこそ、貴方は此処にいる」

「そうか」

「貴方は本人の虚像です。ただの収集された情報に過ぎない。この世界を回す為に連れてこられたアウタスはバルトメイラで現実では得られなかった充足オトシモノを得て、同時に多くの変化を齎して消えていく。ただ、それだけの存在・・・偽物に過ぎません」

何とも間の抜けた会話にやれやれと首を振る。

「偽物じゃ悪いのか?」

「え?」

「世界の秘密? オレが実はただの虚像? 馬鹿にするのも大概にしろ」

「全部、本当の事です」

その何も理解してない哀れな人間を見るような目付きに嗤いが止まらなくなる。

「理解してないようだから教えてやる。オレが本物だろうと偽物だろうとオレはどうでもいい」

「な?!」

「人間は眠る時死を迎え、朝日と共に生を受け起き上がる。その時、自分が偽物かどうかなんて気にする奴がいると思うか? 今、此処に、自分がいる。それだけだ」

「そんな?!」

「よく有り過ぎる話で欠伸が出る。自分がもう死んでいるなんてのはな。どっかの漫画かアニメで見飽きてる」

「貴方はそれでもいいと?!」

「オレは異世界に召喚された臥塔賢知十七歳。ユネルに惚れて、テオに惚れられて、フェルフラム何某と恋の戦争真っ最中の色呆けリア充一直線主人公様だ」

「―――――――」

「驚きの余り声も出ないか? そうだろうそうだろう。こんな幸せな奴、オレは他に知らない。ああ、本当にまったく馬鹿な話だ。そんな人間がその程度の真実でガタガタ抜かすと思うか? 思うなら脳外科にでも行ってこい」

「今、真面目な話をしているはずです?!」

「真面目も真面目。そうでなくてどうしてこんな事が言える。オレがただの虚像だからどうした。そんな事でオレがどうにかなるとでも? オレの人生は今現在幸せ過ぎて困ってる最中なんだが?」

「全ては幻だと言っています!!」

イラついた声。

生々しい人の声。

それは間違いなく誰の姿を模してもいない、ただの少女の声だった。

「世界なんてのは狭量なオレの価値観と限定され尽くした五感で知覚され認識される虚像でしかない。実体があろうとなかろうとオレにとってはどうでもいい。でも、そんな小さくて狭い自分の世界の為にオレは行動する。隣りで泣いてるあの子にアイラブユーと言ってやり、遠くの自殺願望ありありな奴に一緒に死のうぜと持ちかけ、空から降ってくる馬鹿を骨抜きにして、夢の中の相手に夢呼ばわりされながらどう現実ってやつを教えるか悩み続ける。それがオレの人生なんだろう」

「貴方は・・・」

愕然としている少女はやがてポツリと呟いた。

「馬鹿」

「馬鹿って言った方が馬鹿なんだと知れ」

「貴方は世界中の誰より馬鹿です」

「愛してると聞こえるな馬鹿」

「そうだと言ってます馬鹿」

「ああ、そうか。なら、行くぞ馬鹿」

手を差し出す。

「あ・・・」

「オレはまだお前の落し物を見つけてない。だから、お前も一緒に探せ。こうなれば三人も四人も一緒だ。オレは両手に花束くらい抱えてみせる」

「・・・馬鹿です。私は」

世界が塗り替わる。

広い道は消えて、ただ闇となった。

「この伽藍堂がらんどう昏龕こんがんの地で私はこの世界を知った気になって、貴方は私と同じ事を知ったはずなのに。私とは違った」

「いつだって事実は残酷で現実は儘為らなくて真実は無惨。そんなもんだ」

「貴方を収集したのは――」

そっと唇を塞ぐ。

「それでもお前はオレに選ばせてくれた。現実に帰る道をくれた。此処に帰る方法すらな。だから、オレはお前に感謝しかない。解ったか?」

人差し指の先で小さな口がモゴモゴと何かを呟くが聞こえない。

言葉を遮られて、少女は心底苦しげな瞳で見上げてくる。

指を離すと少女は泣いていた。

「謝らせてもくれないなんて彼方は厳しいです」

「それが生きるって事だと説教されたいなら、まずは此処から出る必要があるな」

「でも」

「言ったはずだ。お前を拾っていく」

「私はバルトメイラですらもう!」

「こんな場所に転がってるお前を拾うのは別に義務とか貸し借りだからじゃない」

少女の声は震えている。

「オレの希だ」

顔は見ない。

きっと、恥ずかしがり屋なのだろう事は解っていた。

顔を見せない理由が顔が無いからなんて、そんな風に思っていた己の馬鹿さに呆れる。

普通の女の子は男と対面してジッと顔を見られれば恥ずかしいに決まっている。

まったく、そういう事に鈍感過ぎた過去の己を恥じた。

「・・・はい」

構わずに手を取り、走り出す。

その手を決して離さない。

隣の少女が手を握り返してくれる限り、それくらいの痛い奴には成れる気がした。


「この世界を救ってください・・・私を、助けてください・・・私が落とした方・・・私の落し物を拾う貴方・・・終末の大賢者・・・臥塔賢知」


「オレは絵本の勇者に成れない。だが、自分の気に入った女くらい助けたいと望む中二病(ヒーロー)だ」


―――――――――――闇が裂けて、相変わらずの危地に戻る。


未だ状況は何一つとして変わっていなかった。


死の直前に起きてしまっただけに過ぎない。


地上から向けられる無数の砲口。


脳裏で問い掛ける。


【いるか?】


【います】


【オレに出来る事はやった。後は全てお前次第だ】


【無責任な人です。貴方は】


声は少しだけ軽やかな音色で、


【これが終わったら名前ぐらい聞かせろ。それぐらいはいいだろう?】


【臥塔賢知。私の救い主。全ては貴方の御心のままに】


優しく、響いた。


それがその事件で覚えている最後の瞬間。


その後、どうやって助かったのか記憶は無い。


ただ、次に目覚めた時の光景だけは生涯忘れないだろう。


世の中には決して色褪せない結末がある。


下らない物語の結末はいつだって少女達の笑顔と決まっている。

随時感想を受け付けています。連載中のSFノベルGIOGAMEもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ