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不思議日記  作者: 月乃葉
4/5

我が家の話

今回は私の住む家にまつわる話だ

私の家は築90年に近いもので、戦時下を生き残り、祖父の幼少のころから今の私に至るまで、ずっと見守り続けてきている。築年数にふさわしくあちこちに修繕や改築などの跡が残る、私たち家族にとっては思い出の詰まった大切な家である。

今回はそんな我が家に関する話である。



 先にも述べたように私の家は古く、強い風が吹くとそこここで軋みをあげていたりもする。

武家屋敷などでは侵入者を察知するためにわざと軋みが上がるようにした鴬張りという仕掛けがあるが、我が家は経年劣化によってそんな状態のところが多くある。とくに2階部分は祖父が亡くなってから物置としてしか使っていなかったためか、軋みがひどく、1歩進むごとに独特の軋みをあげるのだ。

 その日は、親戚の法事のため両親は朝から出かけており、家には私一人だった。

私は夜勤明けで帰宅したところで、居間で横になり何をするでもなくぼんやりとラジオを聞いていた。

そんな折だ。2階を歩く独特の軋みが聞こえたのは。

私は最初、両親が帰ってきていたのかと思ったが、まだ昼にもなっていないのにそれはない。

第一に車が帰ってきていないのだから当然両親もいるはずがない。

私には兄と姉がいるのだが、どちらも結婚して家を出ているし、来ているなら庭に車があるはずだがそれもない。

そもそも誰か来て2階に上がったのなら玄関の戸が開く音や階段の軋みで気がつくはずだ。

しかし、あるのはただ2階を歩き回るような軋みだけ。(軋み方でどの部屋のどのあたりにいるかが分かるほど軋みがひどく、また軋み方に違いがあるのだ)

“足音”は、2階の中心の部屋を歩き回っているようだった。その部屋には古い衣装箪笥と布団箪笥、着物用の引き出しがそれぞれ1棹ずつあるが、立ち止まることもなくただ動いていた。


時間はほんの1分か2分ほどだったが、私は臆病な性質なのもあり、ただただ居間で横になったまま固まっていた。


その後も私が一人で家にいるときに“足音”はたびたび聞こえている。ほかの家族も聞いているのかもしれないが、家の古さもあってか誰も気にした様子はない。

思い出の詰まった大切な家ではあるが、この“足音”は遠慮したいというのが私の本音である…。


如何だっただろうか?

ほんの少しでも楽しんでもらえたなら幸いだ。


今回は私が臆病に過ぎるのだといわれればそれまでの話であるため、いささか不安である。


それではまた、何か不思議な体験があれば報告させて頂くとしよう。




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